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正統派イケメンから個性派俳優へ…山田孝之が41歳に “異形の存在”怪演の「七夕の国」では“顔を見せない”演技披露

  • 2024.10.20
山田孝之 ※2023年ザテレビジョン撮影
山田孝之 ※2023年ザテレビジョン撮影

【写真】イケメンぶりも健在!ブラックコーデを着こなす山田孝之の全身ショット

俳優の山田孝之が10月20日に41歳の誕生日を迎えた。シリアスからコメディーまで実にたくさんの作品に出演しており、多彩なキャラクターを表現して楽しませてくれる山田。また、俳優という範疇に収まらず、声優、ナレーター、映画監督、そして映画プロデューサーとしても活躍中だ。日本のエンタメ界に欠かせない存在となっている彼の軌跡をたどる。(以下、出演作品のネタバレを含みます)

今とは印象違う!? 正統派イケメンな俳優初期

1999年、16歳のときに人気漫画をドラマ化した「サイコメトラーEIJI2」(日本テレビ系)で俳優として歩み始めた山田。同作の役柄は不良少年の一人だが、美少年ともいえるかわいらしい顔だった。

その後、朝ドラ「ちゅらさん」(2001年)でヒロインの弟を演じ、ミュージシャンとしてメジャーデビューする設定で、劇中ではギターを弾きながら甘い歌声を披露した。当時のドラマ公式インタビューによれば、撮影前から毎日毎日ギターを特訓したというだけあって見事な腕前だった。同作が2024年4月から再放送され、「歌うまい」とあらためて注目された。なお、「ちゅらさん」放送の翌年にCDデビューを果たし、ドラマ「大好き!五つ子4」(2002年、TBS系)の主題歌となって俳優として第7話にゲスト出演もしている。

そして、2002年にスタジオジブリの映画「猫の恩返し」で声優デビューした他、ドラマ「WATER BOYS」(2003年、フジテレビ系)や“セカチュー”こと「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年、TBS系)、ネット掲示板・2ちゃんねるの書き込みを基にしてドラマ化もされた映画「電車男」(2005年)などで主演して頭角を現していった。

デビューからドラマに映画にと途切れることなく出演しており、世代によって「初めて目を止めた作品は何か?」という問いには、きっとさまざまな作品が挙げられるだろう。そんな中でも、俳優初期のキャリアで大きく注目されたといえるのがドラマ「百夜行」(2006年、TBS系)だ。「世界の中心で、愛をさけぶ」の綾瀬はるかと再び共演し、残酷な運命に生きる少年と少女の14年にわたる愛を体現。多くの視聴者が心を揺さぶられ、涙で頬を濡らすほどにその世界に入り込めたのは、彼の高い演技力があったからでもある。

 山田孝之 ※2023年ザテレビジョン撮影
山田孝之 ※2023年ザテレビジョン撮影

ワイルドな見た目で、悪い奴もハマり役に

ここまで青春真っただ中のきらめきや、悲恋を含むラブストーリーを丁寧に表現してきた山田だが、2007年の映画「クローズZERO」で見た目の印象をガラリと変えた。高橋ヒロシの人気コミックを原案に三池崇史監督が映像化した同作は、不良ばかりが集まる男子高校を舞台に前人未踏の校内制覇を目指す壮絶なバトルが繰り広げられる。いわば山田にとって初の悪役で、小栗旬が演じる主人公と対立する軍団のトップ。身長184cmの小栗に対して169cmの山田は少しだけ見下ろされる感があるけれど、無精ひげを蓄え、鍛え抜かれた肉体の持ち主というトップならではの圧倒的存在感を放った。そこに山田の高い演技力で、ただ怖い奴というのではなく、仲間思いの格好良さをしっかりと見せてキャラクターの魅力を高めた。

美少年から、いつしか無精ひげが似合うワイルドな風体へ。実はそのヒゲについて、2021年に出演したバラエティー番組で、15歳のころなどに女の子と間違われることもあったのがコンプレックスで「男らしくなりたいと思って。けがしたところや、やけどしたところは毛が異常に生えるじゃないですか。ずっと(頬を)たたいていたんです。そしたら生えてきたんです」という逸話を披露している。そんな努力(?)もあって生まれたワイルドさは、TBS系でのドラマ化と映画化もされた「闇金ウシジマくん」シリーズの主人公で、冷酷無比な闇金会社社長役でも生かされている。

2024年は異形の役でひときわ異彩を放つ

悪役もハマり役ではあるのだが、今では変幻自在、カメレオン俳優とも称される山田。福田雄一監督とタッグを組んだドラマ「勇者ヨシヒコ」(2011年ほか、テレビ東京系)シリーズなどのコメディーに出たかと思えば、ノンフィクション小説を原作にした社会派映画「凶悪」(2013年)でのジャーナリスト役、“放送禁止のパイオニア”村西とおる監督を演じた「全裸監督」(2019年ほか、Netflix)シリーズ、重松清の小説を映画化した「ステップ」(2020年)での苦労しながら一人娘を育てるシングルファーザー、大河ドラマ「どうする家康」(2023年)などの時代劇と、本当にくるくると違うキャラクターを見せて、それぞれ主役でも脇役でも鮮烈な印象を放っている。

その演技の幅に脱帽するばかりだが、2024年もうならされた作品がある。ディズニープラスのスターで独占配信されたドラマ「七夕の国」(全10話)だ。同ドラマは、映像化困難といわれていた漫画家・岩明均による同名コミックを実写化した意欲作。超能力を持つ主人公を軸に不気味さ漂う超常ミステリーで、山田は物語の鍵を握る役に見事に応えた。とある町に代々伝わって来た物体や肉体をエグる球体を操る能力者のトップに位置する神官だった男・丸神頼之。はじめは顔を布で覆った状態で登場し、声色、せりふのトーンで怪しさを醸し出した。そして布を外しても、妖怪のような“異形”の顔で山田自身の表情は分からない。

演技では目や口元の動きといった表情で感情を読み取ってもらうことも大切なポイントになると思われるが、それが出せない役。だが、山田は役が決まったときに「劇中で自分の顔が見えないことは、まったく問題ではない」と言ったという。これまでのキャリアで培った確かな自信と力が、声や体の動きだけで見せるという異形の役を作り上げた。

「とりあえずやってみたらいいじゃん」の精神

10月13日に放送された「ボクらの時代」(フジテレビ系)で、11月1日(金)公開の映画「十一人の賊軍」で共演した仲野太賀、岡山天音と対談した山田。趣味がカメラという仲野と、絵を描くのが好きだという岡山の話から、「何か新しいことを挑戦するっていう時に、やっぱり、特にいまの時代はネット、SNSがあるから批判の声を恐れて行動できないことが多いんだけども、でも、初めてやることってへたくそで当たり前だと。だから、とりあえずやってみたらいいじゃん」という心構えにより「次の段階にいける」と語っていた。

新しいことに挑戦し続けたからこそ、今の活躍があるのかもしれない。近年は、映画監督やプロデューサーといった“裏方”に回ることもあり、日本のエンタメ界をさまざまな形で盛り上げているが、やはり異形の役も説得力を持たせることができる演技はいつまでも堪能したいものである。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

※記事内、高橋ヒロシの「高」はハシゴダカが正式表記

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