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旅の非日常を助長する空間でラグジュアリーに한우(韓牛)を楽しむ

  • 2024.10.20

肉欲を高めて向かう韓国旅。

舌が肥えた大人の胃袋を本当の意味で満たすのは、洗練された空間で味わう最高級の韓牛をおいて他にない。

1.シェフズカウンターで贅を尽くした肉コースを堪能 『Born&Bred 新館』@馬場洞(マジャンドン)

馬場洞『Born&Bred 新館』の内観
映画『ゴッドファーザー』を彷彿とさせる重厚かつクラシックな地下フロア。畜産市場と焼肉横丁で知られる馬場洞に2019年にオープン。これまでになかった韓牛に特化した“シェフのおまかせ”は国内外で反響を呼ぶ


韓牛にも品質と霜降り(マーブリング)、それぞれに等級があるが、ここで味わえるのはそれぞれの最上級「1++(2プラス)」と「No.9」のみ。それも28〜31ヶ月の経産牛のみにこだわる。

「ソウルで一番いい韓牛が手に入るのは私たちです」とシェフが断言するのは、店の経営母体が40年以上にわたり、韓牛に特化した流通専門会社を営んでいるからだ。

2階はアラカルト、3階はコースが楽しめるが、最高品質の韓牛を“シェフのおまかせ”で味わうなら、スピークイージーな雰囲気が漂う地下のフロアへ。

優雅な弧を描くラウンド状のカウンター席では、実に14部位、21皿、トータル550gに及ぶ韓牛のフルコースが供される。

五感のすべてを覚醒させるキングオブ韓牛、シャトーブリアン
馬場洞『Born&Bred 新館』の韓牛のシャトーブリアン
東京カレンダー


黒トリュフに負けない力強い香りがみなぎる韓牛のシャトーブリアン。

ここではゲストがとっておきのワインを持ち込む(抜栓料別途30,000ウォン)のが主流だ。

馬場洞『Born&Bred 新館』のミニバーガー
東京カレンダー


パテ以外のフィリングは玉ねぎとチェダーチーズのみというシンプルなミニバーガー。

馬場洞『Born&Bred 新館』の自家製のシャルキュトリ
東京カレンダー


テリーヌ、ソーセージ、牛タンハムなど自家製のシャルキュトリも絶品。

馬場洞『Born&Bred 新館』の「ユッケ」
韓国の伝統菓子「ブガク」をモチーフにした「ユッケ」。香ばしい海苔とキャビアの塩味が生肉と渾然一体となり、絶品。料理はすべて「シェフのおまかせ」(380,000ウォン)より


「例えるなら、和牛は繊細で柔らかな女性。韓牛は武骨で色香のある男性、でしょうか」とはヘッドシェフのミン・キョンファンさん。

その言葉を裏付けるように、多彩なプレゼンテーションの連打においても、力強い肉の香りは一貫して失われない。

他では味わえない“韓牛尽くし”。肉好きには忘れられない一夜になるはずだ。

■店舗概要
店名:Born&Bred 新館
住所:ソウル市城東区馬場路42ギル1
TEL:02-2294-5005
営業時間:[一部]18:00~
[二部]20:15~
定休日:火曜
席数:20席

2.発酵を極めた匠による肉のプレゼンは唯一無二 『7th Door』@清潭洞(チョンダムドン)

清潭洞『7th Door』の内観
店があるのは、ソウルきってのラグジュアリー地区にある隠れ家ビルの4階。エレベーターを降りれば、クラブフロアのような廊下が伸び、港区を思わせる艶やかかつ豪奢な空間が広がっている


ソウルの星付き店の中でも、いま最もホットなレストランと言われるのが『7th Door』。最新の「アジアトップ50」では18位に選出され、連夜世界中から訪れるフーディで予約が埋まる。

漆黒の空間の中、オープンキッチンをぐるりと囲むように配されたコの字カウンターはまるで劇場のようで、宴が始まる前からゲストの熱気と高揚感であふれている。

清潭洞『7th Door』のキム・デチョンシェフ
オーナーシェフのキム・デチョンさん。日本ではフレンチの巨匠、岸本直人氏に師事。日本のスターシェフたちとの親交も深く、日本語も達者


そんな“ステージ”で指揮を執るのは、オーナーシェフのキム・デチョンさん。

日本で星付きシェフの下、5年間修業した経験もあり、「和牛の魅力も日本の食材の素晴らしさも知っている」と話す彼だが「和牛以上に濃厚な味わいがある」と胸を張るのが韓牛だ。

噛むほどにあふれる甘みとコクに悶絶する
清潭洞『7th Door』の自家製の調味料
「幼い頃から舌と体に慣れ親しんできた医食同源の“韓方”の考えを実践している」という言葉どおり、塩は一切使わず、自家製の調味料で食材の旨みを引き出す


40年以上宮廷料理人として腕を振るった母から受け継いだレシピをベースにしたタレ、発酵・熟成させた50種以上の自家製の調味料、そして類稀なる料理人としての感性によって生み出されたひと皿は、韓牛のポテンシャルを感じさせるに十分。

清潭洞『7th Door』の前菜
東京カレンダー


料理は自身が経験を積んできたフレンチがベース。前菜もプレゼンテーションが美しい。

昼は平日180,000ウォン、週末210,000ウォン、夜は320,000ウォンのコースのみ。

清潭洞『7th Door』の「カルビチム」
店では最上等級の韓牛のみ提供。韓国版“おふくろの味”とも言われる「カルビチム」もキム氏の手にかかれば、このとおり。3種類の米のサラダと菊芋のピューレがアクセントに


コクと甘みの奥に立ち上がるふくよかな幸福感は、心までも潤してくれる。ソウルまで飛ぶ価値のある1軒だ。

■店舗概要
店名:7th Door
住所:ソウル市江南区鶴洞路97ギル41 4F
TEL:010-9660-3011
営業時間:ランチ 12:00~(L.O.13:30)
ディナー 18:00~(L.O.19:30)
定休日:日曜、月曜
席数:14席

3.バーで嗜むカクテルにも韓牛のつまみがイマドキ 『OUL』@光化門(クァンファムン)

光化門『OUL』の内観
東京カレンダー


世界を席巻するKカルチャーの影響で訪韓外国人が増加。年々高まる「ホテルでも韓国料理を」との声に応えて、2022年にワインバーからのリニューアルを敢行。

トッポギ、ジョン、そして鍋まで楽しめるダイニングバーへと生まれ変わった。

赤身のコクと旨みに隠し味のマヨが丸みを加える
光化門『OUL』の「韓牛ユッケ」
外国人ゲストが食べやすいようマヨネーズを追加し、辛味を抑えたまろやかな味わいが特徴。「韓牛ユッケ」40,000ウォン


人気メニューはビーフタルタルのようにカットされたユッケ。

最上等級++(2プラス)の韓牛を卵黄、梨、松の実などの具材と共に、ゲストの前でミックスするプレゼンテーションも好評だ。

光化門『OUL』の「SEOUL MULE」、「GOOSOO HIGHBALL」
「SEOUL MULE」31,000ウォン(左)はバターの甘い香りが鼻腔をくすぐるウォッカベースのカクテル。プレミアム焼酎を使った「GOOSOO HIGHBALL」29,000ウォン(右)もオススメ


にんにくの素揚げに度肝を抜かれるシグネチャーカクテル「SEOUL MULE」片手に、ソウルの夜に乾杯したい。

■店舗概要
店名:OUL
住所:ソウル市鍾路区セムナン路97 フォーシーズンズホテル 2F
TEL:02-6388-5500
営業時間:18:00~(L.O.23:30)
定休日:日曜、月曜
席数:70席

4.韓牛と合わせる杯がマッコリの新しき扉を開く 『한국술집 안씨막걸리(ハングッスルチッアンシマッコリ)』@経理団通り(キョンニダンキル)

経理団通り『한국술집 안씨막걸리』の内観
東京カレンダー


いま、韓国ではマッコリや焼酎といった伝統酒のプレミアム化がブーム。

定番メニューもモダンナイズされ、両者のペアリングを提案する店急増中だ。

経理団通り『한국술집 안씨막걸리』のイ・ジンホシェフ
シェフを務めるのは31歳のイ・ジンホさん。ボタニカルグリーンと洗練されたインテリアは、代々木上原エリアを思わせる雰囲気


連日、感度の高いローカルと外国人客で賑わうここもそのひとつ。

キムチといった“アテ”から大皿料理まで、メニューだけを見れば居酒屋のそれだが、テーブルに運ばれてくる料理は既視感なき逸品ばかり。あちこちで歓声が上がるのも頷ける。

若きシェフの自由な発想から生まれた創作ユッケ
経理団通り『한국술집 안씨막걸리』の「ユッケ」
混ぜ合わせて口に入れれば、食感も味わいもマンドゥそのもの。マッコリのペアリングは3杯40,000ウォン。「ユッケ」27,000ウォン


マンドゥにインスピレーションを受けたという「韓牛ユッケ」は、あえてコチュジャンは使わず、ニラとエゴマでのみ味付けした香り高いひと皿だ。

経理団通り『한국술집 안씨막걸리』の「プルビッ」
東京カレンダー


ミントとローズマリーが入った「プルビッ」(40,000ウォン)は、ニラの香りと呼応しさわやかな余韻を残す。

■店舗概要
店名:한국술집 안씨막걸리
住所:ソウル市龍山区フェナム路3
TEL:010-4592-3609
営業時間:【月~木・日】18:00~(L.O.23:00)
【金・土】18:00~(L.O.25:00)
定休日:無休
席数:45席
IG:@ahn.mak

▶このほか:甘辛ダレが香ばしい“酒がすすむ鶏”の最高峰!ローカルに絶大な支持を誇るタッカルビ店とは

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