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「オートミールブームの仕掛け人」が提言。知らぬ間にやせる!腸に効く「最新の食べ方」8選【大妻女子大学教授に聞いた】

  • 2024.10.20

腸活に食物繊維が良いといわれていますが、中でも積極的にとりたいと支持されているのが「発酵性食物繊維」です。

 

オトナサローネでは、腸活の新常識として台頭する発酵性食物繊維について詳しく知るべく、取材を敢行。一般社団法人日本美腸協会の主催したトークイベント『腸の力がアップする美腸食革命』で、大妻女子大学家政学部食物学科 青江誠一郎教授の話を聞きました。

 

青江教授は、日本におけるオートミールブームの仕掛け人。発酵性食物繊維の賢い食べ方について、8つのポイントを解説していただきます。腸活に悩むオトナサローネ読者の皆さんが、今日からできることばかりです!

 

善玉菌のエサとなる「発酵性食物繊維」。「短鎖脂肪酸」も生み出す

「発酵性食物繊維」とは、善玉菌のエサとなって腸内で発酵し、善玉菌の増殖をサポートする栄養素です。また、発酵することで健康に良い影響を与える「短鎖脂肪酸」を生み出すことも大きな特徴です。基礎代謝がアップするなど、ダイエットの手助けをしてくれます。

 

「発酵性食物繊維」は、大麦やごぼうなどに含まれる「水溶性食物繊維」、小麦全粒粉や玄米などに含まれる「不溶性食物繊維」、いも類や豆類、穀類に含まれる「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」の大きく3種類です。具体的な「発酵性食物繊維」をご紹介します。

 

穀類……大麦、オートミール、小麦全粒粉、ライ麦、玄米など

野菜、果物……バナナ、キウイ、モロヘイヤ、オクラ、タマネギ、ごぼう、らっきょう、とうもろこし、アボカドなど

豆類……大豆、小豆など

海藻類……わかめ、寒天、のり、昆布、もずく、めかぶ、ひじきなど、

いも類……さつまいも、ジャガイモ、長いもなど

 

それではさっそく、「発酵性食物繊維」の食べ方のポイントをご紹介しましょう。

 

ポイント1 「いろんなメーカー」のヨーグルトを「毎日」食べる

 

「発酵性食物繊維」はあくまで善玉菌の「エサ」なので、「善玉菌そのもの」をとることが前提です。手軽なのは、ヨーグルトを食べること。ただし、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌などの善玉菌は、いくら食べても腸に定着することはありません。腸を通過している間にだけ作用するため、毎日とって善玉菌を補充してあげることが大切なのです。

 

ヨーグルトとひと言でいっても、ビフィズス菌入り、乳酸菌入りなど、さまざまな商品が売られています。理想的なのは、あらゆるメーカーのヨーグルトをローテーションすることです。腸内細菌は、ヨーグルトの善玉菌に対して「異物が来た」と認識しています。善玉菌が入ったあらゆるヨーグルトをローテすれば、「多種類の異物が来た」と腸は認識。免疫を活性化したり、防衛線を張って菌が入ってこないように腸を強くしたりするように働きかけます。

 

ポイント2 「もち麦」「ごぼう」など、いろんな種類を食べ多様な善玉菌を育てる

 

ヨーグルトと同様に、発酵性食物繊維も、さまざまな種類の食材からとることがおすすめです。健康に良い影響があるとされる短鎖脂肪酸は、腸内細菌がリレーしてつくっているからです。

 

腸に入った発酵性食物繊維は、最初に腸内の糖化菌によって「糖」に分解されます。その糖を乳酸菌やビフィズス菌が食べて、「乳酸」「酢酸」を産生。さらに乳酸、酢酸を食べた別の腸内細菌が「プロピオン酸」「酪酸」を生み出します。プロピオン酸や酪酸とは、まさに短鎖脂肪酸のことです。このように菌同士はリレーして食べ合い、短鎖脂肪酸をつくっています。

 

さらに、発酵性食物繊維によって、増やすのが得意な菌が違います。例えば、もち麦はバクテロイデス菌という日和見菌を、ごぼうはビフィズス菌を増やすのが得意です。そのため、発酵性食物繊維はなるべく多くの種類をまんべんなくとると、多種類の腸内細菌がリレーしながら得意な菌を増やし、最終的に短鎖脂肪酸をたくさん生み出してくれるのです。

 

「多種類の発酵性食物繊維って、どうとればいい?」と思う人は、主食、根菜類、レジスタントスターチ(ポイント6を参照)の3つを食事に取り入れることを目安にすると、バランスが良いでしょう。

 

ポイント3 3食にこだわらず、ナッツなどの「ちょこちょこ食べ」もOK

 

忙しいオトナサローネ読者は、「朝食を抜いてしまった」「忙しくて野菜がとれなかった」という日があるかもしれません。そこに罪悪感を持つことはないですよ。3食の時間にこだわらず、間食を含めて1日4~5回ほどのちょこちょこ食べを試してみませんか。バナナ、干し芋、アーモンドなどが食べやすいと思います。

 

食事の回数が多ければ、1食当たりのカロリーが少なくなり、血糖値の上昇が抑えられてインスリンの分泌量が減少し、太りにくくなるメリットも。また、発酵性食物繊維が時間差でちょこちょこ流れてくることになり、常に発酵して短鎖脂肪酸を生み出し、腸活にも良い効果が期待できます。

 

ポイント4 野菜嫌いなら、サプリメントよりもドライフルーツやナッツ類を

 

野菜嫌いなら、「発酵性食物繊維をとるのは難しいかも」と思う人もいるのでは。「サプリメントで補えば良い」と考えるかもしれませんが、あまりおすすめしません。

 

サプリメントでは、そこに含まれる限られた種類の菌しか増えないので、腸内細菌のバランスが偏ってしまう可能性があります。旅行のときなどなら良いのですが、毎日の食生活に取り入れるのは控えた方が良いでしょう。ドライフルーツやナッツ類からとることを、考えてみてください。

ポイント5 流行りのプロテインは発酵性食物繊維と合わせてとること

運動機能の向上や美容の面から、タンパク質の摂取が推奨されています。ただし注意したいのは、プロテインの過剰摂取。小腸内で吸収しきれないと、大腸で悪玉菌のエサとなり腐敗産物を発生させます。これらの腐敗産物は、肝臓や腎臓などの内臓機能や、皮膚のバリア機能の低下をはじめ、さまざまな病気のリスクを高めるといわれているのです。

 

プロテインを摂取するときは、同時に発酵性食物繊維をとることがコツ。タンパク質よりも発酵性食物繊維の方がおいしいので、腸内細菌はタンパク質でなく、 発酵性食物繊維を好んで食べてくれます。すると、腐敗産物の発生を抑えることができるのです。

 

ポイント6 「冷やごはん」も実は腸活に◎

発酵性食物繊維の一種である「レジスタントスターチ」は、体内で消化されないでんぷんです。本来、でんぷんは小腸で吸収されますが、レジスタントスターチは消化されずに大腸まで届いて、腸内をキレイにする働きがあるのです。

 

ご飯、パン、麺といった穀類や、いも類に多く、含まれる食材を冷やすと、レジスタントスターチの量が増える特性があります。そのため、さつま芋、ジャガイモ、もち麦など、加熱後に冷蔵庫に入れて冷やすのがおすすめの食べ方。しかも、電子レンジで温め直しても増えたままをキープしてくれます。

 

ポイント7 子どもの発酵性食物繊維は1日10~13g

 

子どもの発酵性食物繊維の摂取量は、1日10~13gが目安です。発酵性食物繊維の一種である難消化性のオリゴ糖は、子どものおなかにやさしく作用してくれておすすめです。バナナやトマトなどに、多く含まれています。

 

ポイント8 大豆、米、高野豆腐、酒粕に含まれる「レジスタントプロテイン」で効果倍増

 

レジスタントプロテインは、腸内で分解・吸収されにくいタンパク質です。長く体内に留まり、腸内に残っている余分な脂分や脂質を吸着して、体外へ排出する働きがあります。つまり、腸内にたまった老廃物をからめ取って体外へ排出することで、腸のデトックス効果がアップ。腸が正常に活動して便秘などの改善が期待できます。

 

大豆、米、高野豆腐、酒粕などに含まれており、特に発酵性食物繊維といっしょに摂取すると、効果が倍増することが分かっています。その結果、腸内環境が良好になり短鎖脂肪酸もたくさん出る腸になるでしょう。

 

ダイエット・健康効果が期待できる「短鎖脂肪酸」を生み出し、健康サポートに役立てよう!

発酵性食物繊維が生み出す短鎖脂肪酸は、体脂肪を減らす、基礎代謝を高める、ウィルスや病原菌から体を守るといった健康効果が期待されます。「以前のように簡単にやせない」「休日はどっと疲れが出てしまう」といった体の不調を抱えがちなオトナサローネ読者の皆さんには、特に役立つはずです。ぜひ、発酵性食物繊維をたくさん食べて、健康サポートにつなげてください。

 

 

【取材協力】大妻女子大学家政学部食物学科 青江誠一郎教授

農学博士。日本人の穀物由来の食物繊維摂取量の増加を促す栄養指導を推進する。教育に寄与し、生活習慣病の予防と健康寿命の延伸にも貢献している。食物繊維の権威であり、オートミールの仕掛け人。令和4年度日本栄養・食糧学会「学会賞」を受賞。

 

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