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外反母趾さん必見!足指のプロ直伝・健康足を作る「小股歩き」のポイント3つ

  • 2024.10.19

大股でさっそうと歩くのはカッコいいですが、実は外反母趾の人には不向き、と足指研究所・湯浅慶朗さんは言います。おすすめは足裏の筋肉を鍛える「小股歩き」! 外反母趾を改善する歩き方・小股歩きのポイントを伺いました。

大股歩き、足の健康にはNGなの!?

大股歩き

一般に、胸を張って大股で歩くのが「正しい歩き方」だとされています。

大股歩きは、モデル歩きのようで、一見格好よく見えます。しかし、大股で歩くときには、地面を足で蹴る際に、足指が十分に伸びていません。

歩くときに、ドスンドスンと大きな音がしたり、靴底の外側の減り方が大きかったりする場合には、大股歩きの傾向があると思ってください。

大股歩きが広まったのは、30年ほど前のジョギングブーム。ジョギングで突然死する人が増えて社会問題にもなりましたが、運動をまったくしないのも健康によくない。そこで、「ウォーキング」というブームが生まれたのです。
 
そのとき「正しい歩き方」とされたのが、広い歩幅で腕を振って歩くこと。着地するときはかかとから、そして、つま先で蹴り上げて前に進むことが推奨され、以降「大股で歩くことが正しい」とされてしまいました。

ウォーキングの本にも、「できるだけ大股で歩きましょう」なんて書いてあります。これは日本だけではなく、世界中に広まっています。

しかし、大股歩きはダイエットに効果的かもしれませんが、足の健康のためには不向きです。

足の健康のためには小股歩きがおすすめ!

足の健康のためには小股歩きがおすすめ

健康寿命を延ばすのに、早歩きがいいというのもよく言われることです。

「早く歩くこと=大股で歩く」と考える人が多いかもしれませんが、最近の研究では、大股歩きよりも小股歩きの方が早く歩けることが実証されています。

そればかりか、大股歩きは足の変形や機能低下の原因になることがわかっています。

歩幅が大き過ぎると、一歩踏み出すたびに膝の後ろが後方にロックされるため、普通に立っているときにも筋肉が伸び過ぎる傾向があり、足の変形を助長する可能性が高いのです。

また、歩幅が大きい大股歩きは、太ももの筋肉(ハムストリングスや大腿四頭筋)の力を使って前に進もうとしているだけに過ぎません。

その結果、足裏の筋肉やふくらはぎの筋肉を収縮させることで地面を蹴り、下半身に流れてきた血液を心臓に押し戻すという本来の足の機能が働きにくくなってしまいます。

足の健康のためには小股歩きがおすすめ

足裏の筋肉を鍛える小股歩きは外反母趾の改善に効果的

一方、歩幅が小さくなると、自然と足指で地面を蹴って前に進むため、足裏の筋肉がつきやすくなります。

連載の1回目でもお話ししましたが、ほとんどの外反母趾の原因は足裏の筋力低下です。つまり、小股歩きは外反母趾の改善に役立つ歩き方だと言えるのです。

これまでご紹介してきた「足指ストレッチ」や「足に合う靴選び」と併せて、歩き方を改善することで、より効果的に外反母趾を改善することができます。

外反母趾の改善の4つのポイント

  1. 足の筋力アップ
  2. 歩き方や姿勢の改善
  3. 足に合う靴選び
  4. 足指の動きを妨げない靴下選び

さらに、小股歩きはふくらはぎのポンピング作用による血流改善効果もある上、ケガをしにくい歩行パターンでもあります。

立つ・歩く・座るといった日常の動作に必要なのは、足裏の筋肉です。小股歩きで足裏の筋肉を鍛えることは、一生自分で歩ける足を作り、健康寿命を延ばすことにつながります。

特に日本人に小股歩きがおすすめな理由

特に日本人に小股歩きがおすすめな理由

もともと、私たち日本人などのアジア人は、大股で歩くと足指がうまく使えません。骨格に歩き方が合っていないからです。

背中を丸めて前かがみになった田植えのときの姿勢に象徴される「骨盤後傾」の日本人は、骨盤が後ろに傾きがち。大股歩きの場合、骨盤の前で足を大きく振り出す必要があります。

その点、小股歩きは、日本人の骨格に合った歩き方で、自然と足指を使って歩くことができます。

小股歩きの癖をつけるには、まず後ろ向きに歩いてみること。自然と歩幅が小さくなり、足指を使って床を蹴って歩く感覚がつかめたら、そのままの歩幅と速さで前向きに歩きます。それが小股歩きを体に覚えさせる秘訣です。

着物を着て、膝下を使って歩くような感覚といえばわかるでしょうか。

もしくは家の中でフローリングの音がしないように歩いてみてください。自然と小股で足裏全体を使った歩き方になるはずです。

外反母趾を改善する歩き方・小股歩きのポイントは?

小股歩きのポイントは

人の体は足指を使って歩くことで全身の正しい筋肉を使う(前後左右に均等に筋肉を使う)ことができますが、現代人は靴や靴下などによって、その機能が発揮できにくくなっています。

これまで、歩くことでひざ・腰を悪くしてきた方もいらっしゃると思いますが、それは足指を曲げて歩いていたからです。

足指を広げて小股歩きで歩けば、自然と体の歪みや外反母趾が改善することを、ぜひ実感していただければと思います。

小股歩きのポイントは、以下の3つです。

小股歩きのポイント1:歩幅を小さくゆっくりと

小股歩きの歩幅は、足の大きさと同じくらいが目安です。スピードの目安は人により異なりますが、後ろ歩きをした時のスピードです。

足指が使えていない人は歩幅や速度を上げるとバランスを悪くするので、自然と小さくなるはずです。小股歩きの感覚をつかむには、後ろ歩きをしてみて、今度はその歩幅とスピードで前に歩いてみてください。

小股歩きのポイント2:視線をやや下に向ける

視線を水平よりやや下に向けてください。姿勢は少し前かがみになります。こうすると、足指に体重が乗ります。ひざや腰は、意識的に伸ばそうとせず、力を抜いた自然体です。

一見、小股歩きは「姿勢が悪い」ように思えるかもしれませんが、それは、胸を張って歩くのが良いとすりこまれているからにすぎません。小股で歩くと、全身の筋肉が柔らかくなり、自然と姿勢が良くなっていくのです。

小股歩きのポイント3:足指を意識して歩く

足指で地面を蹴るときには、足指を広げることを意識してください。足指で地面をつかむような感触を確かめながら、体を前に押し出すイメージです。

まずは1日5分の小股歩きで歩き方のコツをつかもう

1日5分の小股歩きで歩き方のコツをつかもう

実際に小股歩きをやってみると、とても楽な歩き方であることがわかると思います。そして必ず、正しい足指の使い方がわかるはずです。

まずは毎日5分、小股歩きを続けてみましょう。

小股歩きにして足指を使う感覚がつかめてくると、普段の歩き方も確実に変わってきます。小股で歩くと、カラダのバランスがよくなり、全身の筋肉効率よく使うことができます。その結果、体の歪みが取れて健康な体になっていくのです。

1日5分小股歩きをするだけで、膝の痛みや腰痛が解消する方もいます。

ただし、1日の歩く歩数が少ないと足裏の筋肉がつきにくいため、足の痛みや変形など、外反母趾の改善効果は下がります。独自の研究では6000歩がボーダーラインなので、最低でも6000〜7500歩を目標に歩くように心掛けましょう。

今回でひとまず、1回目からお話ししてきた外反母趾のお話はおしまいです。次回は、女性によくある足のトラブル「内反小趾(内反小指。ないはんしょうし)」について、ご紹介します。

著者プロフィール:湯浅慶朗

執筆者プロフィール:湯浅慶朗

ゆあさ・よしろう
足指研究所 所長
日本足趾筋機能療法学会 理事長

理学療法士。足指研究所所長。ハルメク靴の共同開発者。理学療法士として高齢者医療に携わるが、治らない現代医療のあり方に疑問をもち、病院を退職。妻のO脚改善をきっかけに足指の研究に入る。一生歩き続けられる体をつくる「ひろのば体操」や「YOSHIRO SOCKS」を考案し、東京大学との共同研究や学会発表も実施。NHK「ガッテン」などにも出演し、著書に『たった5分の足指つかみで腰も背中も一生まがらない!』(PHP研究所刊)など。

文=湯浅慶朗 構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)

※この記事は2020年11月の記事を再編集して掲載しています。

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