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【太陽活動が極大期に達した】NASAが公式発表「この状態はあと1年は続く」

  • 2024.10.19
太陽が太陽活動極大期に到達! / Credit:NASA

太陽は、その膨大なエネルギーによって私たちの命を支えているだけでなく、その活動が地球の気候や電波通信など、様々な影響を与えています。

そんな太陽活動には周期性があり、活動レベルが大きくなったり小さくなったりしていることをご存じでしょうか。

そして2024年10月15日、NASAは、2019年12月に始まった「第25太陽周期」において、太陽の活動が最大となる「太陽活動極大期」に達した公式発表しました。

研究者たちは、「この極大期があと1年は続く」と予想しています。

太陽の活動が活発になりすぎるなら私たちの生活に影響が及ぶ可能性もありますが、私たちはこれから1年、太陽活動が非常に強い中で生活していくことになります。

目次

  • NASAが「太陽活動極大期に達している」と報告
  • 「2019年の極小期」と「2024年の極大期」の画像比較

NASAが「太陽活動極大期に達している」と報告

太陽の活動は周期的に変化している / Credit:NASA

太陽は、その活動や見かけが周期的に変化しており、活動の活性化と沈静化が波のように繰り返されています。

つまり太陽活動は、最小(太陽極小期)→ 最大(太陽極大期)→ 最小(太陽極小期)という周期で繰り返されています。

そして、太陽活動の最小値を基準とした1セットを「太陽活動周期」と呼びます。

太陽活動周期は約11年ごとに巡り、観測されて以来、1755~1766年を「第1太陽周期」として、それ以降も番号が付けられています。

2024年は、2019年12月から始まった「第25太陽周期」に含まれています。

では現在、第25太陽周期において、太陽はどのような段階にあるのでしょうか。

2024年2月、欧州宇宙機関(ESA)は、「ここ2年半で太陽の活動が活発化している」ことを報告し、その違いを「2021年2月」と「2023年10月」の太陽画像から明確に示しました。

「2021年2月」と「2023年10月」の太陽画像/Credit:ESA & NASA/Solar Orbiter/EUI Team

太陽活動が最小値から最大値に向かって、いよいよ活発になってきているのです。

こうした証拠から、2024年にもなれば、そろそろ太陽活動極大期を達するころだと予測できました。

そして2024年10月15日、NASAは、「第25太陽周期」において、太陽が「太陽活動極大期」に到達したと公式発表しました。

(左)太陽黒点の数のグラフ。太陽周期の追跡に役立つ , (右)太陽活動周期 25 の予測 / Credit:NASA

NASAによると、この極大期は「今後1年間続く可能性がある」とのこと。

ちなみに、太陽活動の変化は綺麗な曲線で描けるようなものではなく、極大期のピークを特定するには、ピーク後の太陽活動の一貫した沈静化を追跡しなければいけません。

そのため、極大期は今後1年続くと予想されるものの、その正確なピークを特定するには、さらに何カ月か待つ必要があります。

それでも今回のNASAの報告では、2019年の極小期の太陽と2024年の極大期の太陽がどれほど異なるのか、比較画像で明らかにしており、私たちは「今まさに太陽の活動が最大になっている」と感じることができます。

「2019年の極小期」と「2024年の極大期」の画像比較

NASAによると、太陽は太陽活動極大期に到達したようですが、実際にはどれほどの違いがあるのでしょうか。

公開された比較画像から確認してみましょう。

まず、太陽観測衛星からの静止画像です。

NASA の太陽観測衛星からの可視光画像。太陽活動極小期 (左、2019 年 12 月) と太陽活動極大期 (右、2024 年 8 月) の太陽の様子 / Credit:NASA

左の画像は太陽活動極小期(2019年12月)であり、右の画像は太陽活動極大期(2024年8月)です。

極小期には太陽表面にある黒い点「太陽黒点」がありませんが、極大期にはいくつか見られます。

この太陽黒点の正体は磁力線が集中している場所であり、この場所では磁力によりプラズマの対流が妨げられ、周囲より温度が下がって暗くなっています。

そして太陽黒点の増加は太陽活動の活性化と関連しており、太陽周期の進行を追跡するのに役立ちます。

次は同じ時期の太陽を動画で比較してみましょう。

太陽フレアのレベルが大きく異なる。太陽活動極小期 (左、2019 年 12 月) と太陽活動極大期 (右、2024 年 5 月) の太陽の様子 / Credit:NASA

この動画では、太陽フレア(爆発現象)が確認しやすくなっています。

太陽フレアもまた太陽活動が活発な時に発生しやすく、極大期には、極小期と比べて、太陽フレアが50倍も発生しやすいと言われています。

最後に、太陽の最新の画像を見てみましょう。

これは、NASAが今回の発表を行った少し前(2024年10月3日)に撮影された画像です。

2024 年 10 月 3 日の太陽の画像。強い太陽フレアを放出している / Credit:NASA

太陽が強い太陽フレアを放出しているのが分かりますね。

この日の太陽フレアは、第25太陽周期の中で最大であり、その規模を評価する「太陽フレア等級」は、「X9.0」でした。

この等級は、低い方からA、B、C、M、Xの5つに分類されており、Xクラスは最も強いフレアを示します。

また各等級に続く数字は1~10で示され、より詳細な強度を示します。

Xクラスの上の等級はないため、Xクラスだけは例外的に10以上の数字が与えられる場合があります。

そう考えると、今回計測されたX9.0は非常に高いレベルであり、まさに太陽活動極大期にふさわしい太陽フレアだったと言えます。

実際、X9.0は、これまで測定された太陽フレアの中で、上位20位以内に入っています。

そしてこのような強い太陽フレアが発生すると、強力なプラズマが地球へと降り注ぎ、電子機器や通信機器に悪影響を及ぼす可能性があります。

またそれらプラズマ粒子が地球表面の大気とぶつかって光り、見事なオーロラを生み出す場合もあります。

今年になってオーロラが非常に多く観測されているのは、今が太陽活動極大期にあるからです。

報告では、しばらく太陽活動極大期が続くようです。

少なくとも今後1年間は、太陽活動がもたらす「美しさ」や「弊害」など、様々な影響に関心を払っているべきでしょう。

参考文献

It’s Official: NASA Declares The Solar Maximum Is Happening Now
https://www.sciencealert.com/its-official-nasa-declares-the-solar-maximum-is-happening-now

NASA, NOAA: Sun Reaches Maximum Phase in 11-Year Solar Cycle
https://science.nasa.gov/science-research/heliophysics/nasa-noaa-sun-reaches-maximum-phase-in-11-year-solar-cycle/

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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