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有村藍里「学校に馴染めなかった自分を責めていたあの頃」金木犀の香りが希望に変わった日

  • 2024.10.19

こんにちは、有村藍里です。今年も金木犀の香りがする季節になりましたね。この時期になると金木犀の香りのフレグランスや柔軟剤など、季節限定の香りのアイテムが発売されるので毎年楽しみにしています。私が金木犀を秋の香りだということを知ったのは、大人になってからなんです。そもそも、この甘く懐かしさを感じる独特の香りの正体が金木犀という花の香りだと知ったのも、実は結構最近でした。子どもの頃「この香りは金木犀というお花の香りなんだよ」という会話もした覚えもありませんし、教えてもらった記憶もありません。たまに、どこからかいい香りがするなあと思っていました。

不登校だったあの頃。

私にとっての金木犀の香りは、懐かしくてちょっと寂しい香り。学校の近くに必ずあったような気がしています。不登校になりながらも、踏ん張って通った学校。学校の近くまでは行けたけど、やっぱり行けなくて帰ったあの日も金木犀の香りがしていました。甘くていい香り。本当は、普通に学校に行って、休み時間には友達と他愛のない話をしたり、お昼にはみんなでお弁当を食べて……。そんな風にしたかったなあと思っていると、涙が出てきて悲しさや情けなさで胸が苦しくなりました。行かないと、と思えば思うほど行きたくなくて。もう一度入学式からやり直せたらいいのにという妄想ばかりが膨らんでいました。学校にはちゃんと行ったふりをして、家でこっそり母が作ってくれたお弁当をひとりで食べて、「なにやってるんだろ」と罪悪感が湧きました。罪悪感があるから、たまに踏ん張って行くのですが、私にとって友達がいない学校ほど寂しいところはなかったです。

消えてなくなりたいと何度も思っていたけれど…

上手く馴染めなかった自分が悪い、仕方ないって言い聞かせても寂しさには勝てませんでした。休み時間に1人でいて、授業中に「誰かと2人1組になって取り組みましょう!」的な時間は相手がいなくて地獄。周りがワイワイ楽しそうにしている中でのお昼の時間、お弁当を1人で食べるのはつらすぎた。こんな思いをするくらいなら1人で家にいた方がいい、と引きこもりがちになりました。学校や友人関係があまり上手くいってないと察した親戚から、「友達の作り方」のようなタイトルの本を善意で何冊か送ってもらうことがありましたが、心底恥ずかしかった。今思うと気にかけてくれているのだと感謝の気持ちもありますが、当時の私にはそんな風に思える余裕もありませんでした。もう私のことはほっといてほしい、消えてなくなりたいと何度も思っていました。もう頑張り方さえもわからなかったのです。家では絵を描いたり、たまに目標や、してみたいことを書いたりしていました。高校生になったら変わるんだ、と。友達もたくさんいて、毎日楽しくて、バイトもして、芸能事務所にも入りたい。そこで今の自分とは真逆の自分になりたい。その夢だけが私の生きる希望でした。

私にとっての“希望の香り”に変わったワケ

私にとっては金木犀の香りは、学校まで行けずに途中で1人で帰った寂しい香りの記憶でしたが、16歳になって芸能事務所に応募したことで変わりました。実は、最初は応募して書類選考で落ちたようで、諦めきれないのでもう一度送ってみたら面談に行けることになりました。その時がちょうど金木犀の香りがする季節でした。私の心の中は、これからどんな世界が待っているんだろうと、新しい場所へ向かう緊張とワクワクする気持ち。金木犀の香りが私にとっての希望の香りに変わった日でした。今でもこの香りがすると、まだまだ頑張ろうと思えるのです。今週も最後まで読んでくださってありがとうございました。有村藍里

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