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ティム・バートンの歴代ミューズたち──ウィノナ・ライダーにヘレナ・ボナム=カーター、ジェナ・オルテガetc.

  • 2024.10.18

ウィノナ・ライダーは36年に渡るコラボレーター

『シザーハンズ』の撮影中に次のシーンについて話すウィノナ・ライダー(当時19歳)とティム・バートン(当時32歳)。
EDWARD SCISSORHANDS - TIM BURTON discusses an upcoming scene with WINONA RYDER during production, 1991『シザーハンズ』の撮影中に次のシーンについて話すウィノナ・ライダー(当時19歳)とティム・バートン(当時32歳)。

現在公開中の『ビートルジュース ビートルジュース』(2024)に出演しているウィノナ・ライダーが、ティム・バートンと初めて会ったのは15歳のときだった。『ビートルジュース』(1988)のオーディションを受けにLAのスタジオを訪れ、オフィスで待機していると同室に若い男性が入ってきたという。

フォーブス』によると、その人こそが当時29歳のバートンだったのだ。今でこそ誰もがバートンの顔を知っているが、当時はウィノナ・ライダーさえも監督の外見を知らなかったため、ライダーはてっきり彼をスタジオのアシスタントだと思い込み、二人で古い映画アートについて雑談をしていたという。途中で彼女が「ところでバートン監督はいついらっしゃるんでかね?」とその男性に尋ねたところ、「私だよ」と言われ、役をオファーされたという。

今年9月、バートン監督のハリウッド殿堂入りを祝福したライダー。
Tim Burton Honored With Star On Hollywood Walk Of Fame今年9月、バートン監督のハリウッド殿堂入りを祝福したライダー。

これが二人の長きに渡る友情とコラボレーションの出発点となる。この出会い以降、1990年にライダーは当時の恋人だったジョニー・デップとともに『シザーハンズ』(1990)に出演。2012年にはストップモーションアニメ映画『フランケンウィニー』(2012)に声の出演をし、さらに同年監督が手がけたザ・キラーズのミュージックビデオでもコラボレートしている。

2024年9月にバートン監督がハリウッド殿堂入りを果たした際、ライダーはバートンへの祝福のスピーチを行い、「30年前にあなたは私の人生を変えたのです」と語っている。

90年代はリサ・マリーが公私に渡るミューズだった

1995年のカンヌ国際映画祭にて、仲睦まじい姿を披露したカップル。
LISA MARIE AND TIM BURTON AT THE CANNES FILM FESTIVAL1995年のカンヌ国際映画祭にて、仲睦まじい姿を披露したカップル。

カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)のモデルとして注目を集めた後、駆け出しの役者として奔走していたリサ・マリーは、1991年の大晦日前日のパーティーでバートンと出会い、お互いに恋に落ちた。2001年に破局を迎えるまで二人はおしどりカップルとして知られ、バートン監督は交際期間中に手がけた作品すべてに彼女を起用している。

ジョニー・デップ主演の『エド・ウッド』(1994)に始まり、『マーズ・アタック!』(1996)、そして『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)がそれだ。しかし、バートンがヘレナ・ボナム=カーターと出会ったことにより、蜜月は突然終わってしまう。破局の影響が大きかったのだろう。「TMZ」によると2006年にリサ・マリーは、バートンに終身扶養料を請求する資格が自分にはないと思いこまされたとして、バートン相手に詐欺で訴訟を起こしている。ちなみに彼女は、2015年に出演した『喰らう家』を最後に表舞台から遠ざかっている。

ヒット作を連発した2000年代のバートンを支えたヘレナ・ボナム=カーター

2005年の『チャーリーとチョコレート工場』でカーターは、チャーリーの母親役を演じた。
CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY - Noah Taylor, Helena Bonham Carter, Freddie Highmore, David Kelly, 20052005年の『チャーリーとチョコレート工場』でカーターは、チャーリーの母親役を演じた。

リサ・マリーと10年間交際を続けたバートンは、『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)にも小さな役とはいえ、通常通り彼女を起用。ところがバートンは、今作に準主演したヘレナ・ボナム=カーターと恋に落ちてしまう。両者ともに交際をスタートさせたのは撮影後だと語っているが、いずれにしろこの後の11年間はヘレナ・ボナム=カーターがバートンのミューズとなり、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)、『ティム・バートンのコープスブライド』(2005)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)、『ダーク・シャドウ』(2012)でコラボレートしている。

カーターとバートンの間には二人の子どもが誕生するが、「お互いに面倒くさいことが嫌いな性格のため、結婚はしていない」とカーターは2012年に『インタビュー・マガジン』で語っている。また、二人は隣同士に家を借りて生活を分けていたことでも知られる。その理由は「ピープル」によると、「どんな関係でも、最初の1年が過ぎると、自分だけの空間が欲しくなるもの。私たちはテレビの好みが違うし、二人とも家で仕事をしている」とカーターは説明したそうだ。

破局を発表する1年前の2013年にロンドンの街角を歩くバートン&カーター。
Helena Bonham Carter and Tim Burton are seen on March 20, 2013 in London, United Kingdom. 破局を発表する1年前の2013年にロンドンの街角を歩くバートン&カーター。

しかし、順風満帆に見えた二人にも別れが訪れる。2014年の12月に円満に交際関係を解消したことを発表した。ヘレナ・ボナム=カーターは後に、「私たちの関係は常に特別なものだったし、これからも特別なものであり続けると思います」と「USウィークリー」に語っている。

ゴスな空気を纏ったエヴァ・グリーン

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の主演を務めたエヴァ・グリーン。
MISS PEREGRINE'S HOME FOR PECULIAR CHILDREN - Eva Green, 2016. 『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』の主演を務めたエヴァ・グリーン。

ヘレナ・ボナム=カーターもフランス語が堪能だが、ひょっとしたらティム・バートン監督は英語以外の言語も話せる人に魅力を感じる傾向があるのかもしれない。ジョニー・デップ出演の『ダーク・シャドウ』(2012)で初めてバートン作品に出演したエヴァ・グリーンに関して、バートン監督は『Wマガジン』でこう語っている。「エヴァはすぐにどんな人物か理解できるような人ではありませんでした。彼女にはミステリアスなところがあるんです。世間は彼女を影があるような人だと思っているようですが、実際はそれ以上に興味深い人なんです」

初タッグから4年後の2016年には、エヴァ・グリーンを主演に据えて『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』を撮影。さらに2019年には、ディズニーとバートンがタッグを組んだ実写版『ダンボ』にも出演している。グリーンは『ハリウッドレポーター』の取材に対して、「バートン監督は言葉で語るタイプではない」と明かし、絵コンテを見せて「こういうイメージ」と伝えてあとは俳優に任せるのだという。エヴァ自身もそういうタイプとのことなので、言葉や理屈よりも感覚で理解をしたり表現をする俳優たちが、バートン監督にハマるのだろう。

ジェナ・オルテガは、バートンにとって“次世代のウィノナ・ライダー”

Netflixオリジナルシリーズ「ウェンズデー」のセットで気さくにバートン監督と話すジェナ・オルテガ。
WEDNESDAY - director Tim Burton and Jenna Ortega on-setNetflixオリジナルシリーズ「ウェンズデー」のセットで気さくにバートン監督と話すジェナ・オルテガ。

ティム・バ―トン監督にとって、次なるウィノナ・ライダー的存在と言われているのがジェナ・オルテガだ。US版「Wired」によると、2022年にNetflixのドラマシリーズ「ウェンズデー」のオーディションに臨んだオルテガは、当時ニュージーランドで撮影中だったため、バートン監督とはZoom越しに初めて会ったそうだ。彼女のハマり役となった「ウェンズデー」は大ヒットを記録して、シーズン2の製作も決定。そんな「ウェンズデー」のシーズン2の話をしている合間に、監督はオルテガに『ビートルジュース ビートルジュース』(2024)の出演をオファーしたという。

Netflixにて独占配信中の「ウェンズデー」は2025年にシーズン2が配信予定。
WEDNESDAY - Jenna Ortega, 2022Netflixにて独占配信中の「ウェンズデー」は2025年にシーズン2が配信予定。

今年の8月に開催された第81回ヴェネチア国際映画祭の会見でバートン監督は、「ここ数年映画業界に幻滅をしていました。なので、もしまた何かやるのであれば自分が心からやりたいと思う作品にしたいと思った」と語り、さらにそんなことを思う中で「ジェナとの出会いは明らかに私にとって大切なことでした。(「ウェンズデー」で)彼女と仕事をしたことで、その後リディアというキャラクターの35年後、そして自分自身の人生ついて考えたのです」とコメントしている。

最新ミューズは恋人のモニカ・ベルッチ

今年の10月12日にフランス・リヨンで開催された第16回リュミエール・イン・リヨン映画祭のオープニングセレモニーに出席したティム・バートンとモニカ・ベルッチ。
Tim Burton and Monica Bellucci attend the opening ceremony during the 16th Film Festival Lumiere In Lyon on October 12, 2024 in Lyon, France. 今年の10月12日にフランス・リヨンで開催された第16回リュミエール・イン・リヨン映画祭のオープニングセレモニーに出席したティム・バートンとモニカ・ベルッチ。

2023年の10月に開催されたローマ映画祭で、カップルとしてレッドカーペットデビューをしたモニカ・ベルッチとティム・バートン監督。「ピープル」によると、二人は2006年にカンヌ国際映画祭で会っているが、当時ベルッチはヴァンサン・カッセルと結婚をしており、バートンはヘレナ・ボナム=カーターと交際関係にあったという。そんな二人が2022年の10月、フランスのリヨンで開催されたリュミエール映画祭で再会し、交際へと発展した。

『ビートルジュース ビートルジュース』に出演しているベルッチ。
BEETLEJUICE BEETLEJUICE, (aka BEETLEJUICE 2) - Monica Bellucci, 2024. 『ビートルジュース ビートルジュース』に出演しているベルッチ。

二人のパートナーシップは最新作『ビートルジュース ビートルジュース』(2024)にも及び、ベルッチはマイケル・キートン演じる主人公ビートルジュースの元妻、ドロレス役でバートン監督作デビューを飾っている。心を許した相手を必ず自身の監督作に出演させるティム・バートン。現在は2025年に配信予定の「ウェンズデー」のシーズン2以降の予定は公になっていないが、今後はモニカ・ベルッチが監督作の常連になるのかもしれない。

Text: Rieko Shibazaki

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