韓国大ヒット映画が日本公開！ トップ俳優、キム・ゴウンが映画『破墓／パミョ』で大切にしたこと。

韓国で社会現象を巻き起こした大ヒットドラマ「トッケビ ～君がくれた愛しい日々～」で存在感を示した俳優のキム・ゴウンが、2024年10月18日（金）から全国公開する話題作、映画『破墓／パミョ』ジャパンプレミアのために来日した。20代から活躍してきた彼女が語る役作りや撮影秘話、そして飾らない等身大の美しさの秘訣に迫る、フィガロJPのための特別なインタビューに答えてくれた。

──チャン・ジェヒョン監督は構想段階でファリム役としてキム・ゴウンさんを念頭に起き、キム・ゴウンさんもチャン・ジェヒョン監督作品がお好きだと語っています。その相思相愛な関係が作品を作る上でどのように作用しましたか。

チャン・ジェヒョン監督に対して信頼を寄せていました。私は監督のデビュー作である短編映画のときからの大ファンで、はじめはファンとして応援をしていましたが、現場で監督対女優としてお会いしたときからその信頼は絶大なものでしたし、監督も私に対して信頼感を持ってくださっていました。話をするときにも基本的にお互いを尊重する気持ちがあったので、それが一番よかったかなと思います。大きな信頼の中で仕事ができていたので、具体的に話さなくても相通じるようなところがありました。

──韓国で大ヒットした映画『破墓／パミョ』では、繊細さと大胆さ、その両方の感情表現が印象的でした。役作りをする上で、インスピレーション源となった体験があれば教えてください。

ファリムという役を表現しようとしたときに、お祓いを行う巫堂（ムーダン）という彼女の職業からまずアプローチしようと努めました。巫堂というプロフェッショナルな仕事人としての面を大事にして、そこを大きくとらえたいなと。彼女は仕事を執り行うときに、本当に繊細かつ大胆なところがありますが、プロ意識を持って準備をして勉強もしたと思いますし、研究もしたと思うんですね。それが自信にも繋がっていると感じたので、そういうところを表現したいと思いました。

──気がついたら没入している世界観。その世界観を作るために、チームワークが不可欠だったと思います。チームワークを築く上で、大切だと思うことはどのようなことでしょうか。

現場では楽しんだほうが良いと思うタイプなんです。映画はシリアスではありますが、笑いの絶えない現場でした。お互い笑わせるような雰囲気で、そういう前向きなプラスのエネルギーがあるとより良いアイデアを出し合え、多くのシナジー効果が生み出せると思っています。なので現場で楽しんだことが、大きな役割を果たしたと思います。

──普段は、キム・ゴウンさんは対人関係を築く上で、どのような役割でいることが多いですか。今回の現場ではいかがでしたか。

そうですね、弟子の巫堂を演じたイ・ドヒョンさんが一番年下ではあるのですが、私のほうが先輩の方々と撮影するシーンがはるかに多かったので、現場ではちょっと末っ子みたいに振る舞うことが多かったです。どちらかというと雰囲気を盛り上げるというよりは、いたずらっ子みたいに笑わせて、それを先輩方も受け入れてくれるような感じでした。みなさん、たくさん笑ってくれましたね！

──今回の撮影現場でスタッフや共演の方々から、かけられた言葉や行動で印象に残っていることはありますか。（まわりのスタッフから）「みんなゴウンさんのことが大好きでした！」笑。

この映画は撮りやすい映画ではなかったと思うんです......。苦労して撮った大変な映画でしたが、本当に厳しい寒さの中でみんな一緒に過ごしながらも、たくさん笑って冗談を言ったりして、撮影が終わったら美味しいものをみんなで食べてお酒を飲んだり、そういうことが好きな人が集まっているような良い現場でした。それがとても好きでしたし、楽しかったです。

──ドラマ「トッケビ 〜君がくれた愛しい日々〜」、映画『辺山』、『ユ・ヨルの音楽アルバム』、いつの時代も存在感のあるキャラクターを演じ、キャリアを積み重ねてきたキム・ゴウンさん。30代を迎え、10代20代前半と比べて、仕事への向き合い方に変化はありますか。

立ち振る舞いや心構えというのは常に変わっていません。10代の頃はまだ学生で20代前半からいまに至るまで、この俳優という職業を与えられたことに感謝しています。それと同時に続けられてきたことに対して不思議だなと思う気持ちも共存していますね。
20代の頃はちょっと心が不安定なときもあったり、目の前で起こっていることに対して焦ったりしたこともあるんですけれども。10年間の試行錯誤を経て、30代になってからはもう少しミスとか間違いも減ると思いますし、もう少し余裕のある見方や態度、向き合い方というのがわかって、仕事もフレキシブルに柔軟性も持ってできるようになってきたと思います。いままでの経験があったからこそ、いまの30代を迎えることができたと実感していますね。体力だけは落ちてますけどね......笑。

──最近リラックスしたい時は、どんなことをしていますか。

何もしません......。横になりたいです笑！ 仰向けになってリラックスしながら天井を見るのも好きですし、寝られるときはなるべく寝て休んでいます。

──フィガロジャポンは、アールドゥヴィーヴル（暮らしの美学）の考え方を大切にしています。キム・ゴウンさんにとっての「豊かさ」とはどんなものでしょうか。

小さい頃から"些細なことで大きな喜びを感じることが、自分の人生を豊かにしてくれる"という考え方を持っています。例えば、美味しいものを食べると飛び跳ねるくらい嬉しかったり、面白いものを見たときにお腹がよじれるほど笑ったりするんですね。そういう日々のささやかな瞬間が本当に好きで、幸せだと感じることが結構あります。実際そういうことが私を幸せにしてくれていますし、その一つ一つが集まって人生を豊かにしているような気がします。なので私の大きな目標は「今日をしっかり、豊かに暮らしたい」ということです。明日のことを先に心配したりあらかじめ考えたりするよりは、今日をしっかり豊かに生きていきたいですね。

Profile
キム・ゴウン
1991年生まれ、韓国・ソウル出身。2012年、映画『ウンギョ 青い蜜』で俳優デビュー。2016年放送の韓国ドラマ「トッケビ 〜君がくれた愛しい日々〜」のヒロインに抜擢され、韓国で社会現象を巻き起こすまでに大ブレイク。実力派俳優として数々の作品に出演し、第74回ベルリン国際映画祭でワールドプレミアとして上映され、世界133か国で公開が決定した最新作の2024年韓国No.1大ヒット映画『破墓／パミョ』では、巫堂ファリム役として出演。

『破墓／パミョ』

巫堂ファリム（キム・ゴウン）と弟子ボンギル（イ・ドヒョン）は、跡継ぎが代々謎の病気にかかるという奇妙な家族から、桁違いの報酬で依頼を受ける。すぐに、先祖の墓が原因だと気づき、お金の臭いを嗅ぎつけた風水師サンドク（チェ・ミンシク）と葬儀師ヨングン（ユ・ヘジン）も合流する。やがて、4人はお祓いと改葬を同時に行なうが、掘り返した墓には恐ろしい秘密が隠されていた......。

全国公開／10月18日（金）
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配給：KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス 
監督・脚本／チャン・ジェヒョン

photography: Kazuhiro Otsuki