1. トップ
  2. ダイエット
  3. 「女性はホルモンの奴隷!?」更年期症状に個人差が大きい理由とは〈対談〉MEGUMIさん×医師・道下将太郎先生

「女性はホルモンの奴隷!?」更年期症状に個人差が大きい理由とは〈対談〉MEGUMIさん×医師・道下将太郎先生

  • 2024.10.18

女優・タレントとして、多くの女性から支持を集める42歳のMEGUMIさん。映画やテレビでの活躍はもちろん、美容と健康を大切にするそのライフスタイルは、STORY読者にも多い「ゆらぎ世代」の代表的存在として注目されています。今回は前々から興味を持っていた、あらゆる最新のエビデンスをもとに予防医療を提唱する医師・道下将太郎先生との対談が実現。日々の食生活で感じる悩みや、年齢と共に変わる体への向き合い方について、道下先生に率直に質問しながら、MEGUMIさんが実践している心と体の整え方に迫ります。第2回のテーマは多くのゆらぎ世代女性が悩む「更年期症状」です。(第2回/全3回)

▼あわせて読みたい

MEGUMIさんProfile

1981年生まれ。岡山県出身の俳優・タレント。2001年に芸能界デビューし、映画、ドラマ、バラエティ番組などで多岐にわたり活躍。2020年には映画『台風家族』や『ひとよ』での演技が評価され、第62回ブルーリボン賞・助演女優賞を受賞。また、金沢でカフェ「たもん」の経営にも携わり、映像作品のプロデュースやボランティア活動にも力を注いでいます。
美容と健康にも強い関心を持ち、昨年出版された著書『キレイはこれでつくれます』は、35万部を超えるベストセラーとなり、単行本実用部門の年間ベストセラー1位を獲得。「ゆらぎ世代」を代表する存在として、美容や健康法を自ら実践し、そのライフスタイルが広く注目されています。

道下将太郎先生Profile

脳神経外科医 / AFRODE CLINIC(アフロ―ドクリニック)代表。2015年、東京慈恵会医科大学を卒業し、同大学病院で勤務。2020年、株式会社Re.habilitationを創業。2022年にはAFRODE CLINICを監修。AFRODEは「死から生を見つめる」という人生観を表現し、本人が納得して死を迎えるための機会創出を目指す。クリニックでは、経営者や著名人など日常生活で高負荷を抱える人々に、薬に頼らない効率的な回復・予防医療を提供しています。また、科学的根拠に基づいて安全・安心の製品を提供するブランド、SECRET RECIPE(シークレットレシピ)をプロデュースし、添加物不使用の食品やサプリメントなどを開発しています。
■AFRODE CLINIC
■SECRET RECIPE

そもそも更年期障害はなぜ起きる? 症状の強さは、人によってなぜ違う?

MEGUMIさん(以下敬称略) 40代になると、いろいろな悪影響が出てきますよね。メンタルの揺らぎもそうだし、食事や冷え、体調の変動が目立つようになって。結果的に、全体として悪い方向に進みやすい気がします。40代はゆらぎというか、「ダメージが出やすい元年」みたいな感覚ですね。
第1回では、食事がもたらす体への影響について聞いてきたのですが、それ以外で、例えば、すごく大きな精神的ストレスにさらされたとき、一旦回復したかのように見えても、その後で身体が二次災害のように調子が悪くなることって、本当に起きているんですか?
道下先生(以下敬称略) まず「ゆらぎ」という言葉で表現される現象は、主にホルモンの変動が原因です。更年期障害がその代表ですが、これはエストロゲン(女性ホルモン)が不安定になることで起こります。体がその変化に適応できないため、精神的にも肉体的にもダメージが現れます。折角なので更年期障害は何で起きるかについて簡単にお話しますね。
通常、身体はホルモンに支配されることが多く、よく女性はホルモンの奴隷だとかよく例えられますよね。
MEGUMI 本当にそう!
道下 女性の卵巣あたりから女性ホルモンがでます。ホルモンは脳の視床下部が指令を出して調整していますが、閉経が近づくとホルモンの生産が減ります。視床下部は「ホルモンを出せ!」と命令し続けますが、体がそれに応えられず、結果として自律神経が乱れます。これが原因で、ホットフラッシュ(ほてり)や多汗、精神的な不安定さが出てくるんです。このゆらぎは、1~2年続くことが多いです。ホルモンバランスを直接変えるのは難しいので、精神的な不安定さを解消するためには、それ以外の方法でストレスを軽減することを考えたほうがいいです。
MEGUMI 更年期は必ず訪れるものの、症状が強い人と軽い人がいますよね?あれはどうしてですか?
道下 それも論文やデータを調べきったのですが、ホットフラッシュなどわかりやすく出る症状に関しては、喫煙歴がある人や体重が多い人、もともとストレス負荷が高い人は、その症状が長く続く傾向にあります。
MEGUMI 運動している人はあまり(更年期に)ならないと聞くのですが、、
道下 運動している人は症状が軽くなることがわかっています。たとえば、健康的に過ごしている犬と、太って運動不足の犬を比べたら、どちらが元気かは一目瞭然ですよね。人間も同じなのです。ホルモンの変動が、その人のそもそもの健康状態に重なってしまうだけなので、生活習慣の違いが大きく影響します。それもよく食べてよく動いてよく寝るというところにリンクするかなという感じです。
MEGUMI なるほどね~。精神面に影響が大きく出てしまう人もいるじゃないですか? あれはやっぱり炎症が起きていることが多く、それが敏感さや不快感を引き起こしているのですか?
道下 まさにそうです。更年期になって自律神経系が不安定になる人というのは、その以前からすでにコップの水がタプタプなので、そこにちょっと更年期の影響が加わっただけでもぶわっと溢れ出てしまう感じですね。じゃあ元々の自律神経のところをどうやって改善できるのだろうと思い調べたら、そういう人達こそ、1日1食しか食べていなかったり、運動習慣がなかったり、1日3,4時間しか寝ていなかったり、携帯ばかり見ていたり、、更年期じゃなくても調子悪くない?というデータでした。 たまたま更年期でフォーカスがあたって、一気に症状が出てしまった人が多いですね。
MEGUMI なるほどね~。その人の生き方の蓄積なんですね、更年期は。
道下 ですから、いつか更年期がくるな~とネガティブにならずに、日々の生活習慣をポジティブに捉えて、健康的な習慣を続けることが大切です

ゆらぎ世代の女性に最適な運動習慣とは?

MEGUMI 健康的な習慣の中で、運動はもちろんいいことだと思うのですが、私は、朝起きた瞬間にYouTubeをつけてストレッチをして、その後できる日はウォーキングもするようにしています。これを朝一番にすることで、1日が良い流れになるのですが、先生どう思いますか?
道下 MEGUMIさん、さすがですね。朝の運動には2つのメリットがあります。
まず1つ目は、朝は自分の時間を確保しやすいので、継続しやすいという点です。朝の運動は、継続して習慣化ために最適なタイミングです。運動を継続することで、体が「朝だ」と認識するようになります。これにより2つ目のメリットとして、睡眠の質が大幅に向上します。特に、朝7時から9時の間に太陽を浴びながら運動をすると、健康効果がさらに高くなります。
現代では、朝でもカーテンを閉めていたり、夜寝る前ギリギリまで携帯電話を触ったりすることで、体が朝や夜をうまく認識できなくなっている人が多いのですが、実は太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、その14時間後に自律神経系のメラトニンやセロトニンといった「眠たくなるホルモン」が出るんです。つまり、朝8時に太陽を浴びると、夜10時頃に自然に眠くなるわけです。よく体の不調を訴える方々と話していて思う事は、この体内時計と実際の時計とで、時差が生じてしまっている人が多いんです。携帯電話の光の明るさは、昼の11時と同じくらいの強さなので、夜に携帯電話を見ていると体は昼間だと勘違いしてしまい、寝付けなくなってしまったり、朝起きても体が朝だと思っていない状態になります。だからこそ、朝の運動は体内時計を整えて睡眠の質を向上するのにとても効果的です。
MEGUMI そうなのですね~。では逆に、夜に運動することはあまり体にはよくないですか?
道下 アドレナリンが出たり、心拍数が上がるような運動は、睡眠を妨げる可能性があるため、夜の運動ならストレッチやヨガのような軽いものが良いでしょう。
MEGUMI 昼夜をあまり問わず、40代以上の女性にとっては、負荷の高すぎる運動はちょっと違うのかなと思うのですがどうですか?
道下 まず、健康について運動の定義としては、WHOでも定められているように、1週間に90分の中程度の有酸素運動が推奨されています。具体的には、30分を週3回行うことが理想的です。中程度の有酸素運動とは、心拍数が130以上になる運動のこと。階段を登るくらいの運動がそれに当たります。この程度で十分効果があるんです。
では、それ以上にやったらどうなの?というところですが、週150分までは効果があります。30分だったら週5回。もっと運動をすれば効果は高まりますが、週150分以上やってもプラトー(効果の頭打ち)に達するので、それ以上の運動はあまり変わらないというデータもあります。
MEGUMI 例えば、トライアスロンなどはストイックで素晴らしいのですが、健康を目的とした運動としてはtoo muchなんですよね?
道下 はい。too muchです。心拍数が180程度かそれ以上にドキドキしている状態が30分以上継続すると、逆に体に負担をかけてしまうこともあるので注意が必要です。
特にフルマラソン選手などは、過度な運動によって腸内環境が悪化するケースが多く、善玉菌の数が減ってしまうことがわかっています。腸内環境と運動のバランスを保つことも重要です。
MEGUMI 運動で腸内環境が悪化してしまうこともあるんですね。でも40代のみなさんも週に3回30分くらいだったら、続けられそうって思えますね。
道下 できると思います。朝の運動を習慣化するためには、スケジュールに組み込むことが大事です。もしできなかったとしても、その日は1週間のうちにリスケジュールすることで回数を維持することができます。

更年期の精神的症状も認知症も、効果的な予防法は意外な方法?!

MEGUMI 体だけでなく、脳を老けさせないためにはどうすればいいですか?
道下 脳は、いろんな影響によって劣化が進んでいくのですが、わかりやすくイメージしてもらいたいのは、脳は血がずっとめぐっている場所だということです。脳の中は血管がモズクみたいにすごい数が絡み合っています。そしてこの一本一本が細い水道のホースみたいになっています。よく血の巡りが悪いとかって話になるのは本当にそうで、サーモグラフィでみると血の巡りが悪いところがみえてしまいます。例えば認知症とかは血流が悪くなります。ではどうやって血の巡りをあげていくかというと、脳にあるモズクみたいな血管に、血液を送るポンプは心臓です。心臓のサイズは大きくできないので、血液を送る回数を増やさないといけません。それが心拍数をあげること=中程度の有酸素運動です。適切な運動で脳内の血流を良くすることで、認知症のリスクを減らすことができます。脳内の血管に溜まったタンパク質を取り除くためには、30分程度の有酸素運動が理想的なんです。
MEGUMI なるほど。体にも脳にも、健康でいるには運動に尽きるって感じですね~。
道下 どれだけ適切な運動習慣があっても、食事の内容が良くなくて血液がドロドロだと細い血管に届かないため、食事と運動の両方を意識する必要がありますね。
MEGUMI 少し話は変わりますが、先日出会った高齢の方がとても元気で、その方を見て感じたのは知的好奇心を持つことが大切なのかなということ。でも年を取ると欲がなくなる人が多くないですか? 感情が薄くなるというか。それは女性としての魅力が減っていってしまうことに繋がってくるんだと思うんです。運動習慣はもちろん大前提として、この知的好奇心が私たちの脳に与える影響とかはあるのですか?
道下 はい。それは非常にあります。認知症をわかりやすく言うと、まさに脳が停止している感じなんですね。これはどうして起きるかというと、理由の大きな一つは脳への刺激がないことです。では刺激がなくなる理由のランキング1位は何かというと“社会からの途絶”が一番の理由です。コミュニティや人と話すという事が非常に大切です。実は、コロナのステイホームで人と話すことが減った際に、認知症の人がすごく増えたんです。海外の認知症プログラムでも、人と話すとかデイサービスを受けるとかが組み込まれていたり、とても大事なんです。
MEGUMI 社会とのつながりや人とコミュニケーションすることは非常に大切なんですね
道下 40代の女性は子どもが少し手を離れて、もう安心!ってなってくると自分1人の時間が増えてきますよね。それが社会との途絶に繋がってきて、それこそ更年期の精神的なマイナスに繋がります。だから社会的な接触は非常に大事です。女性は中年の初期の時に記憶力が落ちてくることがよくあります
MEGUMI わかります。わかりますよ(笑)。
道下 (笑)。記憶力を維持するためには、3つのことが大事と言われています。
1つ目は努力した身体活動、これは運動ですね、体を動かすとか。2つ目は認知思考の努力。覚えようとか、思い出してみるとか、書いてみるとか。忘れてしまうということを諦めないことです。3つ目は、今お話ししていた社会的接触。この3つです。
MEGUMI おもしろい~!!!何かを覚えて、それをやろうという気持ちは絶対薄まりますものね。私はお芝居をしていて、覚えなければいけない環境なので、それは良いなと。覚えるのは苦しいですけど、すごく良いんだなと思いますね。
道下 何かを覚えようとすると脳が刺激されて、ふだん通りやすいところとは全然違う血液の流れの通り道が刺激されて活性化されるので、その効果があるんだなと思いました。
MEGUMI なるほど。勉強になりました!

MEGUMIさん衣装:ワンピース¥36,300(ル フィル/ル フィル ニュウマン 新宿店)リング¥41,800、ピアス¥44,000(共にリューク)
お問い合わせ先:ル フィル ニュウマン 新宿店03-6380-1960/リュークinfo@rieuk.com

撮影/浜村 菜月 ヘア・メーク/KIKKU スタイリスト/宮澤 敬子 取材・文/日野 珠希

おすすめ記事はこちら

元記事で読む
の記事をもっとみる