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親世代とは大学入試の戦い方が様変わりしている…わが子の「全落ち」を防ぐ"3層戦略"の中身

  • 2024.10.18

大学受験の「全落ち」を防ぐにはどうすればよいか。個別指導塾塾長の小林尚さん、推薦入試専門推進塾塾長の橋本尚記さんは「複数の入試形式を組み合わせて受験戦略を組み、どこかで確実に合格を勝ち取る必要がある。そのためには早いタイミングからの対策が必須だ」という――。

※本稿は、小林尚・橋本尚記『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

合格証書
※写真はイメージです
同じ学部でも複数の入試形式があることも

自分の受けたい大学や学部が決まったら、次はその大学や学部にどう合格するかを考えなければなりません。

似たことを学べる学部や、一般的に難易度が同じくらいの学部でも、入試形式がいくつかあるので、どの入試形式を選ぶのかを決めるステップがあります。

たとえば、法学部であれば中央大学では総合型の入試が複数あります。みなさんが通っている高校によっては指定校の枠もあるかもしれません。さらに立教大学にも目を向けてみると、内容は少し違いますが総合型で受けられる試験があります。

あくまで一部の大学を紹介しましたが、やりたいことや将来の目標が決まったとしても、まだこれだけの選択肢があるのです。まずは目を通すだけでも大丈夫ですので、表(図表1)を見て、いろいろなパターンがあることを知っておきましょう。

このように、1つの学部であってもいくつかの入試形式でおこなわれていることが多くあります。ですから、どのような入試形式が自分に合っていそうか、考えてみましょう。

【図表1】GMARCHの法学部の場合(一例)
出所=『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)
「専願」タイプか「併願可能」タイプか

入試形式を調べるとき、1つ注意して見てほしい部分があります。それは、その入試が「専願」か「併願可能」かどうかです。

「専願」とは、その大学に合格したらかならず入学することを約束する形式です。たとえば明治大学農学部の総合型選抜でも、「この大学を専願し、合格の場合入学を確約できること」が出願の条件になっています。大学によって表現の仕方はほかにもありますが、入試形式が専願の場合はたいていこのようなことが書いてあります。

そして総合・推薦入試(本記事では、以降まとめて推薦入試と呼びます)では、この「専願」タイプがほとんどなのです。専願の入試は、合格したらその大学に入学しなければなりませんから、1つしか受験できません。つまり推薦入試を受ける人は、受験校が少なくなってしまうのです。

もちろん、他の大学と併願できる推薦入試もあります。たとえば、大東文化大学の総合型選抜では併願が可能な形式があります(専願の形式もあります)。

ですから、専願タイプと併願可能タイプを組み合わせて、いくつかの推薦入試を受けることはできるのです。

しかし、併願可能タイプは数が少なく、人気も集まります。一般入試の併願校であれば日程がかぶらなければ4つでも5つでも受験できますが、推薦入試はそうはいかないのです。その点で、推薦入試はリスクもあるのです。

指定校型と公募型を併用する

リスクのある入試に対して、そのリスクを放置したまま受験するのは得策ではありません。できればこのリスクをおさえてから、受験に臨みたいと思うはずです。

そこで考えていただきたいのが、さまざまな形式を併用することです。

たとえば、指定校型と公募型を併用する方法があります。指定校型は試験の時期が早いですから、まずは指定校型に出願して、万が一落ちてしまった場合に公募型に出願することで、両方の形式を受験することができます。また、推薦入試に落ちた場合、一般入試に回るというのも、1つの案として考えられます。

このようにして、いろいろな入試形式を併用することで、専願が多い推薦入試のリスクをおさえることができます。これは推薦入試を受ける上でとても大切な考え方です。具体的にどう組み合わせていくかについて、次の項でさらにくわしく説明していきます。

リスクヘッジで「全落ち」を防ぐ

ここまで推薦入試における併願の重要性をお伝えしてきました。大切なのは「リスクを恐れる」ことではなく「リスクを回避する」という考え方です。リスクを回避したりダメージを最小限にしたりする準備のことを「リスクヘッジ」と呼びます。

「何をするための戦略なのか」その目的をみなさんとも共有したいので、次のクイズに答えた上で読み進めてください。

Q.推薦入試では併願が重要とお伝えしてきましたが、そもそもリスクヘッジをするのは、何のためでしょうか?
①どこにも受からない「全落ち」を防ぐため
②絶対に第一志望に合格するため
③3年間の評定平均を上げるため

推薦入試のリスクヘッジで一番欠かせないことは、受験校すべてに落ちてしまう「全落ち」を防ぐことです。ですから、先ほどのクイズは①が正解でした。もちろん浪人を否定しているわけではありません。しかし受験生は大学に合格するために勉強・対策をしているので、浪人を避けたいと考えるのは自然なことです。

そこで高校生のみなさんにオススメしたいのが、リスクヘッジ型受験戦略である「3層戦略」です。図表2を見ながら読んでください。

【図表2】3層戦略
出所=『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)

3層戦略では受験を次の3つの階層に分けてとらえます。

①学校推薦型選抜(指定校型)
②総合型選抜・学校推薦型選抜(公募型)
③一般入試

この3層を基本とし合格可能性を高める、あるいは不合格となる可能性をなるべく少なくする戦略です。

複数の入試形式を組み合わせて合格を勝ち取る

概念だけだとわかりにくいので、少し具体例を見てみましょう。第一に、志望する大学の指定校枠がみなさんの高校にあれば、高い評定平均を目指し指定校型を目指すのです。

そこで不合格となってしまった場合には、2番目の戦略である総合型や公募型をねらいます。もともと指定校型で高い評定平均をねらっているはずですから、評定平均が条件となっている大学を探します。こうすることで、評定平均の高さを推薦入試の中で何度も活かすことができます。

残念ながら推薦で合格をもらうことができなかった場合、最後に一般入試に回ることになりますが、このように複数の入試形式を組み合わせて受験戦略を組むことで、どこかで確実に合格を勝ち取る。それが3層戦略です。

1、2、3と書かれた木製ブロック
※写真はイメージです
3層戦略には準備が必要

この3層戦略には注意すべきことがあります。それは、準備が必要だということです。複数の形式を使用する戦略ですから、当たり前かもしれません。

最優先である指定校型、またはそのリスクヘッジである総合型・公募型で必要となる評定平均は、早いタイミングから対策をしていくことになります。

学校の定期テスト対策は欠かすことができません。

小林尚・橋本尚記『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)
小林尚・橋本尚記『提出書類・小論文・面接がこの1冊でぜんぶわかる ゼロから知りたい 総合型選抜・学校推薦型選抜』(かんき出版)

さらに、総合型・公募型では英検を持っていないと出願が難しい(または不利になる)ため、そして一般入試に回る場合も英検は有利になるため、英検対策も第二の優先ポイントといえます。そして一般入試に回る可能性も考えて、一般的な受験勉強も進めておく必要があります。

もちろんすべてを完璧にやろうとすればオーバーワークになってしまいますから、優先度を決めて効果的に取り組んでいけば問題ありません。ただ、推薦入試が終わってから一般入試の勉強を始めたり、高校3年生になってから英検対策をしていたりするようでは、手遅れになってしまうのです。

リスクを回避する分、戦略的に受験対策をおこなう。すなわち、戦略にもとづきながら無駄な時間を減らして、早い時期からコツコツと対策を始める。これが3層戦略の本質です。

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