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「輪行」ってなに?自転車で旅の自由度を上げていこう!活用事例と始め方のコツ

  • 2024.10.18

こんにちは!トラベルライターの土庄です。自転車旅と聞くと、長距離を走るイメージがあり、少し敷居が高いと感じるかもしれません。

しかし、最近ではポタリングと呼ばれる、散歩のように気軽に楽しむ自転車旅や、食を目的としたグルメライドなど、手軽に楽しめる自転車旅が注目を集めています。

要するに自転車旅とは、その人次第で楽しみ方が無限に広がる、自由な旅のスタイルと言えるでしょう。今回ご紹介する「輪行」は、そんな自転車旅のポテンシャルを引き出すために欠かせないものです。

自転車旅の可能性を広げる「輪行」とは?

「輪行」とは、自転車の一部を分解や折りたたんで専用の輪行袋に収め、電車や飛行機といった公共交通機関で運ぶことを指します。

輪行を利用すれば、遠くの旅先でも乗り慣れた自転車で巡ることができるだけでなく、日帰りの旅行でも往復すべてを自走する必要がなくなり、体力的な負担が軽減されます。

さらに、現地で自転車を利用することで、ゆっくりとしたペースでその土地に溶け込むように走ることができ、人との触れ合いも生まれやすくなります。こうした体験が旅情を一層深めるのも、輪行の大きな魅力です。

輪行袋のタイプを簡単に解説

輪行に必要なのは、輪行袋と収納に慣れることです。輪行袋は、前輪のみを外すタイプと、前後輪を外すタイプに大別され、後者は自転車の固定方法によって縦型と横型に分かれます。

使い勝手が良く、トラブルのリスクが少ないのは、前輪だけ外すタイプですが、電車やフェリーといった交通手段では使いやすいものの、飛行機では受託手荷物の規定上、標準のサイズに収まり切らず追加料金が発生します。

まずは前輪のみを外すタイプの輪行袋を使い、電車を利用した旅で輪行に慣れたら、次のステップとして前後輪を外すタイプに挑戦するのがおすすめです。

輪行で使う公共交通機関とそのポイント

次に、公共交通機関ごとの輪行の特徴についてご紹介します。同じ輪行でも、鉄道、船、バス、飛行機では、それぞれ注意すべきポイントが異なります。

輪行初心者には、鉄道→船→飛行機(バス)の順で挑戦するのをおすすめします。

【電車】輪行の王道!新幹線を活用して全国各地へ

電車での輪行は、自転車を無料で運べるのが魅力です。全国どの路線でも基本的に利用でき、近年では自転車をそのまま積み込めるサイクルトレインも普及してきています。

新幹線を使えば、本州から九州まで広範囲をカバーでき、自転車旅で非常に便利です。輪行を活用することで、乗車・降車駅の選択肢が広がり、自分だけのオリジナルルートを考えることもできます。

【船】四国や九州へ。夜行便が充実しているのも嬉しい

船の場合、自転車をそのまま持ち込むと有料になりますが、輪行すれば無料となる路線が多いです。ただし、手荷物料金が必要な航路も一部あるため注意しましょう。

船には夜行便(神戸→小豆島/ジャンボフェリー、大阪南港→東予港/オレンジフェリー、大阪南港→志布志港/さんふらわあなど)もあり、移動しながら宿泊できるという隠れたメリットもあります。

【バス】使えるシーンは限定的。北海道と沖縄がおすすめ

バス輪行はとくに注意が必要で、本州では対応している路線が少なく、事前予約が必要な場合が多いです。公式サイトに記載がなくても、バス会社に問い合わせれば、当日の状況次第で対応してもらえることがあります。

特殊なケースですが、都市間長距離バスが発達している北海道では、バス輪行が比較的容易です。また、沖縄のローカルバスでは、輪行が可能な路線が多いという特徴もあります。

【飛行機】旅の可能性を飛躍的に広げてくれる

飛行機において、大手航空会社や国内LCCでは輪行はキャリーケースと同等に扱われ、無料で対応されます。一方で外資系LCCでは追加料金が発生することも。

同一航空会社での乗り継ぎでは、特別な手続きなしに輪行した自転車を運んでもらえます。ただし、飛行機での輪行には、稀に破損のリスクがあることも覚えておきましょう。

輪行の活用事例をご紹介

それでは最後に、筆者の経験を交えつつ、自転車旅における輪行の活用事例をいくつかご紹介します。

輪行を活用することで、旅の効率を上げたり、行ける場所を広げるだけでなく、ときには旅先でのリスクを回避する手助けにもなることがあります。

移動距離を大幅に削減する

まずわかりやすい例として、移動距離を大幅に削減できる点が挙げられます。

たとえば、スタート地点から約50km離れた場所を目的地にすると、往復で約100kmを走ることになりますが、行きに50km走り、帰りに輪行を利用すれば、体力的な負担を大きく軽減できます。

京都から敦賀まで1時間半かけて在来線で電車輪行し、その後越前海岸を走って東尋坊を訪れた日帰り旅がその一例です。

敦賀から東尋坊までの距離は約90kmですが、帰りは輪行を利用できるため、心配せずに北上する旅を楽しむことができました。

越前河野しおかぜラインという日本海沿いの爽快な道を走り、東尋坊に到達した際の感動は今でも忘れられません。体力に余裕があったため、JR武生駅まで戻り、京都まで約2時間半かけて電車で帰路につきました。

この旅では、以下を電車輪行によって削減できていることになります。 ※【往復】京都〜敦賀:それぞれ約130km、【帰り】武生〜敦賀:約40km

自分たちオリジナルの旅ができる

次に、自分たちオリジナルの旅ができる点が挙げられます。日本一早い紅葉を楽しむために、9月に北海道の大雪山を訪れた旅が良い事例でしょう。

初日から中部国際空港から新千歳空港まで飛行機、新千歳空港から札幌駅まで電車、札幌駅から富良野駅まではバスという、3つの輪行を駆使して、自転車とともにスタートの地・富良野を訪れました。

その日の朝にフライトで移動し、半日後には美しい夕焼けが広がる富良野のジェットコースターの路や、美瑛の丘を自転車で走っている瞬間は、まさに非日常の体験でした。

そして翌日には、自転車で大雪山旭岳ロープウェイの駅まで移動し、日本一早い紅葉を楽しんだ後、北海道最高峰の旭岳(標高2,291m)に登ることができました。

もし初日に輪行を活用していなければ、北海道入りの翌日にこれほど充実した旅をすることは難しかったでしょう。

北海道では、さまざまな交通機関が整っているため、時にはダイナミックに輪行を利用することで、スケールの大きな旅を満喫することができます。

旅先でのエスケープに有効

最後にご紹介したいのが、旅先でのエスケープに有効である点です。先ほどと同様に、9月に北海道の大雪山を訪れた旅が良い事例です。

日本一早い紅葉を楽しんだ後、3日目が終日雨となったため、移動日として割り切ることにしました。

天気が悪そうな1週間の予報の中で、積丹半島方面は比較的良い予報となっていたので、目的地を変更。美瑛から旭川まで電車、旭川から札幌までバス、札幌から小樽まで電車で輪行することにしました。

移動が主な目的ではありますが、旭川では老舗の旭川ラーメン、小樽ではお寿司や名物のパンロールを味わったり、夜の小樽運河を散策したりと、観光も欠かしません。

最終日は、ニッカウヰスキー工場で知られる余市を巡りました。新千歳空港から直結の場所で旅を楽しむことで、自転車にトラブルが発生した場合でも、帰りの飛行機に間に合わないというリスクを下げることができます。

自転車を最高の冒険ツールに変えてくれる輪行

どんなスタイルの旅であれ、「輪行」は旅の自由度をおおいに高めてくれます。そういう意味で自転車旅において、輪行は不可欠なものです。

「あの景色を見てみたい」「この場所に行ってみたい」そんな憧れを叶えてくれるのはもちろんのこと「こういう風に旅を組めないか?」「こことここを自転車で訪れてみたい!」という欲張りな旅プランを実現してくれる手段でもあります。

ぜひ、自転車を最高の冒険ツールに変えてくれる輪行を活用し、自転車旅を思いっきり楽しんでみてくださいね。

All photos by Yuhei Tonosho

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