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歳は取るもの、尿はちょい漏れるもの!? 40代向け尿漏れ対策に取り入れたいセルフケア【薬剤師解説】

  • 2024.10.17

彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人です。タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けていて…。
そんなえりのボスのもとには今日も悩みを抱えた女性が立ち寄ったようですよ。悩みはずばり、40代の何気ない時にやらかしてしまう「尿漏れ」――。

【えりのボスの「あと半歩で幸せ」】

“本家”に負けないくらい人生かかってます(漫画:腹肉ツヤ子)
“本家”に負けないくらい人生かかってます(漫画:腹肉ツヤ子)

1. 40代になり、くしゃみや笑ったときに尿漏れが気になり始め…

今回は、さやかさん(40歳女性/仮名)からご質問をいただきました。

「恥ずかしい話ですが…。最近、尿漏れするんです。いつもじゃなくて、重いものを持ったときや笑ったとき、くしゃみをした拍子に漏れることもあって」

「もともと、女性の方が男性よりも尿道が短くて、尿漏れしやすいといわれているわ。とくに、40~50代になると女性の2人に1人が尿漏れ経験をしているみたいよ」

悲しそうな顔をするさやかさんを励ますえりのボス。けれど、さやかさんはうつむいたままです。

「尿漏れが気になって白いパンツやスカートを穿けなかったり、家族や友達から外出に誘われても、行く気になれずに断ったりして…」

今にも泣き出しそうな顔をするさやかさん。

これは放っておけません!

2. 尿漏れが起きるメカニズム

尿漏れの原因は?(写真:iStock)
尿漏れの原因は?(写真:iStock)

「そもそも、どうして尿漏れが起きるんですか?」

「尿漏れの原因は、骨盤底筋のゆるみだといわれているわ。尿道を固定している骨盤底筋という筋肉がゆるむことで、ちょっとした原因で尿が漏れてしまうのよ。とくに、更年期の女性に多いといわれているのよ」

「どうして更年期の女性に多いんですか?」

「更年期になると、『エストロゲン』という女性ホルモンの分泌量が減少するの。その影響で筋肉量や骨量が減少して、骨盤底筋がゆるみやすくなるわ」

「でも…同年代の友達から尿漏れの悩みを聞いたことなんてありません」

まだ暗い顔をしているさやかさんに、えりのボスは優しく語りかけます。

「尿漏れの悩みは、恥ずかしくて周りの友達に言えない人も多いの。それに、更年期の時期や症状の程度には個人差があるから、同年代でも全員が同じ悩みを抱えているとは限らないわ」

「なるほど…」

「出産経験の有無や回数、高齢出産かどうかも尿漏れのしやすさに関係があるのよ。複数回出産していたり高齢出産だったりすると、ゆるんだ骨盤底筋が戻りにくいといわれているの」

「年齢以外にも尿漏れの原因ってあるんですね!」

【読まれています】産婦人科医の「腟ヒアルロン酸」セミナーに潜入! 感度が高まるって本当? 女性への実技も見学してきた

3. 尿漏れの種類

40~50代の女性が悩む尿漏れは、主に以下の3種類です。

3-1. 腹圧性尿失禁

くしゃみの拍子に…(写真:iStock)
くしゃみの拍子に…(写真:iStock)

くしゃみをしたり重い荷物を持ち上げたりして腹圧がかかったときに尿が漏れるのが、腹圧性尿失禁。走ったりジャンプをしたり、急に立ち上がったりしたときに尿が漏れることもあります。

40~50代の女性に多い失禁だといわれています。

3-2. 切迫性尿失禁

間に合わない!(写真:iStock)
間に合わない!(写真:iStock)

切迫性尿失禁とは、突然「トイレに行きたい!」と思い、我慢できずに漏らしてしまう失禁です。脳梗塞やパーキンソン病、膀胱がんや子宮脱が原因となっていることが多いといわれています。

3-3. 混合性尿失禁

前述の腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の2つの症状がある失禁が、混合性尿失禁と呼ばれています。

4. 尿漏れの改善・予防方法は?

尿漏れの原因が脳梗塞や膀胱がんの場合、早急に病院を受診しましょう。一方、骨盤底筋のゆるみが原因で尿漏れを起こしている場合、セルフケアで改善・予防することも可能です。

自分でできる改善・予防方法を紹介します。

4-1. 骨盤底筋体操

自分に合う姿勢(写真:iStock)
自分に合う姿勢(写真:iStock)

骨盤底筋体操を毎日行うことで、少しずつ骨盤底筋のゆるみを改善することが期待できます。仰向けでひざを立てた状態、ひじとひざを床につけて四つん這いになった状態、座った状態など、自分に合う姿勢で試してみてください。

(1)深呼吸をして全身の力を抜き、神経を骨盤底に集中させる
(2)肛門や膣をおなかの方に引き上げる感覚で5秒間引き締める
(3)締めた筋肉を緩め、再度5秒締める
(4)上記の運動を5~10回繰り返す
(5)少し時間をおいたら、(2)~(3)の運動を1秒間隔で5~10回繰り返す

上記の体操を目安として1日4回行ってみてください。少しずつ骨盤底筋のゆるみが改善していきますよ。

4-2. 膀胱訓練

頻尿気味な人は、それほど尿がたまっていないのにトイレに行きたくなる場合があります。これは、尿を我慢する訓練によって解消できる可能性があるでしょう。

尿意を感じたとき、すぐにトイレに行かずに5~10分我慢してみてください。それができるようになったら、少しずつトイレを我慢する時間を延ばします。

我慢できるようになった時間を記録していくことで、訓練の成果がわかりやすくなりますよ。ただし、無理はしないでくださいね。

4-3. 尿漏れパッドの使用

尿漏れパッドを使ってみて(写真:iStock)
尿漏れパッドを使ってみて(写真:iStock)

尿漏れが下着や衣服に響かないか気になり、外出をするのが怖いと感じる人もいるでしょう。その場合は、尿漏れパッドが役立ちます。オムツタイプだけではなく、生理用のナプキンと同じ感覚で使用できますよ。

消臭効果もあり、薄いため外出の際に尿漏れパッドを付けておけば安心できるでしょう。

ただし、尿漏れパッドによって対策をするとそれに依存してしまい、尿漏れしやすくなる恐れがあるといわれています。骨盤底筋体操や膀胱訓練を行いながら、サポートとして使用してくださいね。

4-4. 強く力まない

40~50代に多いといわれている腹圧性尿失禁は、おなかに力が入ることが原因です。失禁しないために、普段から力まないことを意識しましょう。おなかを締め付けるようなファッションを避けることも効果的ですよ。

4-5. 漢方薬の服用

漢方薬でも対処可能(写真:iStock)
漢方薬でも対処可能(写真:iStock)

尿漏れは漢方薬の服用によって対処することもできます。漢方薬のなかには「尿漏れ」に効果が認められているものもあり、実際に、泌尿器科で処方されることもありますよ。

尿漏れには、「膀胱の機能を正常化する」「弛んだ筋肉を引き締める」「自律神経の乱れを整え、排尿のコントロールを改善する」といった漢方薬を選び、根本改善を目指しましょう。

<尿漏れ対策におすすめの漢方薬>

(C)コクハク
(C)コクハク

・八味地黄丸(はちみじおうがん):疲れやすく、手足の冷えがある人におすすめ。泌尿器の機能を高め、頻尿や残尿感、尿漏れを改善します。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):食欲不振で元気のない人におすすめ。下がってしまった内臓や骨盤底筋を引き上げる働きがあります。

スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. 尿漏れが気になったら早めの対策を!

「もう尿漏れは治らないと思っていたんですが、自分でできる体操や訓練があるんですね! それに尿漏れパッドもあるなら、外出するときも安心できそうです」

相談に来たときとは違い、明るい表情を見せるさやかさん。

えりのボスは優しく話しかけます。

「尿漏れは、年齢を重ねると多くの人が経験する悩みよ。セルフケアを試しつつ、気になることがあったら恥ずかしがらずに病院の受診も検討してみてね」

「はい、わかりました! よーし、早速この前断った友達や家族に謝って、またお出かけの約束をしなきゃ!」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

優しい表情でサロンを去っていくさやかさんを、えりのボスは笑顔で送り出しました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(文・コクハク編集部/漫画・腹肉ツヤ子)

◇ ◇ ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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