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1枚の間取り図によって見えてきた恐ろしい因習とは? 最新4巻が発売し、いよいよ闇の最奥へ突き進むコミック版『変な家』

  • 2024.10.16
ダ・ヴィンチWeb
『変な家』(雨穴(飛鳥新社刊):原作、綾野暁:漫画/一迅社)

雨穴氏による衝撃のデビュー小説『変な家』(飛鳥新社)。YouTubeでの動画やオモコロでの記事と連動する形でスタートしたプロジェクトは想像以上の広がりを見せ、2024年には間宮祥太朗氏の主演で実写映画化された。原作小説のシリーズ累計発行部数は250万部を突破しているというから、本作がいかに話題を集めたかがわかる。そんな『変な家』はコミカライズもされている。作画を担当する綾野暁氏は、なんと公募で選ばれたそう。非常に美麗なタッチでありながらも作中に漂う不穏さを絶妙に表現しており、漫画という「画のメディア」ならではの形で本作の世界観をしっかり楽しめるように配慮されていることが伝わってくる。

このコミック版『変な家』(一迅社)の第4巻がついに発売。物語はいよいよ最奥へと近づいていくのだが……そもそも本作に乗り遅れてしまった、という人のために簡単におさらいをしておこう。

物語の主人公はオカルト専門フリーライターの〈私〉。淡々とした冷静さと抑えきれない好奇心が同居するような人物だ。そんな主人公のもとに、あるとき、1枚の間取り図が持ち込まれる。閑静な住宅街に建つ2階建ての家で、一見、優良物件のようだ。しかし、よくよく見てみると、謎の空間があることに気づく。ダイニング、寝室、キッチンに囲まれた箇所に、扉のない小さなスペースがあるのだ。不思議に思った主人公は、この間取り図をオカルト好きな建築士・栗原にも見せる。すると栗原は、たった1枚の奇妙な間取り図から導き出せる恐ろしい推理を披露してくれる。この家では「殺人」が行われていたのではないか、と……。

そう、たった一枚の間取り図。そこからイマジネーションが広がっていくのが、本作の面白いところだ。栗原の推理に対し、「それは流石に突拍子もない」と感じる人もいるかもしれない。しかしながら、小さな違和感を集めていくと、その推理が徐々に説得力を増していく。2階にある子ども部屋に二重扉が付いていること、子ども部屋なのに窓がないこと、トイレの位置、シャワー室と別に浴室が設けられていること――。ひとつひとつはなんのつながりもないように見えるが、実はパズルのピースになっていて、組み合わせていくことで恐ろしい風景が浮かび上がってくるのだ。

もちろん、そこで終わらない。この間取り図の件を記事にしたことで主人公は関係者とつながり、その出会いが、次の間取り図へとつながっていく。そして主人公と栗原はやがて、奇妙な間取り図の奥にある驚愕の因習へと辿り着くことになる。

最新の第4巻で明かされるのは、その「因習」についてだ。ネタバレになるので詳細は伏せるが、とにかく陰惨で恐ろしい。同時に、作者である雨穴氏の想像力、構成力の巧みさに舌を巻くだろう。それはぜひ、本作で確かめてもらいたい。

マンガ版『変な家』が盛り上がってくるのはこれから。雨穴氏が生み出したこの物語の勢いは、まだまだ止まらないだろう。

文=イガラシダイ

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