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栗山千明さん、転機はハリウッドから訪れた。35年間の芸能生活を語る

  • 2024.10.16

子役モデルとしてデビュー以来、俳優としてモデルとして35年にわたり芸能界で活躍する栗山千明さん。映画『八犬伝』では、怨霊役も。仕事との向き合い方やターニングポイントになったあのハリウッド作品について、そしてこの10月に40代を迎えたばかりの心境についても語ってくれました。

映画『キル・ビル』が変えた俳優の道

――芸能界で長く活躍されています。振り返って、ターニングポイントとなったのはいつでしょうか?

栗山千明さん(以下、栗山): 最初のターニングポイントはやはり、1999年に地元の茨城県から東京に出てきたときだと思います。高校入学のタイミングで、地元に戻るか、東京に来て真剣に芸能の仕事に向き合うかを考え、上京を決めました。今思えば本当に大きな決断をしたなと思いますが、当時はただ楽しいから東京に行きたいという気持ちでした。高校生のときは、学業と両立させながら芸能活動をしていましたし、そこまで重い責任を感じることもなく無邪気に仕事を楽しんでいました。

朝日新聞telling,(テリング)

――その後、2003年にはクエンティン・タランティーノ監督の目に止まり、映画『キル・ビル Vol.1』でハリウッドデビューも果たしました。

栗山: それは今となっては大きな転機のひとつですが、当時はまだ若かったので、それがすごい大舞台だという知識も自覚もまるでなかったんです。プレッシャーや不安でいうと、「英語を話せないけど大丈夫かな?」という程度でしたね。でも逆に、それくらいの気持ちだったから、飛び込めたのだと思います。

『キル・ビル』ではもともと分厚い台本の中の1ページだけにちょっと出演するくらいの役でしたが、結果的にすごく注目していただきました。この作品があったから、その後たくさんのドラマや映画のお仕事をいただけたので、『キル・ビル』のおかげで今もお芝居の仕事を続けられていると思っています。

朝日新聞telling,(テリング)

その時の自分にふさわしい役をひとつずつ

――恋愛からサスペンス、今回の時代劇映画『八犬伝』まで、さまざまな作品で多様な役を演じています。

栗山: とてもありがたいことと思っています。多様な役の中でも、今回『八犬伝』で演じた怨霊の玉梓(たまずさ)のような、振り切った役はとても演じがいがあって楽しいですね。
ナチュラルな日常を描くような作品も面白いですが、難しいなと感じることもあります。恋心ひとつとってみても、共感できることもあれば、できないものもあります。自分とは違うタイプの役を演じるときは、「こう考えるということは、きっとこういう人なんだろうな」と想像しながら役を理解して、演じるようにしています。

――子どもの頃から芸能活動を続けています。1つのことを続ける秘訣はありますか?

栗山: ずっとこの仕事をしているので、他に自分に何ができるかわからないんですよ。自分にできることをしてきた結果、気が付けばすごく長くなっていた、という感じですね。ただ、もともと好奇心が強いので、機会をいただいたときに、楽しそうだと思うことには挑戦してきました。年齢を重ねるごとに、新しいことに対して腰が重くなってしまうと思ったので、10代、20代の頃は「今のうちかも!」という思いもありました。

過去には音楽活動をさせてもらったこともあります。そうして歌を歌った経験が、舞台で歌を歌う仕事で生きています。経験は必ず何かの役に立ちますし、それぞれに相乗効果はあると思います。

朝日新聞telling,(テリング)

――10月で40代になったばかりです。今の心境はいかがですか?

栗山: 40代って、もっとしっかりしているのかなと思っていました(笑)。私自身が若い頃に思い描いていた40代と今の自分はかなり違うけど大丈夫かな?という思いはあります。焦りや不安を感じているわけではないのですが、知識やスキルなどの面で、もう少ししっかりしなければと思っています。「まだできていない」という思いが強いのだと思います。

この先、演じる役も変わっていくと思いますが、母親の役、おばあさん役と、その時できる役を、1つずつ段階を踏んで演じていきたいですね。年相応の役を演じていけるのが一番だと思っています。

私自身は独身ですが、やはり20代の頃とは違って道ですれ違う子どもを見ても「かわいいな」と感じる気持ちが強くなりました。あと、涙もろくなりましたね(笑)。10代は学業もありましたし、20代はとにかく忙しくさせてもらって、ずっとがむしゃらに走ってきて、最近ようやくプライベートの時間も楽しむ余裕ができました。「観葉植物を育ててみようかな」と思ったり。本当に小さなことなのですが。

ここまでの20年間でそうした心情の変化を感じるので、この先10年、20年後もまた変わっていくのだと思います。それに伴って演技で表現できることも変わっていくだろうなと考えると、楽しみですね。

朝日新聞telling,(テリング)

――同世代の読者の方に、メッセージをお願いします。

栗山: 仕事もプライベートも、少し余裕ができてきて、これからが楽しいときだと思います。子育ての真っ最中で大変な方もいらっしゃると思いますが、この先には成長したお子さんと楽しく過ごせる時間が待っていると思います。いま不安や葛藤を感じている人も、きっとこれからもっと楽しくなると信じて、一緒に歩んで行きましょう。

ヘアメイク:奥原清一(suzukioffice)
スタイリスト:ume

■尾越まり恵のプロフィール
ライター/株式会社ライフメディア代表。福岡県北九州市生まれ。雑誌、WEB、書籍でインタビュー記事を中心に取材・執筆。女性のハッピーを模索し、30代はライフワークとしてひたすらシングルマザーに密着していました。人生の決断を応援するメディア「わたしの決断物語」を運営中。

■植田真紗美のプロフィール
出版社写真部、東京都広報課写真担当を経て独立。日本写真芸術専門学校講師。 第1回キヤノンフォトグラファーズセッション最優秀賞受賞 。第19回写真「1_WALL」ファイナリスト。 2013年より写真作品の発表場として写真誌『WOMB』を制作・発行。 2021年東京恵比寿にKoma galleryを共同設立。主な写真集に『海へ』(Trace)。

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