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元Meta COOのシェリル・サンドバーグが説く、女性リーダー誕生のために必要なこと【気鋭のイノベーター】

  • 2024.10.15
2019年にミュンヘンにて行われたDigital Life Design のイノベーションカンファレンスに登壇したシェリル・サンドバーグ。Photo_ picture alliance/Getty Images
DLD Innovation Conference2019年にミュンヘンにて行われたDigital Life Design のイノベーションカンファレンスに登壇したシェリル・サンドバーグ。Photo: picture alliance/Getty Images

「これまで私は、リーダーとして職場における方針や取り組みに幾度となく動揺したり、不安を感じる瞬間がたくさんありました。Metaでは、COOという役職についていたことと、マーク・ザッカーバーグの後ろ盾があったので、会社の方針に対してたくさん意見を述べることができました。が、振り返るとあのときもっと言っておけばよかったと後悔することも少なくないのです。そのうちいくつかの案件に関しては、もっと早くから声を上げることを学んでいたら解決できたはずですから」

2023年、アメリカ「CNBC」のインタビューでこう語ったMetaの元COOで、現在LeanIn.Orgのファウンダーのシェリル・サンドバーグ。1969年、眼科医の父ジョーとフランス語の大学教授を務めていた母アデルとの間にアメリカ・ワシントン州で生まれた彼女は、一家でフロリダ州に移住後、ノース・マイアミ・ビーチ高校に進学。1987年にハーバード大学に学び、1991年に経済学の学士号と主席卒業生に与えられるジョン H.ウィリアムズ賞を受賞して卒業した。続く1993年にハーバード・ビジネススクールでMBAを取得後、1995年に世界的なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2001年からビジネス ユニットゼネラル マネージャーとしてGoogle社に在籍。そして2008年、MetaのCOOに就任した彼女は2022年8月に同社を退職し、現在自身の組織LeanIn.Orgを率いて女性リーダーの育成に取り組んでいる。

女性リーダーが生まれにくい理由

2022年にNYにて開催されたWomen's Media Awardsに出席。Photo_ Dave Kotinsky/Getty Images
The WMC 2022 Women's Media Awards2022年にNYにて開催されたWomen's Media Awardsに出席。Photo: Dave Kotinsky/Getty Images

そんな彼女は、自身のキャリアの中で感じた女性のリーダーシップの難しさについて、アメリカのメディア「whatwilltake.com」にこんなふうに語っている。

「一つ面白い話をしましょう。アメリカでは、大統領全員の名前が歌詞になっている歌があり、子どもたちはこの歌で大統領全員の名前を覚えています。ですがあるとき、4歳の娘から『大統領はどうしてみんな男の子なの?』と問われました。これはほんの一例ですが、私たちはリーダー=男性という図式が幼いころから刷り込まれているため、リーダーシップをとるポジションにいる女性は固定観念に少なからず悩まされています。そして、周囲の“大統領は男性であるべき”という期待が、さらなる固定観念の強化に拍車をかけるという負のループを引き起こすのです。これが“ステレオタイプの脅威”と呼ばれるものです」

さらに、実際に数学のテストを受ける前の女性が敬称の「Miss」や「女性」という欄にチェックを入れると成績が少し下がった、という研究結果にも触れながらこう続ける。「このことは、女性の心理の中にもリーダーの件同様に、“数学=男性が得意な学問”という固定観念が刷り込まれていることを意味しています。つまり、周囲の人も、女性たちも、リーダー的なポジションに女性が起用されることを無意識に期待していないから、女性リーダーがいないのです」

鍵を握る“思い込み”の払拭

2019年にビバリーヒルズで開催されたイベントにて。Photo_ Matt Winkelmeyer/Getty Images
Vanity Fair's 6th Annual New Establishment Summit - Day 12019年にビバリーヒルズで開催されたイベントにて。Photo: Matt Winkelmeyer/Getty Images

このような固定観念を覆すべく、彼女がMeta退職後から取り組んでいるのが、LeanIn.Orgの活動だ。この組織は、よりジェンダー平等な社会を構築することを目指して、女子学生がリーダーシップの目標を設定し、その達成に向けてリスク回避や偏見を是正するスキルを身につけるリーダーシップカリキュラムを提供している。

また、カリキュラム内では、女性同士が学び合うLean In Circles というサークル制度を設けており、現在183か国・ 80,000人以上の女性がこのサークルに在籍。女性のリーダーとしての自覚を養うためのメンタル強化を中心に、頭脳とマインドの両面から女性リーダーの育成に取り組んでいる。

世界を変える女性リーダーの活躍

「私たちは、すべてのジェンダーの人々が偏見やその他の障壁に阻まれることなく、自由に夢を追求できる世界を望んでいます。そして、女性たちがリーダーとして自信を持って活躍し、今より多くの女性が会社や国を動かす世界を望んでいます。すべてのジェンダーが同等に評価されれば、経済や社会はより良いものになるはずです」

LeanIn.Orgのウェブサイトでこう言葉を寄せたサンドバーグは、その目標達成のための絶対条件が、女性の早期教育だと語る。その理由は、女の子は先の固定観念の刷り込みにより、幼少期からリーダーになることを躊躇する傾向があるからだ。「『偉い』という褒め言葉は、男の子のものだと思い込んでいる。だからこそ、女性が率先して社会貢献することを期待し、奨励する必要があるのです」と続ける彼女は、さらにこう踏み込む。

「私たち女性にとっての『選択』は、大抵が仕事か家庭かの二択です。ですが、男性の場合はそうではありません。本当の選択とは、ジェンダーやジェンダーロールに基づいたものではなく、個人的な関心や興味に基づいて行われるべきなのです」と、女性リーダーの誕生についてまわる“人生の選択”の本質にも言及したサンドバーグは、「もし若い頃の自分にアドバイスするとしたら?」との問いに対し、「目標達成に向けた野心的かつ長期的ビジョンを持つこと。18カ月ごとに合理的で実践的で、実行可能なプランを持つこと。そして、大きなチャンスを掴むためには他者に決められたレールの上を歩かないこと」と回答。そして、自身のようにグローバルに活躍するリーダーを目指す女性たちに、常にこんなふうに呼びかけている。

「意思決定が行われる現場にもっと多くの女性が必要です。私たちは今、これまで以上にあらゆるかたちのジェンダー不平等に対し声を上げなければなりません。職場も世界も、誰もが平等に活躍できる場所なら、あらゆるものごとがより良くなるはずですから」(The Sandberg Goldberg Bernthal Family Foundationより引用)

Text: Masami Yokoyama Editor: Mina Oba

SYDNEY, AUSTRALIA - AUGUST 10_ Fernanda Ly wearing Bec + Bridge walks the runway during David Jones SS22 Wonderworld Season Launch at David Jones Elizabeth Street Store on August 10, 2022 in Sydney, Australia. (Photo by James Gourley/Getty Images for David Jones)
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