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うつや不安障害も。メンタルヘルスについて率直に語ったアスリート15人

  • 2024.10.15

10月10日は「世界メンタルヘルスデー」。パリ五輪の金メダリストからサッカー界のスターまで、多くのアスリートが自身の心の不調について語ったエピソードを公開!

Emmanuel Wong

アスリートのメンタルヘルスの問題に一石を投じた存在ともいえるのが、テニスの大坂なおみ選手。2021年の全仏オープンで、大坂選手は出場選手に義務づけられている試合後の記者会見への不参加を発表。その後、うつ状態と不安を理由に同大会を棄権した。

これを受け自身のSNSに投稿したコメントでは、初めてグランドスラムを制した2018年の全米オープン以来、長年うつに苦しんできたことを告白。さらに、次のように語っている。

「もともと人前で話すのが得意なタイプではなく、世界中のメディアを前にすると、大きな不安の波に襲われてしまうのです」

「(全仏オープンのため滞在していた)パリではすでに無防備で不安な気持ちになっていたので、セルフケアのために会見を欠席したほうが良いと考えました」

「これから少しテニスコートから離れますが、最適なタイミングで協会と協力し、選手とメディアとファンにとって、どうすればもっと良い形にできるか話し合いたいです」

自身の心の状態を赤裸々に綴ったこのメッセージには、同じくテニスのココ・ガウフ選手やNBAスターのステフィン・カリー選手をはじめ、多くのアスリートから称賛と連帯の声が寄せられることに。また、ファンからの共感コメントも相次ぎ、世間がアスリートのメンタルヘルスについて考えるきっかけとなった。

Tom Weller/VOIGT

アメリカ女子体操界のスター、シモーネ・バイルズ選手も、メンタルヘルスの重要性について関心を集めるきっかけを作った人物のひとり。

その発端となったのは、2021年の東京五輪体操女子団体決勝でメンタルヘルスを理由に途中棄権したこと。金メダルの有力候補だっただけに、当時この決断には批判の声も上がった。

しかし、その後自身のインスタグラムのストーリーズで、「私があきらめてしまったと考えている人へ。私はあきらめたのではなく、シンプルに心と体が協調していなかったのです」「身体の健康は心の健康なのです」と発信。空中で方向感覚を失ってしまう状態、いわゆる“ツイスティーズ”を経験していたといい、競技を続ける上でのメンタルヘルスの重要性を強調した。

また、同日のインスタグラムの投稿では、「世界の重圧が肩にのしかかってくるような時があります」「平気なように見せていますが、時にとても困難なのです!(笑)」と述べ、共感を呼んだ。

その後約2年間の休養を経たバイルズ選手は、2023年に競技に復帰。2024年のパリ五輪では団体、個人総合、跳馬で金メダルを獲得し、再び圧倒的な強さを見せた。

Ian MacNicol

2000年のシドニーオリンピックから5大会連続出場し、通算23個もの金メダルを獲得した人物として、水泳界だけでなく世界のアスリートたちが憧れるマイケル・フェルプスさん。自身のメンタルヘルスの問題について語りはじめたのは、飲酒運転で2度めの逮捕を経験してからのこと。更生プログラムやセラピーを経た2015年、米『スポーツ・イラストレイテッド』誌に対して次のように語っていた。

「長い間、アスリートとしての自分のイメージにとらわれていましたが、人間としての自分を見ていなかったことに気づきました」

その後マイケルさんは見事復帰を果たし、2016年のリオデジャネイロ五輪で5個の金メダルを獲得している。

また、2018年にシカゴで開催されたメンタルヘルス関連の会議では、五輪が終わるたびに襲われていた“うつの発作”について公表。特に2012年のロンドン五輪のあとは「泳ぎたくもなかったし、生きていたくもなかった」ほど深刻な状態だったという。さらに、2024年に行われたNBCのインタビューでは、“五輪後のうつのサイクル”は2004年から始まっていたこと、「当初は(うつとは認識せず)、弱さの兆候だと思っていた」ことなどを明かした。

こうした経験を通し、現役引退後はメンタルヘルスへの意識向上に向けた活動を行っているマイケルさん。前述の大坂選手やバイルズ選手がメンタルヘルスを理由に棄権した際も、2人を支持するコメントを発表している。

Sam Barnes

2024年パリオリンピック男子100メートルで金メダルを獲得したノア・ライルズ選手は、勝利後に見せた「かめはめ波」ポーズや個性的なネイルアートで、日本国内でも大きな注目を集めた。しかし、彼が話題になったのはそれだけではない。金メダルを手にしたあと、自身のXで次のように投稿した。

「私は喘息、アレルギー、失読症、ADD(注意欠陥障害)、不安症、うつ病を持っています。しかし、あなたが“持っている”ものは、あなたが“何になれるか”を決めるわけではありません。あなたにもできる!」

実は以前から自身のメンタルヘルスについて、積極的に語ってきたライルズ選手。特に新型コロナ感染症の影響で東京五輪が延期になり、隔離が日常になった際には深刻なうつに悩まされたと言う。そんなときも、彼は自身のXで心の状況を赤裸々にシェア。「最近、私は抗うつ薬を服用することに決めました。ここしばらくで最も良い決断でした」と発信した。

その後2021年に開催された東京五輪では銅メダルを獲得しているライルズ選手。試合後のインタビューで次のように語る。

「なぜ抗うつ薬の服用を公表したのかと聞かれましたが……声をあげることや薬の服用を始めることさえ恐れている、私のような人がたくさんいることを知っているからです」

「彼らに知ってほしかったのです。私が輝いて見えるのだとしたら、気分が良くないことがあっても大丈夫なのだということを。そして、誰かに話をすることもできるということを」

Matthew Stockman

競技のプレッシャーだけでなく、日常生活のストレスに悩むことがあるのはアスリートも同じ。テニス界の女王、セリーナ・ウィリアムズさんは2017年に第2子出産後、産後うつに悩んだことを公表し注目を集めた。彼女は2018年、自身のインスタグラムで、次のようなメッセージを投稿している。

「先週はかなりつらい1週間でした。個人的な問題を抱えていたうえ、気分も落ち込んでいたのです。特に、『私はいい母親じゃないかもしれない』と」

この年のロジャーズ・カップを欠場したのも、産後の精神的な不調が原因だったという。

実はセリーナさんは2010年にもうつ状態に陥った経験がある。英『ガーディアン』紙によると、肺に血栓が見つかるなどの健康問題がそのきっかけだったそう。復帰のめども立たないなか世界ランキングが下がっていくという状況に「本当に落ち込み、常に泣いていた」と明かした。

その後見事な復活を遂げ、キャリアを通じて23回のグランドスラム優勝という輝かしい記録を残したのはご存じの通り。2022年、歌手のセレーナ・ゴメスとの対談では、「私にとってのメンタルフィットネス(メンタルをケアするための方法)は、シャットダウンの方法を学ぶこと」と語った。再起の裏には、こんなセリーナさん流のセルフケアが寄与していたのかもしれない。

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