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黒胡椒でめちゃ旨!「脱水シート干物」研究は続く

  • 2024.10.15

天日干しではなく、脱水シートで魚を包んで冷蔵庫で干物にする「脱水シート干し」。伊東の人気干物店「島源商店」の内田清隆さんとともに、乾燥バジル、カレー粉、黒胡椒を加えたアレンジを試してみたところ、予想を上回る大成功。大穴は黒胡椒だった!

黒胡椒でめちゃ旨!「脱水シート干物」研究は続く

■乾燥バジルが水分を吸収、香りもふわりと広がった!

そのままでも美味しい手づくり干物。前回に続き、我らが干物師匠・「島源商店」の内田清隆さんに味や香りを加えて楽しむ「変わり干し」を教えてもらおう。

「変わり干しは、脱水シート干しでつくるととりわけ美味しくできます」
内田さんがこう断言するのは、アジの干物で比較実験済みだからだ。一番わかりやすいのが、乾燥バジルをまぶす場合。天日干しでつくった干物にバジルを振って焼いても“ほのかに香る”程度だった。変わり干しだと言われなければ普通の干物との違いがわからないかもしれない。

しかし、バジルをあらかじめまぶしてから脱水シートで包んで寝かせたものは、見た目からして違う。バジルはアジの水分を吸いながら密着して一体化しているのだ。そして、噛み締めるたびにバジルの爽やかな香りが広がる!

「バジルの変わり干しは、魚焼きグリルではなく油をしいてフライパンで焼くのがお薦めです。油で加熱することで香りがより立つからです。オリーブオイルでにんにくを熱してから魚を焼いて、食べる前にレモンを搾るのもいいですね」
内田さんは洋食風の食べ方も提案してくれる。

バジルをかける
バジルをかける
フライパンで焼く
フライパンで焼く
バジルの変わり干し
バジルの変わり干し

■どこか懐かしい「カレー変わり干し」。カレー粉の存在感は大きい!

次に脱水シートで試したのはカレー粉の変わり干し。これはカレーの強さを再認識する結果に終わった。全体的にカレー味になるのだ。ちなみに普通の干物を焼いてカレー粉を振ってもほぼ同じ結果になる。

「うわー、懐かしい味がする」
と撮影し終わった端からムシャムシャ食べているカメラマンの牧田さん。なるほど、これは給食で出てきたカレー味の人気メニューを思い出す。

「カレー粉も油で香りが立つので、フライパン向きです」と内田さん。
ついでに僕も一つご提案。干物は焼いたものをほぐしてサラダに混ぜてもいいのです。香りの強い変わり干物ならばより複雑な味のサラダを楽しめます。

カレー粉をかける
カレー粉をかける
脱水シートで包んで寝かせた
脱水シートで包んで寝かせた
カレー変わり干し
カレー変わり干し

■アジの変わり干しの最高峰!?「黒胡椒変わり干し」の意外な旨さ

アジの変わり干しの中で「最高!」だと僕が感じた調味料は黒胡椒。アジの水分を十分に吸って、彼らが木の上でフルーツだった頃に戻ったようにみずみずしい。たっぷりとまぶしたのに意外なほど胡椒辛さは感じられず、むしろ塩味を上手に引き立てている。これはめっちゃ旨い!

「黒胡椒も油との馴染みがいいのでフライパン焼きが正解ですね。蓋を閉めて焼けば、よりふっくらとした仕上がりになります。魚の脂を落としたいときはグリルで焼いてください」

黒胡椒をかける
黒胡椒をかける
フライパンで焼く
フライパンで焼く
黒胡椒変わり干し
黒胡椒変わり干し

干物を上手につくるだけでなく、その人好みに美味しく食べる方法を教えてくれる内田さん。多くの人に干物を手軽に楽しんでほしいという気持ちが伝わる。引き続き、内田さんの干物道についていきたい。


――教える人

「内田清隆(「島源商店」専務)」

1977年生まれ、東京都江戸川区出身。2005年、妻の実家である「島源商店」に入社。旬の魚を目利きし、脂乗りや身の厚さに応じて仕込み、干し台の向きや干し時間を天候によって変えるなど、魚と塩と天日だけを使った干物づくりの伝統を受け継ぎ、「一口食べれば味の違いを実感する」干物づくりに精進している。内田さんの義父である島田静男さんは『かんたん干物づくり』(家の光協会)という一般向けの本も監修。


島源商店
住所:静岡県伊東市松原本町4‐8
TEL:0557‐37‐2968
http://www.shimagen.com/index.html
※明治30年創業の干物店。卸が中心だが、店頭でも購入可能。

文:大宮冬洋 撮影:牧田健太郎

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