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韓国W杯出場に黄色信号か?負傷者続出、監督交代と難局を迎える韓国の状況とは

  • 2024.10.13
韓国W杯出場に黄色信号か?負傷者続出、監督交代と難局を迎える韓国の状況とは
韓国W杯出場に黄色信号か?負傷者続出、監督交代と難局を迎える韓国の状況とは

Text by Ryo

W杯11回出場の“アジアの虎”韓国が予選敗退の危機?

今月10日、FIFAワールドカップ26アジア3次予選グループB第3節が行われ、韓国代表がヨルダン代表とアウェイで対戦した。

ワールドカップ3次予選の2試合を終えて勝ち点4で並ぶ両国の一戦。チームの絶対的エース、FWソン・フンミン(プレミアリーグ・トッテナム)を負傷で欠くアジアの虎は、2列目の左サイドにFWファン・ヒチャン(プレミアリーグ・ウォルヴァーハンプトン)、中央にMFイ・ジェソン(ドイツ1部マインツ)が入った。

前半23分にファン・ヒチャンがFWオム・ジソン(イングランド2部スウォンジー・シティ)と負傷交代して暗雲の立ち上がりとなったが、前半38分にMFイ・ジェソンがヘディングで先制。

勢いづいた韓国だったが、アクシデントが続いた。後半6分にFWオム・ジソンも右足を痛めてプレー続行が不可能に。それでも後半23分に途中出場のオ・ヒョンギュ(ベルギー1部ヘンク)が追加点を挙げて、2-0で韓国が完封勝利で逃げ切った。

傷つきながらも今年2月に対戦したアジアカップカタール大会準決勝のリベンジを果たした。

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この結果、韓国はワールドカップ3次予選3試合を終えて2勝1分とし、勝ち点を7に伸ばしてグループBの首位に立った。

一見、順調な滑り出しのように見える韓国だが、なぜ予選敗退の危機に直面しているのか。ユルゲン・クリンスマン前監督解任後から続く監督問題に加えて負傷者が続出するなど、芳しくない韓国代表を取り巻く状況を解説していく。

難局が続く韓国代表の監督人事

アジアカップ終了後、クリンスマン前監督を解任したKFA(韓国サッカー協会)は、後任探しに難航した。

KFAは当初、オーストリア1部レッドブル・ザルツブルクでFWファン・ヒチャン、日本代表MF南野拓実らを指導したアメリカ人指揮官ジェシー・マーシュ監督やサウジアラビア代表の監督としてワールドカップ2022を戦ったフランス人指揮官エルヴェ・ルナール監督、過去にKリーグのFCソウルで監督を務めた経験もあるトルコ人の名将シェノル・ギュネシュ監督など、実績のある外国籍監督の招へいに動いていた。

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しかし、条件面で折り合いがつかず交渉の決裂が続いた。相次いで外国籍監督からオファーを断られた要因について、コーチングスタッフを含めたチームでの契約を希望する監督側に対して、KFAの資金繰りが悪化している問題が大きく関係していると考えられる。

KFAは早期の契約解除となったクリンスマン前監督の102億ウォン(約11億円)にも上る違約金の支払いに加え、2022年4月から忠清南道(チュンットンナムド)天安(チョナン)市に建設中の同国代表の新しい練習拠点である大韓民国サッカー総合センターの建設費用に1200億ウォン(約132億6000万円)をつぎ込んでいる。

同代表の有力候補に挙がっていたマーシュ監督だったが、自身が希望するコーチングスタッフとの契約に難色を示したKFAのオファーを断った後に、リーズ・ユナイテッドで共に働いたエワン・シャープ、ピエール・バリユー、フランツ・シーマーを連れてカナダ代表の新監督に就任した。

世界各地でワールドカップの予選が行われている中、限られた予算で優秀な監督の招へいは、KFAが想定していた以上に困難を極めた。

紆余曲折を経て韓国の英雄が帰還

結局ワールドカップ2次予選の再開まで後任の監督は見つからず、3月の2試合はファン・ソンホン監督、6月の2試合はキム・ドフン監督が暫定的に指揮を執った。前者がタイとの2試合を1勝1分、後者が2連勝で2次予選を突破した。

最終予選を目前に控え、KFAは7月8日に当時Kリーグ1蔚山HD(旧・蔚山現代)のホン・ミョンボ監督を新たな指揮官として任命。韓国の英雄にとって、2014年のFIFAワールドカップを指揮して以来、10年ぶりにアジアの虎への帰還となった。

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指揮官の初陣となった先月5日のパレスチナ戦はホームで1-1のドロー。同月10日のアウェイで行われたオマーン戦は3‐1で勝利した。2試合で勝ち点4を積み上げるも、どちらの試合も展開のスピードに欠け、停滞感が漂う試合内容だった。また、選手同士の距離のバランスが悪いため、相手陣地の深い位置までボールを運べず、カウンターを受けてピンチになる悪循環はクリンスマン政権から改善されていなかった。

アジアカップでの敗退以降、本来は段階的に積み上げていかなければならないチームの指標やプレー原則の浸透が、その場凌ぎの監督人事によってまったく構築できなかった。結果的に選手の能力頼みの戦い方となってしまった韓国にとって、イングランド・プレミアリーグで活躍を続けるFWソン・フンミンとFWファン・ヒチャンの不在はあまりにも大きすぎた。

監督選任に政府が介入?W杯出場権はく奪も

ホン・ミョンボ監督が韓国代表の指揮官に就任した後も、この問題は新たな危機を生んでしまった。FIFA(国際サッカー連盟)がKFAに懲戒処分を科す可能性が浮上したからだ。

同国の国家行政機関である文化体育観光部が、ホン・ミョンボ監督が不透明で不公正な面接過程を経て監督候補に推薦されたと認定した。この件に関して、ユン・ソンニョル大統領が「真相を明らかにし、現場の誤った慣行を正すことができる確実な改善案を用意せよ」と通達したことで、FIFAから政治介入を指摘された。

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FIFAは定款第14条「第三者の干渉を受けてはならない」、第15条「いかなる政治的干渉からも独立しなければならない」と規定している。

2015年には、クウェート政府が自国の体育団体の行政に介入できるよう改正したスポーツ法をFIFAが問題視し、クウェートサッカー協会の資格停止と国際大会の出場権をはく奪する処分を下した。

ユ・インチョン文化体育観光部長官は、FIFAから届いたとされる監査関連の公文書について、「儀礼的な手続きだ」とし、政治介入による懲戒の可能性はないだろうと話していた。

しかし、ユ・インチョン長官はチョン・モンギュKFA会長の4期連続での続投に対して「是正命令を下すだろう。それでも駄目なら承認を許さない」と強硬な姿勢を示した。この発言をFIFAが政治介入の証拠とすれば、実際に懲戒が科される可能性が高い。

KFAの体制に批判が絶えない国内の意見とは異なるFIFAの指摘に対し、文化体育観光部がどの程度譲歩できるかが争点になる。この一件に関わる政治家やKFA関係者は、これ以上世論に流されない合理的な判断が必要だ。

満身創痍でイラクとの首位攻防戦へ

韓国代表は15日に勝ち点7で並ぶ2位イラクとホーム(龍仁ミルスタジアム)で直接対戦する。

イラクとは今年1月にアジアカップ前のトレーニングマッチで対戦し、このときは韓国が1-0で勝利した。しかし、イラクはアジアカップ本大会で日本に勝利してグループDを首位で突破するなど実力を証明した。その後、ヨルダンに敗れてベスト16で同大会を後にするも、ワールドカップ予選7試合で6勝1分と無敗が続いている。

さらに、9月のオマーン戦で肋骨を負傷し、今回の代表ウィークには間に合わないと予想されていたイラクのエースFWアイメン・フサイン(カタール1部アル・ホールSC)がイラク代表に電撃復帰。10日のパレスチナ戦ではチームを勝利へ導く決勝点を奪っている。アジアカップでも日本から2得点を奪ったエースストライカーは、韓国にとっても大きな脅威となるだろう。

韓国W杯出場に黄色信号か?負傷者続出、監督交代と難局を迎える韓国の状況とは
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イラクとのグループ首位攻防戦を目前に控える中、FWソン・フンミンとFWファン・ヒチャンの不在は韓国代表にとって大打撃であることは言うまでもない。

それでも今月10日のヨルダン戦では、負傷者が続出した点を除いて希望が持てる内容だった。

試合序盤はヨルダンの前線からのプレッシャーに手を焼くも、徐々にペースを取り戻した。落ち着いて相手を引き込み、ボールを保持して試合をコントロール。守備面ではDFキム・ミンジェ(ドイツ1部バイエルン)とDFチョ・ユミン(UAE1部アル・ジャジーラ)を中心にヨルダンのショートカウンターに冷静に対処した。途中出場した21歳のMFペ・ジュノ(イングランド2部ストーク・シティ)が1アシスト、23歳のFWオ・ヒョンギュが1得点を記録するなど、これまで目立ったチャンスを作れなかった若い選手が躍動した。

11回目のワールドカップ出場のためには、危機的状況を打破する新戦力の活躍が不可欠だ。

韓国とイラクのグループB首位攻防戦は、日本時間15日午後8時からDAZNでライブ中継される。

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