子供の勉強に親がどこまで口出しをするか。これはとても難しい問題ですよね。今回は、私のママ友Aさんのエピソードをご紹介します。親の過干渉によって壊れそうになった中学生の息子。自分の過ちに気づいたAさんが取った行動とは?
90点以下は許さない
Aさんは優秀な人で、高校は県内でも有数の進学校に進学。しかし、大学受験に失敗してしまった経験があり、同じ失敗をしてほしくないという気持ちから、息子に厳しい一面があります。
そんな母親に好かれたいと息子は必死に勉強に励み、常に学年トップ10に入るほどの秀才に成長しました。
しかし、この頃調子が良くありません。テストで満足のいく点が取れない息子に、Aさんは「お前は頭が悪い。出来損ないね」と冷たく当たる日々。Aさんにとって普通は90点。それ以下は許されないのです。
塗りつぶされた通知表
学期末。通知表を持って帰ってくるはずなのに、息子はAさんに通知表を出そうとしませんでした。
「早く出しなさい!」と怒るAさんに、「どっかいった。知らない」と白を切る息子。「そんなわけないでしょう!」と激昂したAさんは、無理やり息子のカバンの中を捜索したのです。
「な、なにこれ……?」
カバンの奥底にあった通知表を見て、Aさんは唖然としました。なんと通知表の学年順位の欄が、真っ黒く塗りつぶされていたのです。
学校に連絡して確かめると、今学期の学年順位は30位だったとのこと。それは息子にとって、これまでの中で最低順位でした。
息子の気持ち
「母さんに見せたら、この家に居られなくなるかと思って衝動的にやってしまった。どうせバレるのにね」
そう語る息子は、死んだような目をしていました。
「本当はもっとスポーツをしたり、友達と遊んだりしたい。でも母さんに嫌われたくなかったから、ひたすら勉強を頑張ってきた。それなのに結果が残せない僕はダメな奴だね」
Aさんはこのとき初めて自分が息子にしてきたことの罪の重さに気が付きました。勉強に重きを置きすぎて、息子から自由を奪っていたことに。
「今まで苦しめてきてごめんね。もう煩く言わないから。大好きだよ」
Aさんは泣きながら息子をギュッと抱きしめました。
それからは、息子に自分の理想を押し付けるのをやめ、勉強に対しても寛容的になったAさん。伸び伸びと過ごす息子を見て、日々幸せを感じているそうです。
【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2024年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:花澤ひかる
主婦ライター。ママ友たちからの悩みを聞くうちに、この声を世に届けたいと、ブログなどで活動を開始し、現在はltnライターに転身。主婦目線を大事に、ママ世代へのフィールドワークと取材を行い、そのリアルな思いをコラムにすることをライフワークにする。