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吉沢悠さん(46)妻は常に味方でいてくれる存在「円満だからこそ、不倫役も全力で臨めます」

  • 2024.10.13

昔から変わらない甘いマスクと、優しいオーラを纏った実力派俳優・吉沢悠さん。プライベートでは、2013年にモデルの桐山マキさんと結婚。デビューから27年、俳優として活躍しながら公私ともに充実した毎日を送っている吉沢さんに、これまでの俳優人生や、40代でも生き生きと輝き続ける秘訣、結婚生活などについて語っていただきました。

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吉沢悠さんprofile

1998年、テレビドラマ「青の時代」で堂本剛演じる主人公の親友役で俳優デビュー。以後、現代的な作品から時代劇まで幅広い作品に数多く出演。2003年、「星に願いを。」で映画初主演し、演技力と甘いルックスで注目を浴びる。その後、2005年に芸能活動を休止、ニューヨークに短期留学する。翌年、芸能活動を再開し、それ以降も映画やドラマなど精力的に活動を続ける。現在出演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」では主演を務める。2024年10月12日より放送の日本テレビ系ドラマ「放課後カルテ」、2024年11月1日より公開の映画「十一人の賊軍」、2025年大河ドラマ「べらぼう」に出演予定。

夫婦関係が上手くいっているからこそ、不倫の役も振り切って演じられる

俳優業は不規則で家を空けることも多いので、妻には苦労をかけている面もあると思います。その分時間が許す限り、愛犬も一緒にカフェでランチをしたり、旅行に行ったり…夫婦の時間は大事にしていますね。僕たちには子どもがいないので、夫婦それぞれが単独でも行動できてしまう。だからこそ相手が最近どんなことをしていて、何を考えているのかということに無関心にはなりたくないと思っていて。できるだけパートナーに対して、アンテナを張るように心がけています。

うちの妻は負けず嫌いなところがあり、辛い時でもあまり弱音を吐かないんですよ。そんなふうに自分の弱い部分を必死に見せないようにしている人に「いやいや、今辛いんでしょ?絶対何かあるでしょ?」と無理に土足で踏み込んでいくのも良くないと気づいたんです。本当は吐き出して欲しい気持ちもありますが、それが相手にとって心地よいかどうかはまた別の問題ですよね。夫婦のコミュニケーションの中で得たこの気づきは、家庭の外の人間関係でも活かされています。

昨年、テレビ朝日系のドラマ「泥濘の食卓」で不倫に溺れる男性の役を演じたのですが、実際の夫婦関係がうまくいってないと、そういう役はできないと思いました。演じている最中に、もし実生活でもリアルに不倫していて現場を撮られたとしたら「プライベートでもそうなんかい!」と一番美味しいところを持っていかれるだけですからね(笑)。絶対にそういうことはないという自信があるからこそ演じられる役だと思っています。プライベートがちょっとでもグレーだったら、さすがに罪悪感がちらつくと思うんですよ(笑)。自分に叩かれる要素が無いから、どんなにひどい役でも受けて立ちますし、思いっきり振り切って役に没頭できますね。

そんな、いわゆる”クズ”なキャラクターに対しては、「なるほどな、わかるぞ」と感情移入して寄り添うことはできませんが、なぜそうならざるを得なかったのか…その背景や原因を紐解いていくのは面白いんです。「泥濘の食卓」で不倫した男の役で言うと、夫婦関係が破綻して、子どもとも意思疎通ができないという家庭内のフラストレーションがあったんですよね。支えとなる存在もなかったことで、不倫という安易な心の居場所に救いを求めてしまった…。そういう意味では、きっと寂しかったんだろうなと想像できる。そんなふうに向き合いながら、役作りをしています。

僕にとって妻は、いつでも絶対的に味方でいてくれると心から思える人。だからこそ、自分自身も彼女を裏切ってはいけないなと思っています。今後もどんなにクズ役のオファーが来たとしても、クリーンな自分で正々堂々と演じますよ(笑)。

時代劇を通して"古き良き日本"を後世に伝えていきたい

今後、役者として挑戦したいことは時代劇。昔は水戸黄門など時代劇のドラマも日常的に放送されていましたけど、今はそういった作品自体が少なくなってきていますよね。時代の流れとしては仕方ないのですが、日本独自の文化や美しい所作は、これからの世代の人たちにきちんと伝えていく必要がある。その時に、机の上で勉強として学ぶよりも、エンターテイメントとして触れられた方がきっと楽しいし伝わりやすいと思うんです。

日本にはこんな良さがあるんだとか、男性も女性も粋でカッコいいなとか…そういう大和魂みたいなものをダイレクトに感じられるのが時代劇の作品。せっかく俳優をやっているので、歴史的な題材は大事にしていきたいジャンルです。そのために殺陣も習っているので、いつ何時そういった作品のオファーがきたとしても準備万端ですね。

今一緒にお仕事をしている舞台のクリエイティブスタッフが海外の方で、葛飾北斎の描いた富士山の絵を「なんて素晴らしい作品なんだ」と昔から感動していたらしくて。日本で初めて実際の富士山を見た時には、心が震えたと興奮しながら話してくれました。僕はあまり詳しくなかったので、「そんなに人気なの?」と聞いたら「何言ってるの!すごく有名だし人気だよ!」と怒られました(笑)。

日本人が思っている以上に、海外の人の方が日本の価値に気づいて良さを認識してくれていることもあるんですよね。そんな日本の良さを、もっと多くの人たちに伝えていかないともったいない。海外はもちろんですが、これからの世代に「古き良き日本の文化を継承していく」ことは俳優としての役割の1つだと思うから、しっかり担っていきたいです。

オーディションで主演に抜擢された、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」

年齢を言い訳にせず挑戦することをモットーにしているのですが、僕は46歳にしてオーディションを受けていますからね。実は今出演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の主演も、オーディションで決まったんです。今回の舞台の出演者は、漏れなく全員オーディションで受かった人たち。僕たちが20代の頃は、あまりオーディションの機会は無かったのですが、今海外から入ってくる映画や舞台などの作品では、当たり前のように行われているんです。大御所のベテラン俳優さんでも、受けている方は大勢いらっしゃいます。

僕自身も長年役者としての経験を積んできたとはいえ「この年齢でオーディションなんて大丈夫だろうか…」と不安になることも。海外から来日したクリエイティブスタッフの錚々たるメンバーにジャッジされるわけですから、緊張感も恐怖心もやっぱりあります。でも僕は、普段から”マイナス20歳”の心持ちでいるので(笑)、「せっかく受けたのに…」とは思いません。海外の違う作品では何度もオーディションに落ちていますが、この役には合わなかったと、すぐ切り替えられるメンタルを整えていますね。

最近、プライベートでイギリスを訪れたんです。ハリー・ポッターの本場の舞台を観劇するのが一番の目的。その話をしたら、関係者の人がイギリスのハリー役の役者さんやその家族に会う時間をつくりますよと言ってくれて。パレスシアターというロンドンの劇場で、本来は入れない実際の舞台上に立たせてもらい、お話を聞く機会をいただきました。それはもう心震える経験で、ますます刺激を受けて、日本で演じることへのモチベーションがさらに高まりました。現状に甘んじることなく、年齢や実績にも関係なく、挑戦したからこそ立てることになった舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」。映像の世界とはまた違って長期戦ですが、まずはこの役に真摯に向き合って演じきりたい。心は常に「マイナス20歳」で(笑)、俳優・吉沢悠として、今後も軽やかに挑戦し続けていきたいと思っています。

撮影/古水 良(cheek one) ヘア・メーク/髙取篤史 スタイリスト/大迫靖秀 取材・文/渡部夕子

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