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井之脇海さん「マイナスな気持ちはシュレッダーで切り刻む」 俳優20周年の今とこれから

  • 2024.10.13

話題のドラマ『9ボーダー』や舞台『ボクの穴、彼の穴。W』出演、ナレーションなど、幅広いジャンルで活躍する井之脇海さん。9歳から役者としてのキャリアをスタートし、今年11月には29歳に。デビュー20周年も迎える予定です。30代を目前にした心境や結婚観、キャリアに悩む同世代へのアドバイスなどを伺いました。

30代の自分へのプレゼントを用意したい

――今年29歳となりますが、30代を目前に控えることへの意識はありますか?

井之脇海さん(以下、井之脇): ありますね。特に4月期のドラマ『9ボーダー』に出演して、いわゆる“大台”の変わり目を迎える前の最後の年をどう過ごすか、いろいろと考えるようになりました。僕が思ったのは、次の30代の自分に向けて、何かプレゼントをしたいなということ。たとえば、最近英語の勉強を始めたのですが、20代のうちに少しでも英語を習得できれば、30代になったときに自分の行動範囲が広がるかもしれない。この節目を「次の自分へのプレゼント」を用意する時間にできたらと思います。

――素敵な考え方ですね。年代の節目には、周りと自分の進み具合を感じて焦ったり、自分だけが取り残されるような気持ちを味わったりする人もいます。井之脇さんは、他の人と自分を比較することはありませんか?

井之脇: 同じ年齢の人と比べて何かを焦ることはないです。ただ、いろいろな作品を観ていて「この役を僕が演じてみたかったな」と思うことはあります。もちろん演じている方を否定しているわけではないですよ。たとえば僕は音楽、特にピアノが好きで演奏してきたことを自分の特性のひとつだと思っているんですが、ピアノを弾く役を他の方が演じているのを見ると「自分ならもっと……」とつい悔しく思ってしまうんですよね(笑)。

自分はキャリアが長いし、後輩も増えてきた分、芝居や現場でのあり方を通じて、自分なりに若い世代の方々へ背中を見せられたらと……いや、そうは言っても、芝居ではいまだに苦しむことばかりですね。新進気鋭の若手俳優が一発OKを決めたあと、僕が10テイク目を迎えるとか、ざらにあるので(笑)。

朝日新聞telling,(テリング)

――そんなときは、どのように気持ちを切り替えていますか?

井之脇: 失敗したときや嫌なことがあったときは、何かの裏紙とかにばーっと自分の気持ちを書いて、シュレッダーにかけるんです。自分の気持ちを書いた紙が、どんどん切り刻まれていくのを見ると、ものすごく気持ちが良いんですよ(笑)。嫌な気持ちが浄化されたようで。あとは、すぐ寝ること。そうやって、マイナスな気持ちは、なるべく次の日に持ち越さないようにしています。

パートナーとはお互い独立した関係を

――30代を迎える節目になると、結婚や出産に焦りを感じる人もいます。周りからの見られ方も変わりがちです。井之脇さんには将来像はありますか?

井之脇: 30代だから結婚しなければいけない、子どもを持たなければいけないとは、僕は思いません。年齢によって「こうあるべき」と周りが押し付けるのはおかしいですよね。

ただ、将来についてはあらゆる可能性を考えたいですし、あらゆる可能性に向けて備えられる世の中だとも思います。具体的に考えてはいないですが、たとえば将来子どもを持ちたいと思ったとしたら、男性にもタイムリミットはあるので、いろいろな手段を調べておきたいなとか。

今後どうしたいかと考えてみると……青写真ではありますが、素敵なパートナーと出会って、一緒にいられたらいいですね。お互いに独立した関係でいたいので、好きなことや夢中になっていることがある人に、魅力を感じます。

朝日新聞telling,(テリング)

好きなことを仕事にするつらさもある

――井之脇さんの世代は、社会人として7年目前後を迎える人が多く、転職などキャリアチェンジを考え出す人もいます。

井之脇: ああ、そうですよね。実は僕も、最近、友達3人から転職の話を聞きました。

――悩んでいる人は多いですよね。9歳の頃から俳優業をされている井之脇さんは、今年20周年を迎えるベテランでもあります。仕事を一通り覚えて「このまま続けて良いのだろうか」と考えている人や、何か新しいことに挑戦したい人に向けて、メッセージをいただけますか?

井之脇: まず「何かを変えたい」と思う気持ちは大切にしたいですよね。ただ人生100年時代と言われている昨今ですから、僕らはまだ3分の1も経っていないくらいなんです。そう思うと、無理に焦らなくていいんじゃないかな。好きな仕事に挑戦したいという人も多いかもしれませんが、好きなことを仕事にするつらさもあるので、慎重に選んだほうがいい。

朝日新聞telling,(テリング)

――好きなことを仕事にするつらさ、とは?

井之脇: 好きだからこそ、その仕事の嫌な面を見たときにガッカリしがちだし、自分に対する理想も上がって苦しい思いをすることもある。僕は好きな映画に仕事で携わることができていますが、自分の芝居に満足したことはないし、満足できる日なんて来ないとも思うんですよ。好きだからこそ、その折り合いをつけるのが難しいことがあります。

仕事は仕事、と割り切れるような働き方を選ぶというのも、ひとつの立派な選択肢だと思いますし、「それでも好きなことに関わる働き方に挑戦したい」と思うなら、頑張ってみればいいと思う。お互いまだまだ先は長いので「何かを変えたい」と思った自分の気持ちを大切に、自分のことを信じながら、じっくり考えて選択してほしいですね。

ヘアメイク:新宮利彦
スタイリスト:坂上真一(白山事務所)

■塚田智恵美のプロフィール
ライター・編集者。1988年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後ベネッセコーポレーションに入社し、編集者として勤務。2016年フリーランスに。雑誌やWEB、書籍で取材・執筆を手がける他に、子ども向けの教育コンテンツ企画・編集も行う。文京区在住。お酒と料理が好き。

■大野洋介のプロフィール
1993年生まれ。大学卒業後、出版社写真部に所属した後、フリーランスとして活動中。

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