1. トップ
  2. 恋愛
  3. 思春期の少年少女が求める友情には男女差があった

思春期の少年少女が求める友情には男女差があった

  • 2024.10.12
少年少女の求める友情には違いがある
少年少女の求める友情には違いがある / Credit:Depositphotos

子供の頃、男子の友達関係と、女子の友達関係には何か違いがあると感じていた人は多いかもしれません。

実際、アメリカのイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(UIUC)に所属する心理学者カレン・D・ルドルフ氏ら研究チームが2022年に発表した研究では、思春期の子どもが求める友人との関係には、大きな男女差があると報告されています。

研究によると、少年たちが遊び仲間を求めるのに対し、少女たちは愛情交換する親密な友を望む傾向にあったのです。

研究の詳細は、2022年3月16日付の学術誌『Journal of Early Adolescence』に掲載されました。

目次

  • 少年少女は友人関係から大きな影響を受ける
  • 少年と少女では求めている「友情の質」に違いがある
  • 大人たちが思春期の少年少女をサポートするのに大切なこととは?

少年少女は友人関係から大きな影響を受ける

小学校(アメリカでは6~11歳)や中学校(アメリカでは10~13歳)に通う少年少女たちは、友達との関係から重要な影響を受けます。

実際、これまでに行われてきた多くの研究が、「友情は少年少女時代のストレスを緩和する」と述べてきました。

ちょっとしたトラブルから、家庭環境の問題やいじめなどの大きなトラブルに至るまで、大切な友との関係が支えになるのです。

どんな友情を育むべきか?
どんな友情を育むべきか? / Credit:Depositphotos

ですから大人たちは、少年少女が適切な友情を育めるようサポートしてあげるべきです。

しかし、人によって求める友情の質には違いがあるはずです。

彼らが本当に求めている友情の種類を知っておくことは、上手にサポートするうえで助けとなるでしょう。

そこで今回の研究チームは、アメリカ中西部の2つの学校から73人の小学生(平均10歳)と80人の中学生(平均12歳)を対象に、どんな友情を求めているかアンケートを取りました。

彼らには友情における18の特性を評価してもらい、その中で最も重視する特性を3つ答えてもらいました。

少年と少女では求めている「友情の質」に違いがある

思春期の男の子は「一緒に遊ぶ友達」を求め、思春期の女の子は「感情を共有する親密な友達」を求める
思春期の男の子は「一緒に遊ぶ友達」を求め、思春期の女の子は「感情を共有する親密な友達」を求める / Credit:Depositphotos

アンケートの結果、少年少女が求める友情には、大きな差があると分かりました。

少年は友達に対して「楽しさ(昼休みに一緒にゲームするなど)」や「関わり合い(趣味や関心を共有する関係)」を求める傾向がありました。

対して少女は、「親密さ(動揺したときに慰めてくれるなど)」や「サポート(良いアドバイスをくれるなど)」を求める傾向にあったのです。

しかも、これら男女の違いは小学生の時よりも、中学生になってからの方が顕著になりました。

つまり思春期の初めごろから、求める友情の質が大きく変化し始めるのです。

ルドルフ氏は、この結果について次のようにまとめています。

「幼少期後半から青年期前半の重要な移行時期において、女の子は感情的な欲求を満たす心理的要素に価値を見いだすのに対し、男の子は興味の共有や一緒に楽しむことなど、より明確で娯楽的な要素を重視し始めます

では大人たちは、これら少年少女の価値観の違いを十分に際立たせてあげると良いのでしょうか?

実は、そうとも言えません。

大人たちが思春期の少年少女をサポートするのに大切なこととは?

ルドルフ氏は、「友情に関する価値観をより柔軟に発展させることが大切」だと指摘します。

なぜなら、これらの友情には少なからずメリットとデメリットがあるからです。

例えば、少女が友人に親密さを強く求めるなら、共感性と感情における社会的能力が向上し、感情的な苦痛から身を守れるでしょう。

しかし、親密さを重視するあまり互いに過度に干渉し合い、かえって感情的な苦痛を増大させる恐れもあります。

同様に少年も、友人との楽しみや喜びを強く求めることで、社会性が増し、よりポジティブになれます。

しかし、親密さなどを犠牲にして一時的な楽しみばかりを求めてしまうなら、少年はストレス要因に立ち向かうのではなく、それを無視して娯楽に逃げるようになってしまうでしょう。

確かに男女で異なる友情を見分けることは大切ですが、極端になると不都合が生じてくる可能性があります。

大人たちは少年少女に友情に関する適切な価値観を教えてあげるべき
大人たちは少年少女に友情に関する適切な価値観を教えてあげるべき / Credit:Depositphotos

そのためルドルフ氏は、次のようにアドバイスしています。

「両親や教師、臨床医など、子供の社会化に携わる大人たちは、若者が自分の価値観に合った友人関係を探し、作る方法を教えるべきです。

そして同時に、それぞれの友情の利点と落とし穴を理解できるよう助けることで、友人関係を改善させてあげられます」

もちろん今回の研究はかなりアメリカ人だけを対象とした小規模なものなので、人種や文化によって違いが生じるかもしれません。

研究チームは、その点も含め、今後子供たちの発達をどのように促進できるか、さらなる研究が必要だと考えています。

※この記事は2022年7月公開のものを再掲載しています。

参考文献

Boys and girls have different expectations about friendship, and these gender differences increase during adolescence
https://www.psypost.org/2022/07/boys-and-girls-have-different-expectations-about-friendship-and-these-gender-differences-increase-during-adolescence-63492

元論文

Gender Differences in Friendship Values: Intensification at Adolescence
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/02724316211051948

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる