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ルアールやアナ スイのランウェイで話題。カナダ発の新星ブランド、フェロー・アースリングスのモードなアイウェア【若手デザイナー連載】

  • 2024.10.12

先日幕を閉じたニューヨークファッションウィークで、2025年春夏コレクションを発表したルアールLUAR)。そのランウェイに登場したモデルたちの大半は、オーバーサイズのシールドグラスをかけていた。ブランドの独特のクールな世界観を引き立てる、この大胆なシルエットのアイウェアを手がけたのは誰なのか。ほどなくしてカナダのプリンスエドワード島を拠点とするブランド、フェロー・アースリングス(FELLOW EARTHLINGS)によるものだと判明した。ルアールのデザイナー、ラウル・ロペスとたびたびコラボレーションを行う、遊び心あるデザインで急速にランウェイで存在感を高めつつある注目ブランドだ。

共同設立者のクリストファーとシドニー・セギー。プリンスエドワード島のスタジオにて。
共同設立者のクリストファーとシドニー・セギー。プリンスエドワード島のスタジオにて。

フェロー・アースリングスの共同設立者であるシドニーとクリストファー・セギー夫妻は、言わば「アイウェアの達人」だ。2015年にブランドを立ち上げる前、2人は香港やロンドンなど、各国の都市でアイウェアのライレンス商品管理に関わる仕事をしていた。「クリエイティブ面では窮屈に感じることが多く、そのフラストレーションがアイウェア作りを学ぶ原動力になりました」とシドニーは『VOGUE』に語る。やがて地元のプリンスエドワード島に戻った2人は、自分たちのブランドを立ち上げることを考え始めた。そして今ではプリンスエドワード島に本格的なスタジオを構えるまでになった。

ルアール 2025年春夏コレクションより。
ルアール 2025年春夏コレクションより。

ブランドのシグネチャーであるサングラスは、リサイクルアセテートなど、通常は製造過程から発生する「廃棄物」として扱われる素材から自社で作られているとシドニーは言う。「通常の製造過程では、各平板の約80パーセントが破棄されます。(一方で私たちは)独自のリサイクル・プロセスを開発することでカスタムのアセテートを作ることも可能になり、さまざまな色や厚みを試せるのです」

ルアール 2025年春夏コレクションより。
American Express® Gold Presents LUAR NYFW SS25ルアール 2025年春夏コレクションより。
アナ スイ 2022年春夏コレクションより。
Anna Sui - September 2021 - New York Fashion Week: The Showsアナ スイ 2022年春夏コレクションより。

そのユニークでサステナブルなスタイルにファッションブランドが注目するのにそう時間はかからなかった。立ち上げ以来、ルアールやアナ スイANNA SUI)などとコラボレーションをしているフェロー・アースリングスは、気がつけば「ランウェイ用アイウェア」というジャンルで地位を固めていた。

アナ スイ 2020-21年秋冬コレクションより。
アナ スイ 2020-21年秋冬コレクションより。

彼らが初めてタッグを組んだデザイナーはアナ スイだ。「香港で彼女のアイウェア・コレクションのブランド・マネージャーをしていたことがあって、私たちをものすごく応援してくれました」とシドニーはスイについて語る。2020年に彼女と最初に制作したスタイルの1つには、雲にインスパイアされたサングラスがある。「コロナのロックダウン中に作ったデザインで、明るい気持ちにしてくれる何か、世界を楽観的に見ることができる何かをちょうど必要としていた時期だったので、ソフトなパステル調の色合いを使ったタイムリーなデザインでした」とシドニーは話す。

「デザイナーのよきパートナー」そして環境に配慮した製造プロセスを目指して

ルアールの2025年春夏ショーに出席したマドンナ。
Celebrity Sightings In New York City - September 10, 2024ルアールの2025年春夏ショーに出席したマドンナ。

今季、フェロー・アースリングスはブランドの常連コラボレーターであるルアールと再びアイウェアを制作した。「ラウルとルアールのチームとの制作は、いつもエキサイティングでクリエイティビティが刺激される体験です」

2024年の春、ブランドはマスクにもなるドラマティックなサングラスを作り上げたが、今シーズンは黒いマーブル模様のアセテートを用いた太縁のシールドグラスを打ち出した。90年代後半のパンクグラム・ムーブメントがインスピレーションだというシドニー。昨年のモデルもソランジュ・ノウルズドージャ・キャットといったスターに身につけられたが、今年はルアールのショーにフロントロウゲストとして出席したマドンナが着用。夢を見ているのではないかと疑う、「とてもアイコニック」な瞬間だったと彼女は振り返る。

ルアールのデザイナー、ラウル・ロペス(左)、シギー夫妻、そして4人の子どもたち。
ルアールのデザイナー、ラウル・ロペス(左)、シギー夫妻、そして4人の子どもたち。

ランウェイ用のデザインを依頼されるのがほとんどのフェロー・アースリングスだが、それ以外の特別なプロジェクトも請け負っている。最近ではUS版『VOGUE』9月号カバーストーリーブレイク・ライブリーが着用したキャットアイ型のサングラスを制作。アーティストのアデルには、もう何年も特別にアイウェアを作っているという。ブランドを贔屓にするセレブたちも増えているそうだ。

そして2人は、より環境に配慮した製造プロセスを今も模索し続けている。「製造廃棄物を新たなアイウェアに生まれ変わらせることができる自社のリサイクル・プログラム開発に主に力を入れてきました。また、敷地内に太陽光発電所を建設する計画もあって、いずれは再生可能エネルギーのみで電力をまかなう、初のアイウェア製造施設になる予定です」

アナ スイ 2021-22年秋冬コレクションより。
アナ スイ 2021-22年秋冬コレクションより。

次なるコラボ相手として、フェロー・アースリングスは今ファッション業界を沸かせているデザイナーの1人に目をつけている。「エミリー・ボーディの作品、彼女のヴィンテージ生地やファッションを通して個人的なストーリーを伝えることへのこだわりが大好きなんです」とシドニー。ボーディ以外にも、実現したいコラボレーションは数多くあると2人は言う。「デザイナーにとって頼りになるパートナーでありたいのです。アイウェアを任せられる相棒。そうありたいです!」

Text: Christian Allaire Adaptation: Anzu Kawano

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