1. トップ
  2. レシピ
  3. 50代からの不眠…改善のカギは「寝る前の1時間半の習慣」にあった!

50代からの不眠…改善のカギは「寝る前の1時間半の習慣」にあった!

  • 2024.10.11

前回、ぐっすり感を得られる睡眠をとるため「眠りに入って4時間以内に、『深睡眠』を2回以上とれるかがカギ」ということをお伝えしました。今回は、深睡眠をとるためのポイントと、どんな生活習慣を持つといいのかについてお伝えします。

寝付きをよくするために必要なこととは?

睡眠の質を高めるために必要なこととは?

睡眠の悩みを解消するには、寝付きを良くすることと睡眠の質を高めることの双方が必要です。しかも、深睡眠が訪れるのは、眠りの前半のみ。まず「寝付きが悪い」という悩みを解消するために、眠気のリズムに関係する2つの体の仕組みを知りましょう。

  • 「恒常性維持」と呼ばれる、体内の状況を一定に保つための働き。日中活動を続けると、眠気が蓄積され自然と眠くなり、眠りをとると解消される。
  • 「既日リズム」と呼ばれる体内時計により、太陽の光に反応してホルモン分泌が行われ、夜になると自然と眠くなる。

つまり寝付きを良くするには、日中の活動量・運動量を高めるとともに断眠状態を続けて眠気を蓄積することと、体内時計を整えることが大切です。日中の活動量が少ないという人は、ウォーキングなど運動を毎日したり、長時間の昼寝を控えたりした方がいいでしょう。

また体内時計を整えるためには、朝と日中に太陽光を浴び、反対に夜は明るい光を避けるようにしましょう。

睡眠の質を高めるために必要なこととは?

寝室を整える必要性

睡眠の質を高めるためにも、恒常性維持と体内時計を整えることは大切です。それに加えて、メラトニンの分泌をなるべく促せるようにすることと、睡眠を阻害する要素を減らしていくことが大切です。

睡眠を阻害するNG要素

  • 寝具が合っていない
    くたびれたマットレスや、合わない枕を使い続けていませんか?寝具がくたびれていると寝返りを打ちづらくなり、睡眠中に腰など体の一部が痛くなり眠りを妨げることがあります。

    また、睡眠中は深部体温が下がるように、体温を逃がさなくてはいけません。冬場は電気毛布、湯たんぽを使わないように。ストレッチと入浴をして体の深部から温めて布団に入り、徐々に体温を下げていくことを心掛けましょう。
     
  • 睡眠中に音がする
    睡眠中の騒音は眠りを妨げます。また、睡眠のBGMとしてヒーリングミュージックやラジオを流しているという人もいるかもしれません。音楽とリラックスの関係性は効果が研究されており、入眠前にかけるのはいいでしょう。しかし「眠りに入って4時間以内に、『深睡眠』を2回以上とれるかがカギ」なので、入眠後も音楽やラジオが流れ続けているのはNG。タイマーをかけましょう。
     
  • 夫婦で一緒のベッドに寝ている
    寝返りの振動だけでも睡眠を阻害します。ベッドを横並びにする場合は、マットレスだけでも分けた方がいいでしょう。パートナーのいびきがうるさいという場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので治療に取り組むか、寝室を分けるという手も。


 

更年期や中途覚醒に隠れた病気に注意! 

更年期や、中途覚醒に隠れた病気に注意!

 

「睡眠障害には病気が隠れている可能性もあるので、生活習慣を変えても不眠が長期間に及ぶようであれば、医療機関で受診をした方がいいでしょう」と白濱さん。専門機関では正しい睡眠習慣を身に着けられるように治療をするとともに、睡眠障害に隠れた病気の治療も行います。

更年期は要注意

「更年期で女性ホルモンの変化が起きると、自律神経のバランスが崩れて睡眠パターンが乱れることが多いです。治療ではホルモン値の検査をして、婦人科と連携して更年期障害への対処をすることがあります」と白濱さん。

更年期障害だけでなく、50代以上の女性の睡眠を阻害している可能性のある病気は以下です。睡眠外来もしくは症状に合った外来を受診しましょう。

また意外と多いのが、むずむず脚症候群。ひざから下がむずむずして落ち着かない症状です。原因がある場合とない場合がありますが、原因がある場合は鉄分が欠乏しているか、妊娠中か、腎不全やヘルニアなどの脊髄の病気が挙げられます。眠る前にマッサージをすると改善することもありますが、いずれにせよ睡眠外来で相談をした方がいいでしょう。

中途覚醒につながる睡眠を阻害する病気の例

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • むずむず脚症候群
  • 夜間頻尿(前立腺肥大、神経性膀胱など)
  • うつ病
  • 認知症
  • パーキンソン病など神経内科疾患


次からは、深睡眠につながる生活習慣をご紹介します。

「睡眠のために生活様式をがらりと変えるというのも難しいですし、覚えきれないと思うのでポイントを押さえて、少しずつ生活習慣に落とし込んでいくようにしましょう」(白濱さん)

深睡眠ポイント1:目覚めたら朝日を浴びる

体内時計を整えるには、決まった時間に起きて日光を浴び、1時間以内に朝食をとりましょう。朝に太陽光を浴びた14~16時間後にメラトニンの分泌が始まるように、体内時計がリセットされます。つまり、7時に朝日を浴びれば21~23時には、自然と眠くなります。

深睡眠ポイント2:必須アミノ酸を毎食摂取する

食事は「トリプトファン」が含まれる、みそ汁がおすすめです。「トリプトファン」とは、必須アミノ酸の一種で、質の良い睡眠をとるために必要な栄養素で、魚類・肉類・卵・大豆製品・乳製品などに多く含まれます。

トリプトファンがビタミンB6と結合することで、幸せホルモン「セロトニン」となり、さらにセロトニンが深い眠りを得る上で大事な睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌を促します。

また必須アミノ酸である魚類・肉類・卵・大豆製品・乳製品は、脳の興奮を抑えて、気持ちを落ち着けリラックスさせる効果のあるGABAも生成します。しっかりとタンパク質を毎食とることを意識しましょう。

快眠のためのおすすめ食材

魚類・肉類(特に豚肉はビタミンB群も多く含む)・卵・大豆製品(みそ、豆腐など)・乳製品、さつまいも、バナナ、ナッツ類、玄米

食事は、就寝前の3時間前に済ませる

夜食におすすめは寒天ゼリー

食事をとることで胃腸が動き、交感神経が活発になり覚醒状態になってしまうため、食事は就寝の3時間前には済ませるようにしましょう。

また夕食は消化のいい食事を心掛けるといいでしょう。消化に悪い肉類(ハム・ソーセージ・ステーキ)を食べると、胃の中で長くとどまり睡眠の質を下げます。また白米、白パン、加糖飲料など、精製された炭水化物が含まれる食材は血糖値が変動しやすく、自律神経が乱れやすくなるため夕食に取るのはおすすめしません。

お腹がすいていると寝られないという人には、白濱さんは「コンビニで売っているような寒天ゼリー」をおすすめします。「仕事で疲れると脳が誤作動しやすくなり、お腹が減っていなくても甘いもの欲することがあります。そんなときは、僕も寒天ゼリーを食べています」

深睡眠ポイント3:昼寝は15時まで、20分間に留める

深睡眠ポイント3:昼寝は15時まで、20分間に留める

長時間の昼寝や夕方頃の昼寝は、夜間の深い睡眠を妨げる要因になってしまいます。昼寝をするときは、15時までに20分を限度とすること。

昼寝の前にコーヒーや緑茶、紅茶などでカフェインを摂取しておくのもおすすめ、昼寝後の覚醒度がアップします。短時間の昼寝「パワーナップ」であれば、頭がしゃっきりとして昼寝後の生産性が上がると言われています。座ったまま寝るなどして、眠り過ぎを防ぎましょう。

深睡眠ポイント4:夜寝る前に明るい光を浴びない

深睡眠ポイント4:夜寝る前に明るい光を浴びない

寝る数時間前からスマホはやめて、寝室には持ちこまないようにしましょう。スマホのブルーライトは体内時計を乱し、眠りの質を下げる恐れがあります。夜間にパソコンやスマートフォンを操作しないといけない場合は、ブルーライトカットのレンズが入った、シニアグラスを使うのも一つの手です。

深睡眠ポイント5:深部体温を上げる入眠前習慣を行う 

深睡眠ポイント5:深部体温を上げる入眠前習慣を行う

いろいろあり過ぎて覚えきれないという人は、睡眠のためのナイトルーティン、入眠前習慣だけでも身に着けるといいでしょう。深い眠りを手に入れるためには、体温を上げて下げるということが大切です。特に50代以上の女性の場合は、冷え性という方も多いでしょう。冷え性だと、睡眠時に深部体温が下がりづらくなってしまうので深睡眠に入りづらくなってしまいます。

寝る前の1時間半以内にコンパクトに入眠前習慣をまとめて、血行がいい状態になるよう心掛け、副交感神経が優位になるようにしていきます。少なくとも夜、お風呂に入る時間帯くらいから、丁寧に睡眠を意識しましょう。

おすすめのナイトルーティン

  • 温かい飲み物、水を飲む
    水分不足だと夜間に足をつる場合がありますので、水を飲みましょう。白湯やハーブティーなど、ノンカフェインの温かい飲み物は、体温も上がり、体がほぐれるのでおすすめ。カフェインが含まれるお茶やコーヒーは、夕方以降は飲まないようにしましょう。
     
  • 心配事はメモを取り後回しに
    眠る前になると、明日は何をしようなどと考えて不安になる人もいるでしょう。覚えておきたいことは紙にメモをしておいて、心配事は次の日に持ち越しましょう。
     
  • 入浴は、ぬるめのお湯に浸かる
    入浴は体の芯から温めることが大切です。お風呂の設定温度は、40度にしてゆっくり浸かりましょう。熱い風呂は体の表面だけ熱くなり、交感神経を高めるのでNGです。また、入浴時もお風呂の電気は暗くするといいでしょう。
     
  • 寝る前は深睡眠ストレッチを行う
    寝る前にハードな運動をすることは避けましょう。ヨガやストレッチなどの体を伸ばすことならば、血行が良くなると同時に副交感神経が高まり深い眠りに誘われます。白濱さんが考案する、深睡眠ストレッチがおすすめです。

「眠りの質が上がる1日3分の深睡眠ストレッチ」は次の記事でご紹介します。
 

取材先・監修

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 白濱龍太郎さん

RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長 白濱龍太郎さん
 
しらはま・りゅうたろう 2002年、筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。東京共済病院、東京医科歯科大学附属病院を経て、13年にクリニックを開設。日本睡眠学会専門医。『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム刊)をはじめ著書多数。

▶▷▶次回「眠りの質が上がる1日3分の深睡眠ストレッチ」を読む

元記事で読む
の記事をもっとみる