1. トップ
  2. レシピ
  3. 【旬のブドウ】皮に付いてる「白い粉」食べても大丈夫? そもそも皮は食べない方がいい? 【栄養士が解説】

【旬のブドウ】皮に付いてる「白い粉」食べても大丈夫? そもそも皮は食べない方がいい? 【栄養士が解説】

  • 2024.10.11
ブドウの栄養について、栄養士ライターが解説
ブドウの栄養について、栄養士ライターが解説

夏から秋にかけて旬を迎えるブドウ。ブドウ狩りを楽しむ人も多いのではないでしょうか。ブドウは世界で1万種以上の品種があるとされ、日本でも巨峰、ピオーネ、デラウェア、シャインマスカットなど多彩な品種が出回っています。この記事では、ブドウの栄養についてクローズアップします。

ブドウの甘みには即効性の高い体力回復パワーあり

▲ブドウの甘み成分であるブドウ糖(グルコース)は、葡萄糖とも書きます。ブドウから発見されたことが由来とか
▲ブドウの甘み成分であるブドウ糖(グルコース)は、葡萄糖とも書きます。ブドウから発見されたことが由来とか

ブドウの主成分は、ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などの糖類です。そう聞くと「太りやすいのでは?」と心配になるかも知れませんが、カロリー(エネルギー量)はデラウェア1房(果皮・種子を除いた正味重量85g)あたり49kcal。粒が大きめの巨峰で1粒(果皮・種子を除いた正味重量16g)あたり9kcalです(※1)。食べ過ぎない限り、心配しなくてもよさそうですね。むしろ、ブドウ糖や果糖は体内で素早くエネルギー源になるため、疲労回復の効果が期待できます。

(※)参照:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部より

皮に含まれる多様なポリフェノールに注目

▲黒・赤・緑の皮の色の違いは、ポリフェノールのアントシアニンによるもの
▲黒・赤・緑の皮の色の違いは、ポリフェノールのアントシアニンによるもの

ブドウの皮には、黒系(巨峰など)、赤系(デラウェアなど)、緑系(マスカットなど)がありますが、色の違いは皮に含まれるポリフェノールのアントシアニン(色素成分)の量によるもの。がんや動脈硬化などの生活習慣病を招く活性酸素を抑える働きがあり、皮が黒や赤の品種に多く含まれています。

ほかにも、皮には渋みの元でもあるタンニンや強力な抗酸化作用のあるレスベラトール、種子にOPC(オリゴメリックプロアントシアニジン)など多様なポリフェノールが含まれています。皮ごと食べるか、皮ごと口の中に入れて口の中で皮を噛み締めるようにして果肉を押し出して食べるのが栄養面ではおすすめ。ミキサーにかけて皮ごとジュースにしたり、皮ごと食べられる品種を選んだりすると、ポリフェノールを余すことなくいただくことができます。

ブドウの皮に付いた白い粉は食べても大丈夫?

▲表皮が白い粉「ブルーム」でおおわれたブドウは鮮度良好のサイン
▲表皮が白い粉「ブルーム」でおおわれたブドウは鮮度良好のサイン

ブドウの皮の表面に付いている白い粉状のものは、「ブルーム」と呼ばれる天然の保護膜。ブドウ自身が病原菌などから実を守り、水分の蒸発を防いで鮮度を保つために作り出しているので、食べても問題ありません。抗炎症作用や抗酸化作用の高いオレアノール酸が含まれ、アンチエイジングや薬理作用の研究などが注目されています。見た目や衛生面が気になる場合は洗い落として構いませんが、食べる直前に優しく洗い流すようにしましょう。

干しブドウはミネラル豊富で持ち歩きやすいのが利点

▲手軽にエネルギーやミネラル、食物繊維を補給できる干しブドウ
▲手軽にエネルギーやミネラル、食物繊維を補給できる干しブドウ

ブドウを皮ごと天日干しや人工乾燥してつくられる干しブドウ。干しブドウ専用の品種(サルタナ種など)を用いたものはレーズン、ワイン用のブドウを干したものはドライグレープと呼ばれています。ドライにすることで、ミネラル分が増え、マグネシウムは約4倍、カルシウムは約8倍、鉄は約10倍、モリブデンは約12倍に。また、食物繊維が約4倍、ブドウ糖や果糖も約4倍に増えます(※2)。年間を通して入手することができ、持ち歩きやすく手軽に食べやすいメリットもあるので、運動時などに効率よくエネルギーチャージしたいときやミネラル補給、貧血や便秘予防などに活用するのもよいでしょう。

(※2)参照:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』より、皮付きの生のブドウ100gと干しブドプ100gの栄養価を比較した場合

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018、三輪正幸監修『からだにおいしい フルーツの便利帳』高橋書店,2015

(野村ゆき)

元記事で読む
の記事をもっとみる