韓国人女性が本当にすすめたい「袋麺」を食べ比べてみた。なぜ韓国ではカップ麺より袋麺の方が多いのか

日本で生活する外国人は、日本ならではの生活文化や日本人に対し、どのような印象を抱いているのでしょうか。日本在住歴11年、韓国料理も和食も大好きな韓国人女性に、日本での食生活について聞きました。

インタビューに応じてくれた韓国人女性のミンさん

2013年の1月から日本に在住している韓国人女性、ミンさん。韓国の首都、ソウル出身です。趣味で勉強した日本語を活用して、さまざまな日韓交流会で日本人との交友関係を築いてきたのだそう。

日本についてさらに興味が出てきたところ、長期出張で韓国に滞在していた今の夫と出会い、日本に来ることに。現在はかわいい息子とともに、家族3人で暮らしています。

「国民1人当たりの消費量」韓国が世界2位の食べ物とは？

日本でも韓国料理を作って家族で食べたり、韓国料理店に行ったりすることも多いというミンさん。日本料理も大好きなミンさんですが、「袋は韓国、カップは日本」という食べ物があると言います。

それは、「インスタントラーメン」。インスタントラーメンは日本発祥ですが、今、世界的に韓国のインスタントラーメンが人気と注目を集めています。世界ラーメン協会によると、2023年の「国民1人当たりのインスタントラーメン消費量」は韓国が世界2位を誇り、インスタントラーメンの国別需要も毎年上位にランクインしています。

ミンさんも、「朝、昼、夜、3食インスタントラーメンでもいい」とのこと。さすがに、夫には「俺は勘弁して」と言われたそうですが……！

日本のスーパーマーケットでは、インスタント麺5袋パック入りなどが販売されていますが、ミンさんのソウルの自宅には、常に種類ごとの段ボールでインスタントラーメンのストックが置かれていたのだそうです。それほど、韓国の家庭には欠かせない食品とのこと。

韓国では基本「袋麵」。お鍋や火がない場合にカップラーメンを選ぶ

でも、なぜインスタントラーメンの「袋は韓国、カップは日本」なのでしょう？

「韓国では、日本のようにカップラーメンだけの商品がほとんどなく、袋麺商品のカップバージョンという感じで出されています。インスタントラーメンを食べたいのに、お鍋や火がないからカップラーメンにする、という感覚です。日本はカップラーメンの種類が豊富だから、ついつい選んでしまいます」とのこと。ちなみにミンさんのお気に入りは、日清食品の『カップヌードル シーフードヌードル』です。

さらに、「韓国では、観光スポットとしても大人気の漢江（ハンガン）でも、コンビニにインスタントラーメンを自動で作る機械が設置されていて、外出先でもインスタントラーメンを作って食べるんです。それだけ、インスタント袋麺愛が強い！」のだそう。

そんなインスタントラーメン大国・韓国の人気商品の中から、「カルディ」で買えるおすすめ韓国ラーメンを教えてもらいました！

「辛ラーメン」（農心）

「辛ラーメン」は、日本でも数多くの店で見かけるおなじみの商品ですが、韓国では、日本の「チキンラーメン」（日清食品）並みに定番のラーメンとのこと。普通に食べるのではなく、ちょっと工夫を加えて食べるのがもはや定番の食べ方で、最近では、牛乳やチーズを加えてクリームパスタのようにして食べる「ロゼ辛ラーメン」が大人気です。

あまりにも定番人気のアレンジレシピとなっているため、韓国では、9月23日に電子レンジ調理で食べられる「ロゼ辛ラーメン」のカップ商品が発売されました。海外販売も計画されているそうなので、日本上陸が待ち遠しいですね！

「ノグリラーメン」（農心）

「辛ラーメン」に並ぶ昔からの定番商品で、世界的に売れている大人気ラーメンとのこと。2019年にアカデミー賞で作品賞をはじめとする4冠に輝いた映画『パラサイト 半地下の家族』で、お金持ちの奥さまが家政婦に「チャパグリ作っておいて」というシーンがあります。

この「チャパグリ」とは「ノグリ」と、やはり人気インスタントラーメンの「チャパゲティ」（農心）を合わせて作る料理のこと。劇中では、豪華にステーキがのった「チャパグリ」が登場し、一時期は「パラサイト風チャパグリ」のレシピが話題を呼んでいました。

ミンさんによると「チャパグリ」は、「普通のジャージャー麺の味が、中華の四川ジャージャー麺のような辛みを加えたバージョンに味が変わるんです。太さもぴったりの2種類の麺が混ざって違和感もなく、最初から一つの商品だったというぐらい相性ぴったり。最初にこの2商品を混ぜてみようと思った人が誰なのかは知らないけど、天才だ！ と思いました」と絶賛していました。

「カルボブルダック炒め麺（袋）」（三養）

海外セレブをはじめ、世界的に人気で注目されている「カルボブルダック炒め麺」。「カルボナーラ」をイメージしたという生クリームとチーズの滑らかな味がクセになります。

ミンさんいわく、「実は辛いのが苦手な私でもおいしい辛さで、『辛ラーメン』で作る『ロゼ辛ラーメン』の味とはまた少し違い、甘辛いソースにクリーミーなチーズの味がたっぷり足されておいしいんです」とのことでした。

「サリ麺（ラーメンサリ）」（オットギ）

「ごはんと同じような存在で、ストックがないと不安になります」というミンさん。コシがある太麺で煮込んでも伸びないので、日本の習慣である「鍋のシメにごはん」と同じく、「コムタンスープの残りにサリ麺」という食べ方が親しまれています。

朝鮮戦争のために駐屯していたアメリカ軍人発祥の「プデチゲ」という韓国の定番鍋は、キムチチゲ鍋にラーメン（サリ麺がおすすめ）、レッドビーンズやランチョンミート（スパム）、ウインナー、スライスチーズなどが入った、ボリューム満点で中毒性のあるメニュー。「サリ麺（ラーメンサリ）」のパッケージ裏にも紹介されています。

「カムジャ麺（ジャガイモラーメン）」（三養）

「カムジャ」は韓国語で「ジャガイモ」という意味。ミンさんによると、「ヘルシー志向ブームの中で、ジャガイモ麺がはやった時期は、何種類ものジャガイモ麺商品がお店に並んでいました。一時期のようなブームは去りましたが、この商品は、インスタントジャガイモ麺の定番として細く長く残っています」とのこと。

麺がプリプリで、スープはマイルドな辛さの「カムジャ麺」は、唯一無二のモチモチ食感で満腹感も得られ、インスタント麺でありながらヘルシーさを感じられるところが、長らく人気を得ているようです。

「ジンラーメン」（オットギ）

ミンさんは、「『ジンラーメン』を作った韓国の食品メーカー『オットギ』は、食品や調味料など幅広い商品を手掛ける、日本の『味の素』みたいな印象の会社です。社員に対しての待遇や納税においてクリーンなイメージがあって、韓国国内での信頼も厚いんです」と言います。

さらに、「BTSのJINが、大好物なうえに同じ名前ということで、『ジンラーメン』のモデルに抜てきされています。限定パッケージが大人気で、私も入手するために日本で毎日探し回りました（笑）。料理好きで有名なK-POPアイドルグループ『EXO』のボーカル・DIOも最も好きなラーメンは『ジンラーメン』のスパイシーバージョン、と公言していて、韓国ラーメンの中でもトップクラスにおいしいし人気です」とのこと。

「『辛ラーメン』より刺激的な辛さじゃなく、柔らかいけどしっかり濃い味。食べ方は、アレンジなしでオリジナルのままでも飽きません。辛いのが苦手な人のために、マイルドも出ています」

ちなみに、ミンさんのイチ押しはを聞くと、「私が一番好きな韓国ラーメンは、『ジンラーメン』のマイルド」と教えてくれました。

文：福島 ゆき