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朝ドラ『おむすび』起死回生の一手なるか 追加キャストが吹かせる新しい風

  • 2024.11.17

連続テレビ小説『おむすび』の第7週「おむすび、恋をする」において、主人公・米田結(橋本環奈)は四ツ木翔也(佐野勇斗)への恋心に気づく。彼のためにお弁当をつくったり、アスリートのための栄養管理について勉強したりするうちに、栄養士になりたいと思うように。次週からはついに、米田家の新生活を描く“神戸編”に突入する。

結の恋が成就、新しい目標も

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『おむすび』第7週(C)NHK

結の恋の相手は翔也か、それとも幼馴染の古賀陽太(菅生新樹)か? と思われていたが、視聴者を悩ませることなく展開はするりと翔也ルートへ。このまま陽太は大人しく身を引くのかと思うと、少々あっけなく、寂しい気もする。

翔也のために料理を覚えたり、より良い身体づくりのための栄養学に触れるうちに、結は「栄養士になりたい」と思うようになり、両親へ「栄養士の専門学校へ行きたい」と告げた。結は長らく、自身の“困った人を放っておけない”性質のことを“米田家の呪い”だと思い込んできたが、ようやく「自分がやったことで誰かが喜んでくれたら、すごく幸せな気持ちになるって気づいた」のだ。

「一生懸命やっとる人を支える」「そういう仕事がうちに向いとると思う」と、やっと見つけた自分のやりたいことについて言葉にする結の態度には、さまざまな示唆が含まれている。

やりたいこと、好きなこと、得意なこと。夢や目標が見つけられなかったとしても、深刻に思い悩む必要はないこと。そして、ひとまず興味の向くほうへ自分の意識を向けてみれば、ふとしたことを手がかりに、自分に向いている仕事と出会えるかもしれないこと。

米田家らしく、すったもんだありつつも、次週から結たちは元いた神戸へ移り住むことに。翔也は大阪で野球を続けることが決まっているので、おそらく引っ越し後も結と翔也の関係は続くだろう。

しかし、一つだけ懸念点がある。結の翔也に対する気持ちは、本当に恋心なのか?

彼女は翔也にお弁当を作ったり、栄養について考えたりする過程で、栄養士になりたいという夢に気づいた。困っている人を放っておけない結の性質、一生懸命にやっている人の支えになることが喜びだ、という彼女の言葉は嘘ではないだろう。翔也に対してやっていたことも、その一環なのだとしたら?

神戸で出会う新しい面々もいる。まだ、結の恋の相手が翔也だと決めるのは、早いのかもしれない。

神戸編に突入、新風吹くか?

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『おむすび』第7週(C)NHK

神戸編に登場する新顔として、とくに注目したいのは翔也の先輩にあたる澤田龍志(関口メンディー)、若手調理師の原口尚弥(萩原利久)だろう。

澤田を演じる関口メンディーは連続テレビ小説初出演。俳優活動にも精力的な彼の、朝ドラ出演に対する真摯な姿勢に自ずと期待が高まる。澤田もストイックな性格で、伝統を重んじるというよりは、前例がなくとも新しいことに挑戦する先進的なタイプのようだ。常に新しい挑戦に躊躇のない関口にとって、違和感のない役柄なのではないか。

翔也が所属する企業の社員食堂で働く、若手調理師の原口にも目を向けたい。原口を演じる萩原と、『おむすび』ヒロインの橋本環奈は10代からの親友同士。ファンの間では二人の仲の良さは周知されている。本編ではどんな絡みがあるのだろうか。もし結の恋の相手として原口が浮上する可能性もあるなら、翔也との三角関係がもつれるところも見てみたい。

SNSでは、少々低迷気味な『おむすび』の起死回生の一手として、神戸編に期待する声も多い。結が栄養士の専門学校に通い始めることから、関西圏の料理文化に焦点が当たるのでは?との声も。新キャストがどんな新しい風を吹き込んでくれるだろうか。

NHK 連続テレビ小説『おむすび』毎週月曜〜土曜あさ8時放送
NHKプラスで見逃し配信中



ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。Twitter:@yuu_uu_