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【時代劇の実在キャラ解説】強烈な個性を持った元敬王后は「悲しみの王妃」だった

  • 2024.10.10

元敬(ウォンギョン)王后というと、ドラマ『太宗 イ・バンウォン』(2021年)でパク・ジニが演じてその人生が詳しく描かれていた。とても意志の強い女性だったが、その生き方を振り返ってみよう。

元敬王后は、初代王・太祖(テジョ)の五男である李芳遠(イ・バンウォン)の妻である。彼女は「閔氏(ミンシ)」と呼ばれていて、1365年に高麗王朝の名門の家に生まれた。

1382年に李芳遠と結婚して、2人は夫婦仲が良く、力を合わせて朝鮮王朝の創設に尽力した。その甲斐あって1392年に朝鮮王朝が建国された。

その後、閔氏は夫を王の後継者にしようと惜しまず協力した。彼女は、政敵の急襲を李芳遠に知らせたり、用意しておいた武器を渡してクーデターを成功に導いたりした。

1400年に李芳遠は3代王・太宗(テジョン)となり、閔氏は元敬王后となった。しかし、2人の夫婦仲は嘘のように冷え切ってしまう。

その理由は、太宗に12人の側室がいたからだ。彼は側室のもとにばかり通うようになり、元敬王后を敬遠し始めたのである。そのことに耐えられなかった元敬王后は太宗を批判した。

『太宗イ・バンウォン』
(写真提供=Monster Union)
元敬王后にとって唯一の救いとは?

そんな太宗は、「王朝を存続させるためには、外戚の力を弱める必要がある」と思っていた。対象になったのが元敬王后の実家である。太宗は悪意をもって元敬王后の兄弟たちを処刑して、その一族を没落させてしまった。

立ち直れないほど落ち込んだ元敬王后は、太宗に激しい憎しみを抱いた。太宗の側近たちは元敬王后の廃妃を主張したが、彼は息子を4人も産んでくれたことや王になる過程で自分を支えてくれたことを高く評価していた。

また、太宗は王の後継者の母親である元敬王后を廃妃にしてしまうと、朝鮮王朝に多大な影響が及ぶと思って元敬王后を廃妃にしなかったのである。

こうして廃妃をまぬがれた元敬王后。しかし、四男が14歳という若さで世を去ってしまった。彼女は息子の死を深く悲しんだ。

元敬王后にとって唯一の救いは、三男の忠寧(チュンニョン)が1418年に4代王・世宗(セジョン)として即位したことだ。歓喜した元敬王后は1420年に亡くなった。享年は55歳であった。

【元敬王后の人物データ】

生没年
1365年~1420年

主な登場作品()内は演じている女優
『龍の涙』(チェ・ミョンギル)
『大王世宗』(チェ・ミョンギル)
『六龍が飛ぶ』(コン・スンヨン)
『太宗イ・バンウォン』(パク・ジニ)

文=大地 康

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