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塾講師による盗撮も…「良い塾」「ダメな塾」を見極める5つのポイント

  • 2024.10.9

「ダメな塾」はないけれど

中学受験生を対象とする進学塾は全国各地にあり、とりわけ、首都圏にはその数が集中しています。それでは、「良い塾」と「ダメな塾」はあるのでしょうか。中学受験専門塾『スタジオキャンパス』代表の矢野耕平先生は、「長年続いている塾で、誰にとってもダメな塾なんて存在しない」と口にしながらも、塾の見極めに必要な5つのチェックポイントを紹介してくれました。

塾は「お手軽」に起業できる業種

塾はお手軽に起業できる業種です。講師がいて、部屋があって、机や椅子、ホワイトボードや黒板、パソコンやプリンターがあれば、すぐに始められます。塾は大量の在庫をかかえる必要もなければ、塾講師に特別な免許など要りません。だからでしょうか、毎年のようにたくさんの塾が誕生します。でも、長く存続するのは案外難しいのです。わたしの塾、スタジオキャンパスの自由が丘校・三田校の周辺にも数多くの塾がありますが、新たにできた塾のある一方、消えていった塾が幾つもあります。ですから、設立したばかりの塾は、いったん疑ってかかることが大切です。もちろん、わたしたちの塾がそうであったように、どこの塾だって創業期はあります。こういう新興の塾を考える際は、ちゃんとした理念、そして、それを具現化するための教材や年間予定はしっかり決まっているか、生徒は集まっているか……そんなところを確認して、その後の存続を占うことが必要です。言い換えれば、創業して5年、6年……そんなふうに存続している塾で「誰がどう見てもダメな塾」などほとんどないと考えます。先日、このwith classで「価値ある学校とは何か」についての記事を公開しました。そこで言及した学校と同じことが塾にも適用できます。つまり、「万人が満足できる塾」などなく、反対に「万人にとって良くない塾」もないのです。塾とは結局は「人と人との関係性」に帰結します。わたしたちスタジオキャンパスもこの点は同様です。「万人が満足できる塾」を目指してはいるものの、現実的には「合わない」と感じる人もきっといるでしょう。

塾の見極め 5つのチェックリスト

拙著『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)でも触れていますが、良い塾とそうでない塾の見極めポイントとして5つのチェックリストを挙げています。それをここで紹介しましょう。①教育理念・指導方針・指導カリキュラムがちゃんと存在しているか塾の目指すべき指導と、家庭の教育方針が合っているかを確認しましょう。何を軸にして子どもたちに接しているのかを明文化している塾は良いと思います。②子どもたちが勉強に専心でき、かつ家庭をケアできる環境を整えているか学習環境は重要です。内装にちゃんとお金をかけているかは案外大切なポイントです(生徒第一になっているかどうかが分かります)。また、保護者がすぐに塾とコミュニケーションがとれる仕組みを整えているところは良い塾です。中学受験の成否は保護者とのやり取りが肝になることが多いですから。つまり、塾の利益を生むために中学受験の途上で必要不可欠なことを省いてしまっている塾はよろしくありません。③毎年安定した塾生数を保ち、幅広い学校の合格実績を有しているか塾生数が安定しているかは重要です。塾の売上は基本的に「塾生数×お月謝」ですから。また、合格校のレンジは幅広いほうが個人的に良いと思います。難関校を目指す生徒ばかりが優遇するなんてところもありますが、同じお月謝を頂戴しているのに、それはおかしいと感じられませんか。

塾を見極める5つの観点、残りの2つは

④ホームページの更新は頻繁におこなわれているかWebの更新が相当遅れているとしたら、その塾は「自転車操業的」な運営をしている可能性があると疑ったほうがよいでしょう。また、子どもたちの顔写真を堂々と掲載している塾がありますが、個人情報の扱いが少々不安になってしまいます。また、塾が受からせてやったと言わんばかりに合格者を取り囲むように講師陣ばかりが目立つ画像を掲載しているところには個人的には違和感を抱きます。⑤事務の受付対応や料金受領などのシステムはちゃんとしているかこれはかなり大切な項目です。料金受領や返金対応はちゃんとルールが決まっているかどうかは確認しましょう。ちなみに、わたしたちの塾は1週間単位で料金を計算でき、都度料金受領や返金を細かにおこなっています。また、塾講師は残念ながら「男性社会」です。就業時間が遅いこと、体力勝負で考えるといたしかたないのかもしれません。ただし、「女性ゼロ」の塾は絶対に避けるべきです。ですから、わたしの塾では事務スタッフを全員女性に揃えています。小学校5年生・6年生にもなれば、女の子の体に男性では対処できないことが起きることだって十分に考えられます。加えて、講師が事務作業を強いられると、肝心な授業が疎かになるケースがあります。そういえば、かつて某塾の話を耳にしたのですが、そこの塾では授業をしている講師がしょっちゅう席を外して、教材作成や事務作業をしているらしいです。論外ですよね。演習中だとしても、そこで手を動かす子どもたちをつぶさにチェックするのもわたしたちの仕事ですから。

昨夏の四谷大塚の事件を受けて

もうひとつの話を。昨夏、四谷大塚で女子生徒が盗撮される事件が発覚し、そこに勤めていた講師が逮捕されました。この事件を受けて、塾経営者たちがどれだけの危機感を抱いたのか。これもまた、新たな塾のチェックポイントになると考えます。わたしの塾はこれまでも生徒・保護者からのセクハラの類のクレームはゼロでしたが、とはいえ、「もしこういう事態が起きてしまったら……」と背筋が凍る思いをしたのです。わたしたちの塾はすぐに対策をし、全教室にネットワークカメラを設置、さらに授業の動画・音声が自社サーバーに1カ月間保存されるようにしました。また、講師採用時には応募者同意の下で「リファレンスチェック」に踏み切りました。簡単に言うと、前職場のスタッフへのヒアリングをおこなうということです。日本版DBSの導入も検討されており、もちろんわたしたちも要請があれば即座に参加するつもりです。しかし、その効果は限定的であると睨んでいます。DBSの照会対象は“有罪判決の出た前科に限る”としているそうです。児童への性犯罪は(親が子どもを守るために公にしないケースが多く)示談で終わる場合が多いと聞いています。ですから、DBSが導入されたとしても、性犯罪を完全に抑止するほどの効力はないのではないかと思うのです。いずれにせよ、前述の5つの観点に加えて、生徒たちの「危機管理」という点でその塾がどういうことを具体的におこなっているかも(残念な話ではありますが)これからの塾選びの大切な観点になるのでしょう。本記事の執筆者である矢野耕平先生が立ち上げた、音声プラットフォーム『Voicy』のチャンネル『矢野耕平のモヤッとユルッと中学受験』も要チェック! 矢野先生の著書『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)をテキストにして、そこに「書かなかったこと/書けなかったこと」を盛り込んだお話が聞けます。今回扱った「価値ある学校」についても話しているそう。ぜひお聴きください。矢野耕平先生の著書『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)はこちら↓

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