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秋ケーキの大本命! 次世代パティシエが作る、うずまき模様の「イモンブラン」【大阪】

  • 2024.10.9

本日の一品 > hannoc(ハノック)の「イモンブラン」(大阪・中崎町)

フードライターの齋藤優子さんが「ほかのどこにもないまったく新しい形のパティスリーで、オープンの時から注目しています」というのが、いまや大阪屈指の人気店になっている「hannoc」。どこがそんなに新しいのか。改めて取材して見つけた、ここにしかない魅力を紹介します。

( Index )

  1. 「個性豊かなケーキの競演が面白い!」(齋藤優子さん)
  2. 編集部の「これも食べたい!」

【水曜15時のあまいもん】とは?
関西の食に精通するライター、エディター、フォトグラファーなど“取材のプロ”たちが、ほんとは教えたくない関西の「推しおやつ」を、和洋問わずレコメンド。確かな目利きで選んだあまいもんは、どれもわざわざ足を運んで大正解の、ハズレなしのおいしさです。

「個性豊かなケーキの競演が面白い!」(齋藤優子さん)

hannoc(ハノック)の「イモンブラン」

さつまいものクリームの中は、アプリコットジャムをアクセントに、ミルクチョコレートのムース、ヘーゼルナッツのプラリネ、メレンゲという構成。「イモンブラン」イートイン803円、テイクアウト788円。

「ひとつのパティスリーでありながら異なるパティシエが考案したケーキが並んでいて、とても面白い試みだなと。オープンした時から何度か足を運んでいます。次世代のパティシエ数人が刺激し合いながら作るケーキには、それぞれの個性がのぞいていて、選ぶのが悩ましい。中でも、イモンブランをはじめ、蜂谷綾女さんの作るケーキは素材の組み合わせが新鮮でデザインも美しく、手にとりたくなります」(齋藤優子さん)

パティスリーでは、オーナーパティシエやシェフパティシエひとりのケーキが並ぶのが一般的です。ところが、「hannoc」のショーケースをのぞくと、生ケーキの前にあるポップには、ケーキ名、価格だけでなく、考案したパティシエの名前、顔写真、コメントがそれぞれについています。つまり、ひとつの店舗で異なるパティシエのケーキが選べる、新しい形のパティスリーなんです。

さつまいものケーキを、というお客からのリクエストで誕生した「イモンブラン」は、2021年のオープン間もなくから在籍する蜂谷綾女さん作。ゲランドの塩で甘味を引き出したさつまいものクリームを、よくある糸状ではなく、波形に絞ったうずまき模様のデザインが特徴的で、もうひとつ食べたくなる、もったりしすぎないテクスチャーに仕上げています。

店内は、コンクリートの地肌を生かし彩度を抑えた空間にすることで、ケーキと焼き菓子、さらにはパティシエやスタッフの姿が際立つようにしているそうです。

蜂谷さんはじめ、現在在籍しているのは、ホテルやほかのパティスリーでしっかり基礎を学んできた20代~30代前半のパティシエが9名です。そして、彼らが自由な発想で考案したお菓子は、最終的に、ブランドディレクターが目と舌でチェックをしてからショーケースに並びます。ハッと目を引くデザイン、最後まで飽きない構成のケーキが多いのは、こんなところにも秘密があります。

生ケーキは10~12種ほど。ケーキのポップには、パティシエの名前と写真、コメントが一緒についているのが「hannoc」ならでは。厨房がガラス張りなので、製造中のパティシエの様子を見ることもできます。

「お菓子を作るのが大好き」「自分が作るケーキでみんなを笑顔にしたい」。そんな熱い思いでパティシエを志すも、長時間労働に疲弊してしまったり、師弟関係や上下関係になじめなかったり、道半ばで諦めてしまう人があまりにも多い。そんなパティシエの現状を知ったオーナーが、若手にも主体性と創造性が発揮できる場をと始めたのが、このパティスリーなのです。

編集部の「これも食べたい!」

パーシモン

旬の柿をふんだんに使用。ヘーゼルナッツのシャンティクリーム、コーヒー豆を煮出して作ったムースを、ザクザクとしたチョコのタルトに重ねています。「パーシモン」イートイン803円、テイクアウト788円

ショーケースに、パティスリーではあまり見かけない柿のケーキを発見。これもイモンブランと同じ、蜂谷さん作です。食べ歩きが趣味で研究熱心。栗とベルガモット、リンゴとバルサミコなど、意外な素材の組み合わせを得意とする彼女が、満を持して打ち出した柿とコーヒーの組み合わせ。繊細な味わいの柿の風味を、パッションフルーツのジャムなどで酸味を補いながら、うまくコーヒーのムースと合わせています。

「バスク ヴァニーユ」 (直径12cm)2,970円。お取り寄せ(冷凍便)も可能。

ケーキを考案したパティシエが店を卒業しても、人気の高い商品は定番として残っていきます。「バスク ヴァニーユ」もそのひとつ。芳醇な香りのウガンダ産バニラビーンズを使用。生クリームや砂糖にその風味をしっかり移し、クリームチーズ、マスカルポーネチーズと合わせて焼き上げており、チーズのクセや酸味は控えめながらバニラが香る親しみやすい味わい。中もとろっとろの食感に仕上がっています。

異なるパティシエが生み出したレシピが、ひとつ、またひとつとお店の財産になっていくところもいいなぁと思います。

教えてくれた人齋藤優子/Yuko Saito

『BRUTUS』『&Premium』など、雑誌を中心に執筆しているライター。食に関する取材が多く、しばしば関西を訪れているうちに、関東とは違う食文化をもっと知りたくなり、2018年に京都にも拠点を設ける。現在は京都と東京を行ったり来たりの日々。

DATA

hannoc(ハノック)
大阪府大阪市北区万歳町4-12 浪速ビル 西館1F
06-4792-8069
営業時間 11:00~21:00(金、土、祝前日22:00)
不定休

\from Editor/
店の雰囲気がとにかく明るい。そして活気がある。それがケーキのクオリティにもつながっている気がしました。老舗のロングセラーや、有名パティシエのスペシャリテとはまた違う、次世代パティシエの自由な発想のケーキに出合える。こんなパティスリーがもっとできたらいいのにと、しみじみ思いました。
※最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。

写真/吉村規子、福森クニヒロ 文/齋藤優子 企画・編集/吉村セイラ

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