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4位なのに…Jリーグ屈指の名門が監督と強化責任者を電撃解任したワケ

  • 2024.10.8
4位なのに…Jリーグ屈指の名門が監督と強化責任者を電撃解任したワケ
4位なのに…Jリーグ屈指の名門が監督と強化責任者を電撃解任したワケ

Text by アンバサダー

Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊によるレポートをお届けします。

鹿島サポーター以外は吉岡宗重FD退任に驚き

10月6日に鹿島アントラーズのランコ・ポポヴィッチ監督が契約解除、吉岡宗重フットボールダイレクター(FD)が退任となった。

この時点でリーグ4位。そして直近のリーグ戦ではアルビレックス新潟に4-0の快勝だったため、鹿島サポーター以外からは衝撃の人事として受け止められ、なぜ契約解除?この成績ならば来季も続投ではないか?と驚きのリリースとなった。

今回の契約解除については理解でき、致し方ないものと受け止める第三者の視点で契約解除と退任理由を述べていきたい。

まず大前提として、ポポヴィッチ監督の契約解除以上に、吉岡FDの就任以降、鹿島は3季連続国内無冠であり、もう後がない状況であったこと。ここが重要なポイントである。

レネ・ヴァイラー、岩政大樹、そしてポポヴィッチと、招聘した監督で失敗を重ね、後がない状況。そんな中で今季無冠が確定したため、吉岡FDの責任が問われるのは当然。また、吉岡FDの退任が確定したならば招聘したポポヴィッチも同時にクラブを去る状況であること、ここまでは当然の流れである。FDと監督の退任はセットであり、どちらか片方がクラブに残る選択肢はなかったものと思料。

つまり、ポポヴィッチ契約解除が先ではなく、吉岡FDの退任が先に来て、それに伴う同時契約解除が今回の人事であると認識している。

クラブの伝統から大きく異なる、ヨーロッパ人監督であるヴァイラーで失敗。クラブOBの岩政で失敗。最後は自身の大分時代コネクションであるポポヴィッチを呼び、傍から見たらこれが最後のチャンスだった。吉岡FDからしてもポポヴィッチ監督は最後の切り札だったのだろう。その最後の切り札・最後のチャンスで無冠が確定したならば退任は必然。

鹿島はリーグ戦4位ではあるものの、先日の天皇杯ベスト8のヴィッセル神戸戦、鹿島は主力で挑んだにもかかわらず、完全控えメンバーの神戸に0-3の完敗を喫してタイトルを逃した。

そしてリーグ戦では、残留争い中の湘南ベルマーレに0-2から3-2という鹿島の歴史においてではかなり珍しい大逆転負けを喫して優勝争いが絶望的な状況となった。

何より、今季は主力固定で引き出しがないがゆえに、主力を酷使した結果、サイドバックの濃野公人が今季絶望の大怪我となった。これがこの一か月で立て続けに起きた事象である。

以上、リーグ優勝は絶望、ルヴァンは3回戦敗退、天皇杯はベスト8敗退に終わり、またも無冠確定の状況。結果もさることながら続投で2年目に挑ませても何も積み上げられなそうで、引き出しが無く主力固定化の内容を踏まえると、シーズン途中の契約解除という時期については議論の余地はあるものの、どうあがいても今季限り一年で首切りコースなのは確定だと思っていた。

そのため、今季いっぱいまで指揮をとるか否かの違いはあれど、ポポヴィッチと今年限りで契約解除に至ったこと自体は納得をもって受け止めている。過去、FC東京においてもセレッソ大阪においても「長期政権を任せられるほどの実力を持つ監督ではない」と私は評価しているため、鹿島としてもここが限界だろう。

そういう意味では、何故ポポヴィッチを招聘したのかという話だが、これは吉岡FDとの大分時代のコネ人事でしかなさそうなので吉岡氏と同時に退任なのも致し方ない。どちらかが残るわけにはいかず、一蓮托生の人事であった。

限界の見えた監督に複数年任せても未来はない

ポポヴィッチに来季続投の希望を望むサポーターもいるだろうが、ポポヴィッチに限らず、限界の見えた監督に何年も任せたところで結果は出ない。

「長い目で、中長期的視点で」とダラダラ任せて傷口広げるのは愚の骨頂。よって、見誤ったことに気付いて早期に解任すること自体は当然の人事である。

ことポポヴィッチについては来季続投させてもこの主力固定化・主力疲弊の現状が続く可能性は高く、積み上げは乏しい。主力固定の弊害で最たるものは前述の濃野の大怪我だが、鈴木優磨の酷使による不調も顕著だと感じている。もちろん、主力と控えメンバーの実力差がありすぎるからポポヴィッチのスタメン固定化采配もやむなしと捉えるサポーターも一定数いるだろうが、その戦力編成も含め吉岡FDの仕事が問われる点であり、結局は責任を問われ、退任に繋がるのは同じだ。

佐野海舟が残ってたらもう少し違った戦いで順位も変わっていただろうが、海外移籍はどのクラブも同じ条件なのでそれは言い訳にならない。

結果、ポポヴィッチ監督の限界、吉岡FDの限界が露呈したため、両者ともここで終結となること自体は理解はできる。

ただし、後任選びで同じ失敗を繰り返さないことがマストである。同レベルの監督を呼んだら全く意味がないが果たしてどうなるか。監督どころかFDを一新したため、鹿島としては次の一手が極めて重要となる。

ライター名:中坊

紹介文:1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2023年終了時点で962試合観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている(本記事は一週間後、中坊コラムに転載します)。

Note:「中坊コラム」
https://note.com/tyuu_bou
Twitter:@tyuu__bou
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