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島原・八ヶ岳・富山の海山が生んだテロワールを堪能【旅をしてでも行きたいレストランVol.1】

  • 2024.10.8

【ヴィッラ デル ニード】生産者との輪を広げ、雲仙・島原の豊かな食材をテーブルに届ける

森の中で食事することをイメージしてリニューアルした木のぬくもりを感じる店内。
森の中で食事することをイメージしてリニューアルした木のぬくもりを感じる店内。

島原半島の北西部、雲仙市にある「ヴィッラ デル ニード」も“旅をしてでも行きたいレストラン”のひとつだ。長崎空港からは車で1時間半ほど。高速道路を諫早ICで降りて、穏やかな有明海の景色を見ながら海岸沿いの道を進むと、オーナーシェフ吉田貴文が生まれ育った雲仙市国見町に到着する。福岡市の飲食店で料理の道に入った吉田は、26歳で渡伊。ピエモンテで1年間修業して九州に戻り、福岡市内のカフェを経て、2015年に実家の敷地内でレストランを開業した。試行錯誤を重ねながら、ランチディナーともにデザート含めて8〜10品のコースのみというスタイルを続けている。

フランス、スイスに接し、独自の食文化を持つピエモンテ州の料理に大きな影響を受けた吉田貴文シェフ。
フランス、スイスに接し、独自の食文化を持つピエモンテ州の料理に大きな影響を受けた吉田貴文シェフ。

地元生産者とのつながりを大切にするうちに、輪がみるみる広がって自然と地産地消になり、気が付けば食材のほとんどが地元産。長崎の唐人菜、雲仙のこぶ高菜、有明海の海苔、五島列島の石鯛から、桑田自然農園の自然卵、南島原吉岡製麺所の手延べ素麺まで、その土地のテロワールを感じる素材を使い、ピエモンテで学んだ土地に根差す料理を実践している。

島原の風土、四季を感じる食材を、洗練されていながら温かみも感じるイタリア料理へと昇華させる。
島原の風土、四季を感じる食材を、洗練されていながら温かみも感じるイタリア料理へと昇華させる。

ヴィッラ デル ニード(villa del nido)

長崎県雲仙市国見町多比良甲313-2

Tel./0957-73-9713

https://ameblo.jp/villadelnido/

https://www.instagram.com/villadelnido

【カエンネ】イタリア仕込みの野趣あふれる薪焼きと自然の恵みの発酵料理を堪能

本場イタリアの伝統製法を基に地元の銘酒「真澄」のこうじを用いて自然熟成させた生ハム。
本場イタリアの伝統製法を基に地元の銘酒「真澄」のこうじを用いて自然熟成させた生ハム。

JR茅野駅から車で20分ほど。長野・八ヶ岳の「カエンネ」は、ピエモンテの星付きレストランやエミリア・ロマーニャの生ハム工房で腕を磨いた臼井憲幸シェフが、満を持して開いた全6席の小さなイタリアン。この土地を選んだ理由は、修業先のイタリアの風景と重なるからだという。都心のレストランで働いた経験もあるが、例えば得意とする薪火料理も火の量などに気を使わざるを得ない。広大な自然に包まれた今の環境なら気兼ねなく焼くことができる。

野趣に富んだ薪焼きとは対照的な、繊細な発酵技術はカエンネの料理のもう一つの特徴。
野趣に富んだ薪焼きとは対照的な、繊細な発酵技術はカエンネの料理のもう一つの特徴。

自家菜園で育てた野菜やハーブ、森で見つけたキノコや野草は、採った30分後にはゲストのもとに届けられる。隣町の美ヶ原高原町に、念願の生ハム工房も完成し、エミリア・ロマーニャ仕込みの自然熟成の生ハムも提供できるようになった。店名の「ca'enne(カエンネ)」のca’はCasaの略で家を表し、enneはシェフのイニシャルのNを意味する。まさにシェフの自宅に招かれたようなそんな温かさを感じるレストランだ。

信州・八ヶ岳の自然と出合い、理想とするイタリアンが提供できるようになったと語る臼井憲幸シェフ。
信州・八ヶ岳の自然と出合い、理想とするイタリアンが提供できるようになったと語る臼井憲幸シェフ。

カエンネ

長野県茅野市豊平字東嶽10222-25

Tel./050-3159-5561

https://caenne.com/

【御料理 ふじ居】四季折々の旬の食材を活かして、富山の魅力を発信する

土鍋ご飯にぎっしりと鮎を敷き詰めた秋の名物「鮎飯」。
土鍋ご飯にぎっしりと鮎を敷き詰めた秋の名物「鮎飯」。

「御料理 ふじ居」は、富山市からLRT(路面電車)で20分ほどの、日本海に面した古い港町・岩瀬町にある。かつて日本海回りの交易船・北前船で栄えた街は、時代とともに寂れてしまったが、地元の銘酒・満寿泉の蔵元が20年ほど前に始めた地域再生プロジェクトによって復活。新進のシェフやアーティストが集まる新しい富山文化の発信拠点に変身した。富山市出身の藤井寛徳は、金沢「日本料理 銭屋」や京都・祇園「味舌」での修業を経て、市内の中心部に店を持っていたが、このプロジェクトに共鳴して店を移転した。

店主・藤井寛徳の郷土愛にあふれる料理は、「ミシュランガイド北陸2021特別版」で2つ星も獲得。
店主・藤井寛徳の郷土愛にあふれる料理は、「ミシュランガイド北陸2021特別版」で2つ星も獲得。

日本料理の伝統を受け継ぎながら、お造りの魚は富山産に限定するなど、富山を中心とする北陸各地の生産者から直接仕入れた食材を活かし、時代に合わせた工夫を凝らす。スペシャリテは、季節の椀だねと一番出汁で仕立てる煮物椀。すべての料理の土台となる出汁をとことん堪能できる。春のホタルイカの釜揚げ、夏のバイ貝の炙り、秋の鮎飯など、季節ごとに名物があり、四季を通じて食の宝庫・富山の魅力を伝え続けている。

富山港展望台まで徒歩2分。周囲は明治時代の家屋が数多く残るレトロな街。
富山港展望台まで徒歩2分。周囲は明治時代の家屋が数多く残るレトロな街。

御料理 ふじ居

富山県富山市東岩瀬町93

Tel./076-471-5555

https://www.oryouri-fujii.jp

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