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不登校の子どもとどう接したら? 親子の信頼関係を回復させる方法と、困難から才能を開花させる方法

  • 2024.10.8
ダ・ヴィンチWeb
『学校に行けない子どもの気持ちと向き合う本』(矢部裕貴/KADOKAWA)

夏休み明けの2学期。子どもが学校に行き渋る、もしくは行かなくなった、という家庭は多い。これまで普通に学校に行っていた子が、ある日突然、行かなくなったら……。それだけで親はどうしたらいいか分からず、戸惑ってしまう。「学校に行けない」子どもを前に、何もできない自分たちがもどかしくもあるだろう。

だが一方で、親が仕事で忙しい場合、家にいる子に「ちょっと掃除しておいて」「洗濯物、取り込んでおいて」など、つい家事をやってくれるよう頼んでしまうことはないだろうか。

そもそも賛否両論ある、子どもに家事をさせる問題。まして学校に行けない子の場合、させていいものか、させないほうがいいのか――。そんな悩みをズバリ解消してくれるのが、『学校に行けない子どもの気持ちと向き合う本』(矢部裕貴/KADOKAWA)だ。不登校に関する書籍や情報は多数あるが、本書は「学校に行かせる、行かせない」といった二者択一の回答を説いたり、ハウツーを示したものではなく、タイトルどおり「子どもの気持ちと向き合う」ことにフォーカスしている点に注目したい。

学校に行けない子を前にして、親が本当に悩み、苦しんでいるのは、子どもの気持ちが分からないから。果たして、そんな状態で子どもに家事をさせるのは正解なのだろうか。

誰かの喜びになっているということが自己肯定感を高める

その答えは「大正解」! なぜなら、誰かの喜びになっているということが、子どものモチベーションを保つために必要だからだ。学校に行けない子は、行きたいと思っているのに行けないという苦しみだけでなく、そんな自分が親を悲しませている、迷惑をかけているという思いを抱いている。そして、それが罪悪感となり、自分はダメなんだと自分を否定している。つまり、自己肯定感が低くなっている状態だ。

だが、家族のために自分が家事をすることで「ありがとう」「助かった」と感謝されると、人に喜ばれたいという子どもの本能が目を覚まし、自己肯定感が高まっていく。だから、この経験は子どもにとってとても大事なのである。

家事をさせる=労働を課すというスタンスではなく、自分が子どものことを喜んであげる機会、感謝する機会をつくっていると思えば、親も罪悪感を抱かなくて済むだろう。特に喜ぶことが苦手な人にはおすすめだ。そこから日常の中の子どもが自然とやっていること、できるようになったことに「ありがとう」をちりばめていくと、子どもは幸せになっていき、自信がついていく。

そして最終的に、何もしなくても「自分は生きているだけで人を幸せにしているんだ」と子どもが思えるようになったら、それで十分だ。

そもそも不登校は才能開花の前触れ

学校に行けない子は、決して問題のある子ではない。問題に直面している子だ。

例えば、友だちがつくれない、周囲の雰囲気に馴染めない、勉強につまずいている、頑張れない自分が嫌……など。子どもはそれらについて苦しみ、悩み、一生懸命考えている。そして、その問題を乗り越えたとき、今までの自分とは全く違う大きな成長を果たす。

それが「才能開花」だ。もともと人にはいろいろな才能の種があって、悩みや困難というものを乗り越えていくプロセスで花開いていく。そこにスキルや知識や情報が掛け算されていくことで、形が見えて仕事になっていくことはたくさんあるし、得意なことがそこからどんどん出てくる。そして、人生を豊かに生きるための個性になる。何かしらに苦しんだ体験は、全て未来の才能開花につながっている。

不登校に直面したことが子どもの才能を見つけ、伸ばすきっかけになり、その子らしい明るい未来につなげていくことができるのだ。

土台となるのは親子の信頼関係

とはいうものの、今、目の前にいる子どもが何を考えているのか分からない。だから、どう接したらいいかも分からない、というのが親の切実な悩みではないだろうか。子どもとのコミュニケーションがうまくいっていない場合は、信頼関係が低くなっているかもしれないと疑ってみることが大事だ。

面白いことに、子どもに家事をさせた場合、子どもとの関係が見えてくることがある。それが洗濯だ。洗濯物を干すときや取り込んでたたむときは、家族一人一人のことを思い浮かべなければできないからだ。お母さんのものをたたんでいるときはお母さんのことを思い浮かべるし、お父さんのときはお父さんのことを思い浮かべる。お父さんに腹が立っているときは、適当にしてしまうとか、そういうところに子どもの気持ちや普段のコミュニケーションが出てくる。もしも自分の洗濯物がしわくちゃだったら、信頼関係を回復することが先決!

そのためには、子どもの存在を尊重すること。そして、子どもの話を途中で遮らず最後までしっかり聞いてあげることだ。なぜならそれが、子どもの気持ちと思いに寄り添ってあげることだから。すると、子どもは親に対して、自分を受け入れてくれていると信頼を高め、本音が言えたり、相談してくれたりするようになる。

1万5000件を解決したカウンセラーが見た才能開花

親子問題専門の心理カウンセラーである著者の矢部裕貴氏は、1万5000件以上の相談を受けてきた経験から、不登校という困難を乗り越えて才能を開花させた子どもたちを多く見てきているという。

ある少女は小学校1年生〜中学3年生まで不登校だったが、通信高校に通うようになり、今では学ぶことの喜びを楽しんでいる。また、不登校から高卒認定(高等学校卒業程度認定試験)に合格し大学に進学、英語を学び、それを活かして就職した会社で8年間頑張っている青年もいる。結婚して幸せな家庭を築き、芸術の才能を活かした仕事に職についた女性も。カウンセリング後にそれぞれが自分の進みたい道を見つけている。

本書は、子どもはもちろん、親のメンタルもケアしながら、親が子どもの気持ちに寄り添う3ステップをもとに、親子の信頼関係を深める方法、子どもの短所から才能を見つける方法などが5章にわたって紹介されている。子どもの不登校で悩む親をはじめ、子どもとの関わり方に悩んでいる全ての人に、ぜひ手にとってほしい。

文=岸田直子

矢部裕貴 やべゆうき●親子問題専門の心理カウンセラー、お母さんの学校校長。1万5000人以上の親子のカウンセリングをする中で、悩みは才能に変わることを発見。「一人で悩むお母さんを0にする」をモットーに、お母さん向けのオンラインコミュニティ「お母さんの学校」を運営。

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