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北陸食材を堪能できる、金沢のいちおし和食店とスパニッシュバル。

  • 2024.10.9

東京から約2時間半で行ける、古都・金沢。まだ夏の気配が残る8月末、数年ぶりに金沢を訪れました。滞在時間はおよそ24時間。アートや工芸など、たくさんの魅力にあふれる街だけれど、今回はグルメにフォーカス!

魚卸売店が展開する和食店で、心ゆくまで海の幸を。

新幹線の駅を降り、まず向かったのが金沢駅の北西部、繁華街とは逆方向にある、居酒屋はちなな。昼と夜の二部制で、昼は11時45分からの一斉スタートです。

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はちななは看板がなく、初めての人にはわかりづらいのですが、タクシーの運転手さんに伝えたところ、すぐわかってもらえました。
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カウンター7席、テーブル8席の小体かつミニマルな店。特等席はやっぱりカウンター。

加賀棒茶の香りがするおしぼりと冷え冷えのビールで万全の準備をしたところでまず一品。「ナスの白和え」です。福井県産のナスからじゅわっとあふれる出汁がなんともみずみずしく、そこに豆腐のコクが加わります。

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先付けの「茄子の白和え」。添えられた押水イチジクは石川県の名産品だそう。昼夜コースは共通で、¥16,500からあり、夜はアラカルトも選択可。

日本料理の華であるお椀には、早速魚介が登場!「カニしんじょうとトウガン」です。つなぎをあまり感じさせないしんじょうは、輪島産紅ズワイガニの身がたっぷり。ほろほろと身がほどけるごとに、淡い味が口中に広がっていきます。出汁を吸ったトウガンも、残暑を感じさせてくれます。

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カニの自然な塩味が利いたしんじょうはとにかく繊細。

続いてお待ちかねのお造り。赤イカは能登産、皮目を炙ったノドグロは加賀産、紫ウニは余市から届いたものです。もうたまらなくなり、日本酒へ切り替え。「勝駒」は富山で造られている日本酒ですが、その澄んだ上質な水のような味わいは、ピュアな白身魚とぴったり。

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3種のお造り。ラインナップは時期によって大きく替わる。
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日本酒は、好みを伝えればおすすめを提供してくれます。グラス¥700〜

お凌ぎとしてちょっと意外だったのが「ウナキュウ」。カウンターでかぶりつきだったので巻くシーンをじっと眺めていましたが、ミリ単位(1ミリ以下かも?!)まで細切りしたキュウリがたっぷり。甘じょっぱいウナギとよく合い、爽やかな印象を与えてくれます。

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白酢のシャリを使った「ウナキュウ」。でき上がる様子を眺めながら料理をいただけるのは、カウンターの特権。

この日、最も感動したのが岩牡蠣。震災にも負けず能登の海で生き抜いた岩牡蠣は、特別な処理(企業秘密!)を施し、旨味はキープしながらも磯臭さをぐっと抑えています。牡蠣好きも牡蠣嫌いもナットクのおいしさ。主張しすぎないポン酢でいただきます。クリーミーで、余韻も長くうっとり。三口で終わるのがせつない!

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8月末だったので名残ともいえる能登の岩牡蠣。駆け込みで食べられたのは幸運!

その後、小矢部川の天然スッポンの出汁を使った能登産アワビの蒸しもの、藁焼きで香り付けした和肉のパルミジャーノ添えと続き、幸せ気分で満たされたところ、土鍋で炊いたツヤツヤご飯がやってきました。ご飯だけでも十分おいしいのですが、添えられたのがアユの天ぷら!山椒がアクセントのタレがご飯とよく合います。ご飯のおかわりができるということで、もう一膳リクエストしたところ、おともが自家製の上品な味付けのタラコとおじゃこにチェンジ。これはうれしいサプライズです。

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アユの天ぷらがのったご飯(一膳目)。お米は石川県産コシヒカリ。
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2種のおともがのった二膳目。

本当の締めは丸イモとアカモクがのった富山県砺波市の名品「大門素麺」。こちらもつるりとあっという間に完食したのですが、まだ食べられることを確信。ご飯もまだおかわり可能ということでトドメの一膳をオーダー。最後は海苔の佃煮でした。口中がさっぱりする最中アイスを甘味としていただき、大満足ではちななをあとにしました。

"居酒屋"と謳っていますが、コースをひと通りいただき、その上質さは正統派割烹料理。母体が高級鮮魚の卸売業のため、魚介の質と手当てはお墨付き。季節を変え、もう数回コースを体験したら、いつかは夜のアラカルトもトライし、自分流のコースを組み立ててみたいです。

居酒屋 はちなな石川県金沢市駅西新町3-16-30076-208-5104営)コース11:45〜、18:00〜、19:30〜 ※一斉スタートアラカルト18:00〜22:00L.O.休)水要予約Instagram

2ツ星スパニッシュの姉妹店で、気軽にバル体験。

陽が落ちると一段と大人っぽくなる街、金沢。特に片町エリアは夜が楽しく、飲み歩くのに最適!ここ数年の間に新店がいくつか誕生しましたが、今回は金沢グルメの有力筋から聞いたコメールに狙いを定めました。

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コメールの1階はキッチン、カウンターとテーブル席。2階はテーブル席が広がる。コースは¥5,280から用意。

気になった理由のひとつが、レスピラシオンの姉妹店ということ。2017年のオープン時、フィガロジャポンでも取材をしたご縁もあり、注目していました。レスピラシオンよりぐっとカジュアルなバルスタイルというのも惹かれます。

スペインといえば、のカバを飲みながらじっくりメニューを構成。うれしいのが、一部のメニューはおひとりさまでも頼みやすいハーフサイズが用意してあるところ。

泡モノにはやっぱり揚げもの!と「きよし農園 ヘタナスのフリット」をオーダー。ヘタナスは、火を通すとトロトロになるのが特徴の加賀野菜のひとつ。地元産のハチミツがかかっているのですが、不思議とマッチ。シェフいわく、アンダルシア料理のひとつ。1カ月前にスペインを訪れていたのですが、これは知らなかった!まさか金沢で出合えるとは。甘い→しょっぱい→甘い→しょっぱい→ときどきカバ、で無限ループに陥ります。きよし農園は金沢市東荒屋町とかなり近郊にあるので、その鮮度もおいしさの秘密かもしれません。

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ころもの中からあつあつ&とろとろのナスがあふれる「きよし農園 ヘタナスのフリット」写真はハーフサイズ。通常サイズは¥1,500

もう一品、ハーフサイズにできるタパスをとオーダーしたのが、定番「タコのガリシア風」。このメニューを見ると頼まずにはいられない衝動にかられます。メイン食材はタコとジャガイモのみとシンプルなのですが、パプリカパウダー由来のカツオ出汁のような旨味が沁みるのです。

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ほどよい食感のタコとジャガイモが印象的な「タコのガリシア風」写真はハーフサイズ。通常サイズは¥1,200

こちらで白ワインに切り替え。グラスワインは日々替わるのですが、この日は万能そうなピエモンテの「フォル ゼロ エツィオ チェッルーティ」をセレクトしました。

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ナチュラルワインを多く取り揃えていて、グラス(¥1,100〜)は泡、白、赤、オレンジやロゼも用意している。

ここでお目当てのパエリアが到着! おそらくこの店を訪れるほとんどの人がオーダーするであろう人気メニューです。この日はバイ貝、白ソイ、岩牡蠣の3種から選べました。悩んだ結果、福井県産というバイ貝のパエリアに決定。サクサク歯切れよく、具材がたっぷりのっているのがまたうれしい! 鶏と豚でとった出汁が味わい深く、塩梅もちょうどいい。バルセロナを訪れた際、現地の料理の塩気にノックアウトされること多数だったので金沢スパニッシュに軍配が上がりました。

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「バイ貝のパエリア」ハーフサイズ¥4,400。1〜2人でちょうどいい量。

ほかにも能登豚の耳のスパイシー焼き「オレハ・デ・セルド」や定番のアヒージョ各種、タラのすり身揚げ「ブニュエロ」など気になるメニューが多数。現地スペインの食材に加え北陸の食材がそこここに使われていて、金沢スパニッシュの楽しさを実感。

最後はホテルのバーで締めるべく、再び夜の街へ戻りました。

 

コメール

石川県金沢市木倉町5-3076-221-2234

営)コース18:00〜、19:00〜※一斉スタート
アラカルト18:00〜23:00L.O.

休)不定休

要予約

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