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アマンの原点で体験する、刺激と癒しのウェルネス旅【アマンタカ・アマンサラ】

  • 2024.10.6

アマンの真髄を知る、“アマンホッピング”を体験レポート

アマンはプライベート感あふれるリゾートとして、旅慣れた人々に新たな旅行の形を示したパイオニアだ。どのプロパティもリラックスできる雰囲気はそのままに、その土地の自然と文化に調和したリゾートを展開してきた。アマンジャンキーと呼ばれる熱狂的なファンが生まれ、さらに“アイランドホッピング”ならぬ、“アマンホッピング”という、異なるプロパティをハシゴする楽しみ方も定着している。

一軒目のアマンプリが1988年に誕生して以来、わずか数十年でコアなファンを獲得したアマンだが、現在は、世界21カ国に35軒のプロパティをもつ(2024年10月現在)。日本にも伊勢湾の豊かな海に囲まれた温泉を備えるアマネム、そして新たな都市型のアマン東京、アマン京都、さらに姉妹ブランドとして世界で初めてのジャヌ東京もオープンし、アマンの名は広く知れ渡ることとなった。

さまざまなリゾート展開を始めた今だからこそ、アマンの原点とも言えるリゾートを体感してみたい。そこで今回訪れたのは、カンボジアのアンコールワット遺跡群で知られる、シェムリアップにあるアマンサラ、そして隣国のラオスにあり街全体がユネスコ世界遺産に登録されている、ルアンパバーンに位置するアマンタカの2軒。ともに激動の歴史のなかで放置された建物と敷地をアマンが蘇らせた、プライベート感あふれる小規模のプロパティだ。

アマンサラ、アマンタカとホッピングし、それぞれの文化の刺激を受けつつ、プライベート感あふれるリゾートで心身を癒す、至高のウェルネス旅をレポートする。

【アマンサラ】観光拠点に程近い、プライベートな邸宅

Harper's BAZAAR

2023年に開港したばかりの新たなシェムリアップ国際空港から車で約50分、アンコールワット遺跡群の入口まで車で10分のところにアマンサラは位置する。中心街にありながら、そこがホテルだとはわからないプライベートな邸宅のようなゲートとグリーンの小道を抜けると、オープンエントランスに辿り着く。

アマンサラは元々1960年代にカンボジア国王のゲストハウスとして、フランスの建築家ロン・マンデによってデザインされた。内戦や経営譲渡によって閉鎖されていたこのプロパティをアマンがリオープンしたのが2002年。アマン京都を含むさまざまなアマンの建築を手掛けるケリー・ヒルによって、カンボジアのカルチャーを取り入れた60年代のミッドセンチュリーモダンのオリジナルデザインを生かして再建された。ふたつの宿泊棟を備えた、全24部屋のプライベートなホテルだ。

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賑やかなシェムリアップの街中にありながら、木々に囲まれたリゾートに踏み入れると、外の喧騒が嘘のように穏やかな時間が流れている。 中庭とプールを囲むように建つ宿泊棟は外廊下になっており、扉の隣には椅子と机があり、本を読んだりコーヒーを飲んだり、思い思いの時間を過ごしながら、すれ違う人と挨拶を交わすことも。ずっと近隣に住んでいるかのようなプライベートヴィレッジの雰囲気だ。

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【アマンサラ】カンボジアのローカルハーブをふんだんに用いた、スパトリートメント

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樹齢100年の木を囲むようにして建てられたスパ棟は、ジャスミンの香りが漂うダークカラーの落ち着いた雰囲気。ここでは、トリートメントのほかにもさまざまなアクティビティを行っており、ヨガやキックボクシング、サウンドヒーリング、瞑想やダンス、エアリアルヨガのクラスもあるという。

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アマン・スパには、世界共通のアマンオリジナルのスパプロダクトを使ったトリートメントのほか、各国の文化を取り入れたシグニチャートリートメントメニューがある。

カンボジアでは、クメール王朝から薬用植物が民間療法として広く用いられてきたという。各地に自生する薬用植物は、約2000種類とも言われ、「クルクメール」と呼ばれる伝統医療師たちが、薬用植物で慢性疾患などの治療を行ってきた。アーユルヴェーダと中医学にも似通った、心身のバランスを統括的に捉えた療法で、内戦で西洋医学が弾圧した影響もあり、伝統医療が現在でも薬草は人々の生活に根付いているそうだ。アマンサラの部屋に置かれていた虫除けや石鹸、バスソルトもハーブの良い香りがした。

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今回は、ローカルハーブをふんだんに用いた、女性のためのトリートメント「アプサラ」を体験。まずハーブティーをいただきながらカウンセリングシートで問診を終えたら、着替えて塩とライムの足湯からスタート。

スチームバスで全身をしっかり温めて毛穴を開き、トリートメントメントベッドでハンドメイドのスクラブを全身に塗る。クメールハーブを用いたスクラブは、イエロジンジャー、ブラックセサミ、スティッキーライス、タマリンドなど。ナチュラルなスクラブで、肌を傷めることなく程よく刺激し、全身の角質をケア。ラップをして数分後、シャワーで洗い流すと、天然のオイルで保湿されたような肌触りだ。

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次は、アロエジェルのパックで全身をクールダウン。洗い流した後は、最初の問診でリクエストした肩周りを中心にオイルマッサージがスタート。さらにヘッドマッサージとフェイスクレンジングをして、仕上げにはアマンエッセンシャルのローズミストを吹きかけてフィニッシュ。

マッサージの強さは好みでリクエストできるが、天然のハーブの香りに包まれて、心身ともにリラックスし、ウトウトするくらいだ。トリートメントのあとは別室のリフレッシングルームでレモングラスベースのお茶とフルーツをいただきながら、しばし無の時間を楽しんだ。

【アマンサラ】観光旅行では知り得ない、アマンならではの特別な体験

アンコールワットへは、アマン専用のエントランスから

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シェムリアップを訪れてアンコールワット遺跡群に行かない人はいないだろう。アマンサラの滞在には、日本語も対応可能なガイドと専用のシックなトゥクトゥクが含まれている。チケット購入から、アンコールワット、アンコールトムなどの広大な遺跡群巡りまで、相談しながらプライベートプランを組むことができる。

昼には灼熱となるカンボジアでは、朝陽が上らないうちに出発するのが吉。アンコールワットのサンライズを目指して到着したのは、観光客であふれるメインエントランスではなく、アンコールワットの真裏の西門だ。ここは、通常のゲストには開かれていないエントランスで、アマンサラ滞在者だけが遺跡の静けさを味わうことができる。

ローカルヴィレッジにあるクメールハウスでいただくクメール料理

王が神事の際に沐浴をしたという遺跡のひとつ「王様の風呂」と呼ばれる池「スラ・スラン」の前にあるクメールハウスは、リゾート外での朝食がいただけるアマンのプロパティだ。ローカルの人々が暮らす村の中にあり、周囲には洗濯を干す人や遊んでいる子ども、飼っている鶏が歩いていたりと、リアルな暮らしを垣間見ることができる。クメールハウスも伝統的な高床式の建物で、地元の人と同じように裏庭でさまざまなハーブを育てており、クメール料理にはそのハーブがふんだんに使われている。建物も食事もラグジュアリーだが、ローカルの生活圏内に紛れ込んだ体験ができるのは、アマンが地元と密接なつながりがあるからこそだろう。

水上生活を営む湖の街で、サンセットクルーズ

さらに翌日訪れたのは、アマンサラの船「アマンバラ」で行くサンセットクルーズだ。東南アジア最大の広大なトンレサップ湖で、スナックやドリンクをいただきながら、しばし夕陽が暮れる様子を静かに眺めることができる。

興味深いのは、ここには水上生活を営む集落があるということだ。小舟に乗り換えて、街の間を抜けていくと、高床式で建てた水上の家で洗濯をする人、ハンモックで寝る人、遊ぶ子どもなど、水上での暮らしぶりを伺うことができる。また、学校や船用の修理工場、教会など、社会生活に必要な施設も揃っている。水かさが増す雨季には湖のほとりに移動するのだという。

ラグジュアリーなリゾート滞在のみならず、アマンのネットワークをもって、その国の文化や生活を垣間見ることができるのは、刺激的で特別な体験だ。

 Amansara(アマンサラ)
Road to Angkor, Siem Reap, Cambodia

【アマンタカ】ユネスコ遺産の街に馴染む、フレンチコロニアルの邸宅

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アマンホッピングの2軒目は、カンボジア・シェムリアップ新空港から、飛行機で約1.5時間のラオス・ルアンパバーンへ。空港につき、入国審査の列へと近づくと、アマンタカのサインを持ったスタッフが出迎えてくれて、アマンタカのゲストとして別の列からスムーズに入国ができた。これはラオスに限らず、アマンの個別入国審査ファーストトラックのサービスのひとつだ。空港を出て、送迎の車に乗ると、ここでもまた冷たいおしぼりで出迎えてくれた。

ラオスの古都、ルアンパバーンは旧市街地全体がユネスコ世界遺産に登録されている。仏教建築、ラオスの伝統建築、そしてフランス保護領時代のコロニアル様式が調和する街並みは、画一的な都市とは異なる唯一無二の風情がある。

アマンタカはその街並みにしっかりと馴染む、フレンチコロニアルとラオスの伝統的な建築様式が融合した建物だ。

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かつてフランス植民地時代、州立の建物だった場所を改修して生まれ変わったという広々とした敷地には、風が吹き抜けるロビー・レストラン棟、センタープールを挟んで24室の宿泊棟とスパ棟が連なる。 ロビーやライブラリーにはラオスの人々を写したアートフォトが約150作品も飾られおり、アマンタカではアートコレクターと提携し、アーティストを招いたトークショーやハウストークなどのアートイベントも定期的に行っているのだという。

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中庭にはたくさんの木とグリーンが溢れ、自然との調和する建物のおかげで、静かなオアシスのような雰囲気をもち、リゾートに一歩踏み入れただけで心が穏やかになっていく。

滞在したのは、広い裏庭にプライベートプールを備えた一軒家の「カーン プールスイート」。クラシックな鍵で木の扉を開ける。天蓋付きのベッドや籐のチェア、キャビネットなどのインテリアは温かみのある木製で揃い、ベッドスローにはラオスの伝統的なパターンの織物が用いられ、まるで昔から知っている別荘のような雰囲気だ。

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そして滞在中に気づいたのは、ある部屋のゲートに部屋番号ではなくネームプレートが掲げられていたこと。聞いてみると、リピーターのゲストが滞在している部屋だという。自宅のように過ごして欲しいという思いから、ゲストのネームプレートを用意したそう。アマンのもてなしの心を感じるエピソードだ。

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アマンタカのレストランは、コロニアル調のインテリアが美しいエントランスから繋がる室内にひとつ、そして広いプールサイドでもラオス料理やフレンチ風料理が楽しめる。また、屋外では定期的にラオダンスのショーを開催しており、食事とともにラオスの伝統文化に触れることができる。

【アマンタカ】温水ジャグジーを備えた、広々とした貸切バスハウス

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スパルームは全4室。すべてダブルベッドの仕様のため、ペアで施術を受けることができ、それぞれの部屋にはジャグジーとリフレッシングルームを備え、まるで客室のように広々とした空間だ。

ここでは、ラオスの伝統的な施術である「ラオマッサージ」を体験 。体の不均等を整えることを目的に、施術用の服を着たまま行うドライマッサージだという。 事前に問診を行い、重点的に行いたい箇所や強さなどの好みを細かく記入していく。

施術用ベッドに横たわると、まずは筋肉をさするようにほぐし、曲げ伸ばしながらストレッチを加えていく。隣国のタイ古式のようなアクロバティックさはなく、少しずつ体の可動域を広げていく感覚だ。そして指圧のように指先でツボを刺激。オイルトリートメントのようなエステ感覚というよりも、疲労感や凝りなどに直接アプローチする。そのまましばらくリズミカルな指圧を受け、終えたあとはすっきり体が軽い。翌日にもみ返しがくることもない、日常的に受けたくなる施術だ。

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また、アマンタカには、一軒の独立したバスハウスがある。ふたつのサウナと、温・冷ジャグジー、そして温水プールがあり、完全予約制のため他のゲストと会うこともなく、広々とした空間を独り占めできる。日本で馴染みのある温浴施設といった雰囲気もあり、施術だけではなく、ゆっくりとスパ時間を過ごせるのも魅力だ。

ほかにも、スパの向かいには広いスタジオがあり、ここではヨガや瞑想、タイボクシングやフィットネスなど、希望すればコーチをつけたレッスンも行うという。

【アマンタカ】メコン川、クアンシーの滝、田園etc. 懐かしさを感じる自然の風景

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海に面していない山岳地帯にあるラオスは、豊かな緑あふれる山々、メコン川や田園など、どこか懐かしさすら感じる原風景を残している。アマンタカでは、リゾートを出て自然のなかで過ごすアクティビティも豊富だ。

ラオス随一の絶景、クアンシーの滝の前で朝食を

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アマンタカから車で約1時間走り、山を越えるとたどり着くのが、ラオス随一の絶景、クアンシーの滝。国立公園の一部にあり、滝から下流に流れる途中、水たまりになった池には入水することも許されており、観光客にも人気のスポットだ。この滝の目前で朝食をいただくというスペシャルな体験も。

田園の中でクッキングクラス開催

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さらには、リゾートの契約の農園でラオス料理を教わり、田んぼのまん中でいただくというクッキングクラスにも参加。実際に食材に触れて、包丁を持って手を動かしてみると、ラオス料理に対する興味もがぜん湧いてくる。最後にはレシピもいただき、自宅で再現できるのがうれしい。

ラオス料理というと、あまり想像がつかなかったが、メコン川で獲れる淡水魚と野菜やハーブをふんだんに使ったものが多く、ヘルシーな印象だ。主食は「カオニャオ」と呼ばれる餅米で、竹で編んだ入れ物に入れて手で丸めながら食べるのだが、ベタつきが少なくさっぱりとしいて、ほんのりした甘味があり非常に美味しかった。 田園風景のなか、水牛を眺めながら食事をいただく。異国ながらも心の中の原風景で過ごす時間は、ひとときの癒しをもたらしてくれた。

【アマンタカ】ラオスの信仰に触れる、托鉢や儀式に参加

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仏教が生活に深く根付いているラオスでは、早朝に僧侶が少年僧を連れ立って歩くようすを見ることができる。アマンタカでは、この「托鉢」と呼ばれる修行のひとつを体験することができる。 早朝、リゾートが炊いてくれたカオニャオを持って僧侶が通る道に座り、歩いてくる僧侶たちに順に手で米を与えていくのだ。これは信者にとっては自分の持ち物を手放すことを意味し、僧たちは与えられた食糧のみで1日を過ごすのだという。日常的な風景だというが、仏教が根付いていることを感じる貴重な体験だ。

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最終日の朝には、地元の人々が集まって精霊儀式「バーシー」を行ってくれた。身体に宿る精霊を祀るもので、アニミズム信仰の深いラオスでは結婚や出産などの節目のときに行われるそうだ。旅立ちに際し、旅路が無事であるよう、祈りを唱えながら順に白い紐を手首にたくさん結んでくれた。

アマンタカでは、リゾート内でもこういったラオスの信仰文化に触れる機会が多数用意されている。いまやどこへ行っても忙しない日常から離れるのは難しくなってきているが、初めての体験に浄化されていくようだった。

Amantaka(アマンタカ)
55/3 Kingkitsarath Road, Ban Thongchaleun, Luang Prabang, Laos

アマン・スパに共通するヒーリングとは、サンスクリット語で「プラナ」と呼ばれる生命エネルギーの流れを回復させることだという。肉体的、精神的、感情的な滞りを取り除いて、バランスをととのえること、それはリゾート内外での特別な体験による、癒しと刺激を通して得られた気がする。その国々の文化に触れながら日常を振り返り、五感全てが癒される感覚を味わうウェルビーイングな滞在がアマンの原点にあった。

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