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ラデュレ 、アスティエ・ド・ヴィラット、そしてシャングリ・ラ ホテルの個性的なパリガイド。

  • 2016.3.23
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3月20日に発売された『フィガロジャポン』は、いつもとちょっと趣向が違ってガイド的要素がないパリ特集号。そのかわり、というのではないけれど、作り手の個性がはっきりと出ている素敵なパリガイド本を3冊紹介しよう。

まずは昨年出版された『Paris by Ladurée』(Chêne社刊 19,90ユーロ)から。タイトルからもわかるように、ラデュレによるガイド本である。マカロンのようにカラフルな写真が満載で、紹介されている200のアドレスはどれも優雅でチャーミング。洗練されたアール・ドゥ・ヴィーヴルの代名詞的存在のラデュレがセレクションしたアドレスは、食いしん坊、モード&ビューティー、インテリア、カルチャーの4項目に分けられている。ラデュレが紹介するのだから食関係のアドレスは味に信頼がおけるし、ファッション系の店も委託販売の店を含めて、どれもとてもパリ的エレガンスに溢れるところばかり。とりわけ注目したいのはインテリアの項目だ。ここに掲載されているブティックはどこもラデュレのティールームのファンにとっては、まさにラデュレの世界の延長のよう。サイズ的にも価格的にもインテリア関連の品はそう気軽には購入できないのが現実ではあるけれど、これらのブティックを散策して、スイートでロマンティックな時間を過ごすのは悪くないだろう。なお、ガイドのカバーのイラストはオーストラリアのケリー・ヘスによるもの。ラデュレでは、4月27日から彼女による3種のイラストのマカロン・ボックスが販売される。

『Paris by Ladurée』19,90ユーロ。もうじき英語版も出版されるらしい。

ケリー・ヘスとコラボレーションのマカロン・ボックス。8個入り19,50ユーロ。4月27日から。

Ladurée
75, avenue des Champs-Elysées
75008 Paris
Tel. 01 40 75 08 75
www.laduree.com

2冊目は、今年の初めに出版されたアスティエ・ド・ヴィラットの『Ma vie à Paris』(AV出版 45ユーロ)。ブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットとイヴァン・ペリコリのふたりが、彼らの愛するパリをこの1冊に大公開している。このガイドの装丁は、まるでセーヌ河岸のブーキニストが扱っているような昔の小説本のよう。これは観光客が手に持って歩き、それなりの店に持って入っても恥ずかしくないように、という、ブノワたちの過去の苦い経験からのアイデアだそうだ。

さて、このガイド本は、彼らが新たに設立した出版社の初刊行物である。アスティエ・ド・ヴィラットの文房具やカタログの仕事を請け負っていた活版印刷所がクローズの危機......それは困る! ということで印刷所を買い取ったふたりは、印刷所を持ったなら出版ができる、ということで出版事業をスタート。このガイド本、文字も網状モノクロ写真も装丁同様にまるで昔の本のよう。それこそが、この印刷所ゆえに可能な作業なのである。

ユニークなのは内容もしかり。各アドレスについて彼らの思いも書かれているので読みもの的要素が多い上、彼らの弁護士やら歯医者、会計士まで掲載されていることだ。もっとも、「私のパリ暮らし」的なこのガイド本のタイトルを思えば納得できる。もちろん観光客も活用できるようにレストラン、食料品店、モード以外のブティック、美術館、書店なども掲載されているし、巻末には地図も付いていて使いやすい。パリ20区内から400のアドレスが選ばれているが、彼らの活動半径である4、5、6区のアドレスが比較的多い。4月にオープン予定のアスティエ・ド・ヴィラットの左岸店の住所を早々と載せた......のはいいのだが、気持ちが逸ったのか16番地と書くべきところ、8番地とアドレスを間違えてしまったというのが、ご愛嬌だ。

左:まるで小説のようなガイド本。45ユーロ。右:出版発表の会場にて。アスティエ・ド・ヴィラットの『Ma vie à Paris』が開いた状態でケースに収められている。

パリのエディターの仕事場というイメージで作られた会場で、ガイドの出版が発表された。

Astier de Villatte
173,rue Saint Honoré
75001 Paris
Tel. 01 42 60 74 13
www.astierdevillatte.com

16区のシャングリ・ラ ホテルもガイドを作った。ただし、これは非売品。ホテル内のレストラン「ラ・バウヒニア」で『シック・ティー&プロムナード』と名付けられたアフタヌーン・ティーを楽しむと、このガイドがプレゼントされるそうだ。シェフ・パティシエのミカエル・バルトチェッティによる100%ヴィーガンなティータイムは、毎日午後15時30分〜17時30分(土日は16時〜)。もうひとつの入手法は、2泊以上宿泊することだ。朝食、ウエルカム・シャンパン・ボトル、パリガイドのプレゼント、さらに英語かフランス語のガイド付きで19世紀半ばに建てられたホテル内を1時間探索するコースがセットされたパッケージが用意されている。2009年にパリの歴史記念建造物に指定された建物を知る良いチャンスでは?

これは10の散策コースを提案する1冊である。ホテル周辺、ロマンティックなパリ、パリのブルジョワ地区など。コースごとに地図がついていて、徒歩での所要時間も記されている。ガイド作りには、パリを知り尽くすホテルのチーフ・コンシェルジュも参加。これぞ、ホテルによるガイドの強味だろう。

左:シャングリ・ラ ホテルの『Paris 10parcours parisiens』photo:Roméo Balancourt
右:100%ヴィーガンのアフタヌーン・ティー。これにガイド本がセットされた「Chic Tea & Promenade」は1名60ユーロ。予約はTel. 01 53 67 19 91まで。photo:Bernhard Winkelmann

Hotel Shangri-La
10, avenue d'Iéna
75116 Paris
Tel. 01 53 67 19 98
www.shangri-la.com/jp/paris/shangrila

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