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【丸の内】静嘉堂@丸の内 特別展「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」

  • 2024.10.6

静嘉堂文庫美術館8年ぶり、静嘉堂@丸の内では初の茶道具展開催

静嘉堂@丸の内で開催中の特別展「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」[2024年9月10日(火)~11月4日(月・振休)]を見て来ました。

静嘉堂文庫美術館としては8年ぶり、静嘉堂@丸の内では初の茶道具展になります。

静嘉堂所蔵の茶道具コレクションは、明治17年(1884)頃から昭和20年(1945)までに、三菱第2代社長・岩﨑彌之助(いわさきやのすけ)と嗣子の第4代社長・岩﨑小彌太(いわさきこやた)の親子2代で蒐集されたものでした。 約1400件にのぼる茶道具は、国宝《曜変天目(稲葉天目)》をはじめ将軍家、大名家旧蔵や、著名な茶人ゆかりの由緒ある質量ともにレベルの高いコレクションとなっています。

本展のために選ばれた茶道具79件の由緒歴史や「銘」の響き、作品の見所を楽しむ「眼福」のひとときを味わう展覧会です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

ギャラリー1「“眼福" を ―岩﨑彌之助、 小彌太父子蒐集の名碗から」展示風景 静嘉堂@丸の内 通期展示(天目台の展示替えあり) すべて(公財)静嘉堂蔵

「眼福」のひとときを味わう―岩﨑彌之助、 小彌太父子蒐集の名碗から

重要文化財《油滴天目(ゆてきてんもく) 附:堆朱花卉天目台(ついしゅかきてんもくだい)》の風格

ギャラリー1の展示室では、岩﨑彌之助、 小彌太父子が蒐集した中国製の唐物(からもの)、天目茶碗、高麗茶碗、樂茶碗の名碗が並びます。

はじめに展示されていたのは、重要文化財《油滴天目 附:堆朱花卉天目台》(中国・建窯)。堂々たる風格を感じさせる名品です。 「朝顔のように開いた」茶碗の底から口縁まで大ぶりの油滴斑が飛び散るように広がっています。 銀色の斑紋に青や金の光沢を帯びた油滴が、黒釉の茶碗の内から外へびっしりと浮き出る姿に圧倒されました。

組合せの《堆朱花卉天目台》は、朱漆の層に精緻に彫り込まれた花卉文の華やかな迫力が《油滴天目》の風格をさらに増しているようです。

 

出典:リビング東京Web

重要文化財《油滴天目 附:堆朱花卉天目台》 建窯 南宋時代(12~13世紀) (公財)静嘉堂蔵 通期展示

箱書は松平不昧(まつだいらふまい)筆《黒織部茶碗 銘 うたたね(くろおりべちゃわん めい うたたね)》

ホワイエには和物(国焼)茶碗の名品が展示されていました。

箱書は大名茶人・松平不昧筆と伝わる美濃の《黒織部茶碗 銘 うたたね》。

「口を三方から歪めた半筒形の茶碗」で、胴の片面に「漆黒の鉄釉を三角に掛け外し、網干風の文様が鬼板と呼ばれる鉄絵具で」描かれています。 もう一面の「黒釉を掻き落として白釉を塗り三角繋ぎを表した部分」を午睡する漁師に見立てたのが銘「うたたね」の由来だそうです。

茶碗の釉薬の作る景色に銘を与え、楽しんでいた茶人たちのつぶやきが聞こえてきそうです。

 

出典:リビング東京Web

美濃 《黒織部茶碗 銘 うたたね》 江戸時代(17世紀) (公財)静嘉堂蔵 前期展示:9月10日(火)~10月6日(日)

信長-秀吉-家康、三英傑所持の“大名物(おおめいぶつ)”、松平不昧が名付けた“中興名物(ちゅうこうめいぶつ)”

岩﨑彌之助が最初に購入した茶道具が《大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子》、《大名物 唐物茄子茶入 松本茄子(紹鷗茄子)》でした。 利休時代から天下に名を知られた2つの茶入は、信長-秀吉-家康の三英傑が所持したことでも知られています。

ギャラリー2の展示室では、“大名物”“中興名物”の茶入と付属の品々を共に賞玩する貴重な機会を得ることができました。

《大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子(おおめいぶつ からものなすちゃいれ つくもなす)》、《大名物 唐物茄子茶入 松本茄子(紹鷗茄子)(おおめいぶつ からものなすちゃいれ まつもとなす(じょうおうなす))》

唐物茄子茶入「付藻茄子」は、足利義政(あしかがよしまさ)伝来とされ、戦国時代に所持していた松永久秀(まつながひさひで)から織田信長(おだのぶなが)に献上され、代わりに大和国一円の領地を安堵されたそうです。 「松本茄子」も同時期に堺の豪商・今井宗久から信長に献上されました。

2つの茶入は、慶長20年(1615)の大坂夏の陣(おおさかなつのじん)で大破しますが、徳川家康(とくがわいえやす)の命により焼け跡から破片を探し出し、漆師の藤重藤元(ふじしげとうげん)・藤巖(とうがん)父子により修復されたそうです。 家康はその出来栄えにたいそう満足し、2つの茶入を藤重父子に下賜したそうです。 東京国立博物館でのX線CT撮影の画像では、バラバラの破片と、漆で修復されて見えなくなったかつての見所があきらかになっています。

第二次世界大戦時、東京大空襲にも無傷で残った“大名物”に相応しい来歴の唐物茄子茶入 です。

 

出典:リビング東京Web

《大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子》、《大名物 唐物茄子茶入 松本茄子(紹鷗茄子)》 ともに南宋~元時代(13~14世紀) すべて(公財)静嘉堂蔵 通期展示

“大名物” “中興名物”付属品と共に勢ぞろい

本展の見所の1つは、将軍家所持、大名家伝来の茶道具が、染織や工芸品の付属品と共に鑑賞できることです。 「所持者の好みや、持ち主が変わるたびに象牙の蓋や仕覆を新調」して、箱が増えることがありました。 全ての箱がおさまる総箱は、もとの茶入の数倍の大きさになることも。付属品は茶入が大切に受け継がれて来たことを物語っています。

 

出典:リビング東京Web

ギャラリー2「憧れの茶入 ―“大名物”、 “中興名物”の賞玩」展示風景 静嘉堂@丸の内 通期展示 すべて(公財)静嘉堂蔵

静嘉堂茶道具の粋、大名家伝来のコレクション

本展の主要な柱となっているのは、江戸時代の大名家伝来の茶道具です。

ギャラリー3の展示室では、仙台藩主伊達家(せんだいはんしゅだてけ)旧蔵品の茶道具を拝見。 伊達家の茶道具は、江戸藩邸での徳川将軍のおもてなし、「御成(おなり)」のために収集された名品が多いとのことでした。

重要美術品《大名物 唐物茄子茶入 利休物相(木葉猿茄子)(おおめいぶつ からものなすちゃいれ りきゅうもっそう(このはざるなす))》

徳川家光(とくがわいえみつ)が伊達政宗(だてまさむね)に下賜した茶入で、将軍御成の茶会で度々登場したそうです。 もとは千利休(せんのりきゅう)が所持した茶入で、腰のあたりの釉剥を猿面に見立てて「木葉猿茄子」とも称される重要美術品《大名物 唐物茄子茶入 利休物相(木葉猿茄子)》。

"正宗公好み"と伝わる付属品の千疋猿文様の蒔絵箱との取り合わせが粋です。

 

出典:リビング東京Web

重要美術品《大名物 唐物茄子茶入 利休物相(木葉猿茄子)》 南宋~元時代(13~14世紀) (公財)静嘉堂蔵 通期展示

武野紹鷗-古田織部-清水道関伝来、「猿曳棚」勢ぞろい

猿曳(さるひき)とは猿回しのことだそうです。引戸に猿回しの絵が描かれていることから「猿曳棚」と呼ばれています。

武野紹鷗が好んだとされる地袋のある棚の形が特徴です。 《猿曳棚(本歌)》は、武野紹鷗-古田織部-伊達家茶道役・清水道閑へと伝来し、清水家代々の宝とされて、写しが作られました。本歌の引戸板絵は伝 狩野元信によるものです。

 

出典:リビング東京Web

引戸板絵=狩野永悳 《猿曳棚(写)》 明治18年(1885)、引戸板絵=伝 橋本雅邦 《猿曳棚(写)》 明治時代(19世紀) 静嘉堂@丸の内 通期展示 すべて(公財)静嘉堂蔵

稲葉家伝来、国宝《曜変天目(稲葉天目)》

ギャラリー4の展示室で本展の最後を飾るのは国宝《曜変天目(稲葉天目)(ようへんてんもく いなばてんもく)》。

淀藩主・稲葉家伝来の中国陶磁で完全な形で現存するのは世界で3つだけと言われ、茶道具の至宝とされています。 徳川将軍家-徳川家光-春日局-稲葉美濃守正則、稲葉家代々-岩﨑彌之助-小彌太と伝わり、現在は(公財)静嘉堂所蔵となっています。

青い星のような斑紋の輝きが美しく神秘的な存在感があります。

 

出典:リビング東京Web

国宝 曜変天目(稲葉天目) 南宋時代 12~13世紀 (公財)静嘉堂蔵 通期展示

静嘉堂@丸の内で眼福のひとときを

明治5年(1872)、単身でニューヨークに留学した岩﨑彌之助は、丸の内のオフィス街に東洋の文化財を公開できる美術館を作りたいと考えていたそうです。 美術館構想の先進的な考え方は、当時アメリカの鉄鋼王と言われたアンドリュー・カーネギー著《Gospel of Wealth》(1889)の「富裕な者から市民へ富を還元する」という思想に深く感銘を受けたためとされています。

その本の中には「美術館を建てること」も社会への文化的貢献であると説かれていたそうです。本書は日本では『富の福音』(1903)として彌之助が援助して翻訳刊行されています。

彌之助が思い描いた丸の内の美術館・静嘉堂@丸の内で過ごす眼福のひととき。茶道具の名品優品を心行くまで賞玩してみませんか。

静嘉堂@丸の内の特別展「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」は11月4日(月・振休)までとなっています。 是非お出かけください。

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、缶入りキャンディ 付藻茄子(770円)、ピンズ 絵手鑑 羽子板の飾絵(800円)を購入。 缶入りキャンディ 付藻茄子は、ほうじ茶飴と抹茶飴の味です。

 

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 静嘉堂文庫美術館

〇静嘉堂文庫美術館、静嘉堂@丸の内
URL:https://www.seikado.or.jp/
住所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
※美術館入口は、明治安田ヴィレッジ(旧・丸の内MY PLAZA)の1階
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

〇特別展「眼福―大名家旧蔵、静嘉堂茶道具の粋」
会期:2024年9月10日(火)~11月4日(月・振休)※会期中一部展示替えあり
前期展示 9月10日(火)~10月6日(日)
後期展示 10月8日(火)~11月4日(月・振休)
休館日:月曜日(ただし10月14日・11月4日は開館し翌火曜休館予定)
※10月28日(月)はトークフリーデー(関連イベント欄参照)として開館
開館時間:10:00 – 17:00 (土曜日は午後6時閉館、第4水曜日・10月23日は午後8時閉館)※入館は閉館の30分前まで
会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内 (明治生命館1階))
入館料:一般 1,500円、大高生 1,000円、中学生以下 無料
※お着物の方は一般料金の200円引。他の割引との併用は不可
障がい者手帳をお持ちの方(同伴者1名〈無料〉を含む) 700円
※日時指定予約
※当日券の販売もあります。
※無料チケットをお持ちの方は予約不要です。

〇ミュージアムショップ
営業時間:静嘉堂文庫美術館開館時間に準ずる

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