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パリ10区のフレッシュ・パスタ・ブーム、フェロウズとアドゥラで。

  • 2024.10.6

海外の流行に敏感な世代が多く集まる10区らしい現象。それはロンドンにならって、フレッシュパスタを提案するレストランの出現である。個性の異なるフェロウズとアドゥラの2軒を紹介しよう。

Fellows(フェロウズ)

オテル・グランタムールやオテル・シャトードーなどカジュアルだけどおしゃれな雰囲気で評判のホテルがあり、20~30代の男女が集まる10区の一角に「Fellows(フェロウズ)」が初夏にオープンした。店の地下のキッチンで手作りされるフレッシュパスタが売りのレストランだ。メニューはとてもシンプルで、スターターが5種、パスタが8種、そしてデザートが5種。魚も肉もなくベジタリアンの店だけど、おいしいので食いしん坊たちがランチにディナーにやってくる。

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フェロウズの地下。パスタがここで生まれる。食卓の椅子のグリーンは店のシンボルカラーで、外観もこの色なので見つけやすい。photography: Mariko Omura

シェフのメディ・ファヴリは33歳。ちょっと変わった経歴の持ち主で、ホテル経営について学んだ後、何カ月か食物のリサーチに関わるハーバード大学の教授のラボで分子の改造について仕事をしている。その結果、加熱と抽出との関わりで食物それぞれの特性をコントロールすることによって、余計なものを加えることなく食材の最高の味を引き出せる知識を得たのだ。それを効果的に役立たせられるのが野菜ゆえ、彼は野菜の調理に喜びを感じている。何年間かイベントのシェフを経験する間、パリには仲間たちが集まってワイワイ楽しく食事ができるベジタリアンの店がないことから、フェロウズのアイデアが彼に生まれたのだ。ジャンクフードやストリートフードにも関心を持ちつつ、味わいの追求を続けている。

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仲間が集まる場所にはカクテルが不可欠ないまのパリ!

マファルディーネ、パッパルデッレ、フェットチーネなどの複数のフレッシュパスタとオリジナルソースの組み合わせがフェロウズの魅力である。パスタはメインでそれだけでも小さなお腹はいっぱいになるかもしれない。でも、もし余裕があるならビーツのカルパッチョや薬味風グリーンソースをかけたブロッコリーといった野菜のスターターも個性的なので、ぜひ試してみてほしい。

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一見するとカラスミだけれど、フェロウズに魚は存在しない! これは卵黄からシェフが作り上げた"もどき"の逸品である。
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レモンとスパイスのデュカが良いバランスのビーツのカルパッチョ(6ユーロ)。
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エスプレット・ピーマンの辛みが程よいトマトのパスタは幅広のマファルディーネ。10ユーロ。photography: Mariko Omura
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レモン味、キノコのボロネーゼソース、ホームメイド・ハリッサなどフェロウズならではのフレッシュパスタを味わってみよう。
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デザートから。黒イチジクのコンフィ、柑橘類のクリーム、スポンジケーキのトリオはおかわりしたくなるおいしさ(8ユーロ)。季節によって果物が変わる。photography: Mariko Omura

Fellows
84, rue du Faubourg Saint-Denis
75010 Paris
営)12:00~15:00、19:00~22:30(月~金)12:00~22:30(土、日)
www.fellows-restaurant.com

Adela(アドゥラ)

9区との境の10区に7月にオープンしたフレッシュパスタのレストランは「Adela(アドゥラ)」。フェロウズがインダストリアルな要素をインテリアに取り入れているのに対し、こちらはクラシカルなアールヌーヴォー調にまとめられている。室内装飾を手がけのはジェシカ・ミルで、店内に彼女らしいフェミニンなタッチが漂う。驚きは柱から天井へ繋がる植物モチーフのフレスコ画。ベル・エポック期の花をインパクトのある色彩で描いたのはアーティストのヴィクトール・ブランだ。この時代らしさの演出として、曲線を生かしたステンドグラスもインテリアに取り入れられている。

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最寄駅は地下鉄8番線・9番線のBonne Nouvelle。photography: The Travel Buds
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イタリアン・フレッシュ・パスタをアールヌーヴォーの店内でというミスマッチがおもしろい。photography: The Travel Buds

アドゥラを開いたアンブルとオーギュストは伝統的なサヴォワール・フェールを生かしたいまの時代にふさわしい店を開きたいと長いこと考えていて、その夢を手作りフレッシュパスタのレストランで叶えたのだ。シェフはパリで人気のイタリアンレストランであるビッグ・ママを経由したアニュア・ラリミ。アンブルとオーギュストはパリっ子には珍しくアルデンテへのこだわりがあり、コシのあるパスタが作れるMoulins Bourgeoisの小麦粉をパスタ用に選んでいる。素材の厳選はフランス産の肉や野菜、イタリアのチーズにも言えること。さらにイアリアのプーリア産のオリーブオイルはアドゥラのエクスクルーシブだそうだ。

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毎朝、工房で手作りされる種々のパスタ。photography: The Travel Buds

アドゥラのメニューを開くと、前菜ならアランチーニやヴィッテロ・トンナートなどがあり、パスタもフンギのタリアテッレやペストソースなど日本のイタリア料理店でもおなじみの味が並んでいる。デザートも正調イタリアンらしく、ティラミス、アフォガートなど。かつてアフォガートはなかなかパリのイタリアンレストランのデザートメニューに見つらけれなかったのだけれど、最近のカフェブームのおかげで希望者が増えたのだろう。

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フレッシュパスタ・レストラン。まるで北イタリアあたりのトラットリアに入った感じでは? photography: The Travel Buds
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左: 定番デザートのティラミス。右: カクテルなしでは始まらない最近のディナー。モクテルが3種あるのはノンアルコール派にはとてもうれしい。photography: The Travel Buds

Adela
20, rue du Faubourg Poissonnière
75010 Paris
営)12:00~14:30、19:00~24:00
無休
www.adela-pasta.com

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