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「日本のスポーツにとってもすごく大きな一歩」 Jリーガーの最低年俸240万円で何が変わるのか…プロサッカー選手会長の吉田麻也が解説

  • 2024.10.5
「日本のスポーツにとってもすごく大きな一歩」 Jリーガーの最低年俸240万円で何が変わるのか…プロサッカー選手会長の吉田麻也が解説
「日本のスポーツにとってもすごく大きな一歩」 Jリーガーの最低年俸240万円で何が変わるのか…プロサッカー選手会長の吉田麻也が解説

Text by 井上大輔(編集部)

Jリーグは、9月24日に選手契約制度の大幅な改定を行うことを決定したと発表した。

クラブ、日本サッカー協会(JFA)、日本プロサッカー選手会(JPFA)などとの長期間の協議の末に1999年から継続してきた「プロABC契約」の撤廃などを決めた。その概要はこのようなもの。

〇プロ契約におけるABC区分を撤廃
〇プロ契約締結初年度の報酬上限規制を緩和
基本報酬1,200万円(消費税別)+支度金 500万円(消費税別)
〇プロ契約の基本報酬の下限を新設
・J1リーグ:480万円 、 J2リーグ:360万円 、 J3リーグ:240万円 (いずれも消費税別)
・プロ選手の最低人数を各クラブ20名以上に設定
・18歳以下のプロ契約選手は、年俸下限の例外対象とすることも可

そうしたなか、JPFAの会長である吉田麻也は、Tokyo FMの『吉田麻也の切り替えて行こう!』で、この件についてこう語っていた。

「2年前に僕が選手会長に就任してから、いくつかのスローガンを掲げてやってきたんですが、このABC契約の撤廃は、ずっと議論してきた話です。そして、僕だけではなくて、前、前の前、もっと前の選手会長たちが取り組んできたことなんですが、なかなか思うようにいかなかったんですが、今回30年間変えられなかったこのルールを変えることができたのは、選手にとっても、Jリーグにとって、もっと言うと、日本のスポーツにとってもすごく大きな一歩なんじゃないかなと思っています。

このプロ契約内のABC区分の撤廃ということは、プロかアマチュアのみということになりました。逆に言うと最低賃金がある240万円以下の選手はプロになることが難しいというハードルがひとつ明確に引かれた瞬間でもあるんですが。

それは僕も色んなミーティングで、特に支部訪問といってですね、各チームとミーティングをする機会があるんですけど、そこに出て、J2・J3の選手たちともヒアリングをして。こうなると、今プロでやっている選手たちもプロではなくなるかもしれないけれど、それでも大丈夫ですかという話を丁寧に説明しました。そのなかで、J3の選手たちからも、それはプロなんだから、しっかりと一線を引いて、本人たちにとっては多少リスクもあるんですが、それでもサッカー選手の価値向上やステータスを上げていくためには、必要なことということで、了承してもらって。それをもって、リーグと交渉をさせてもらってという形になってます。

プロ契約の最少登録人数がJ1からJ3のすべてのクラブで一律20にとなりました。今まではJ3は3人プロ契約をしていればいいという状況だったので、非常に安い賃金で契約している選手が多くいたんですが、これからはそのハードルが上がる分、もちろん、予算も膨らむので、クラブへの影響も出てきます。

そのなかで、クラブにも健全な経営をしていくことが求められるし、また、ルーキーの年俸の上限が1200万円に引き上げられたということで、ルーキーの金額が上がると総合的に上の選手たちの年俸も引き上げられるようになるので、経営を圧迫するのではないかという懸念もあるんですけど…」

「逆にこれこそが、Jリーガーのステータス向上につながるし、繰り返しになるんですけど、そのなかでクラブは、きちんとした選手をスカウティングして、そこに投資して、結果が出た選手は待遇を引き上げていくことが求められるので、Jリーグ全体の成長にもつながるのんじゃないかなと思っています。

また、近年、Jリーグを介さずに海外に直接出て行ってしまう選手たちが多くなっているですけど、おそらく、このABC契約を撤廃したからといって、すぐにそれが改善されるとは思わないんですが、この流れはどうしてもこれからも続いていくと思います。ただ、これはそれを阻止するためだけが目的ではなくて、選手のステータスを上げるのが一番の目的なので。

色んな意見はあるでしょうし、240万円が最低なのは低いとか、1200万円の上限を撤廃するべきだとかの意見も見聞きするんですけど、まず大きな流れとしてこのルールを変えたということが、非常に大事で。そこから、最低年俸はもっと引き上げていけばいいし、上限はもっと上にあげていけばいいし、それは選手の努力、リーグの努力、クラブの努力にかかっていると思うので。

まず、この大きな流れを変えるのが、どんな時も…革命というと大袈裟ですが、革命する時に大事なひとつの動きなんじゃないかなと思います。

なので、これからですね。選手自身もいきなり大きなお金をもらって、どういう風にお金を使うかとか、どういう風に自分で人生をマネージしていくかが大事になってくるので、そこら辺のマネーリテラシーを選手たちがしっかり上げていくことも大事になってくるので。いろいろと課題は山積みなんですが、ひとつ大きな一歩を変えられたのは非常にうれしいニュースだなと思います…。

すごい真剣に話してしまったんですけど、でもこれはすごいことだなと思います。僕も最初がこんなに上だったら、もっとそのあとに貰える額も変わってたんじゃないかなと思うし。そうなるとリーグとしても魅力が高まってくれるんじゃないかななんて思っていますけどね。どうですか、みなさん?」

ちなみに、日本プロ野球では、「支配下選手の参稼報酬の最低額は、年額420万円とする」と野球協約で定められている。また、ルーキーの年俸上限は、1600万円とのこと。

なお、JリーグはJ1、J2、J3のカテゴリーごとに20チームの計60チーム。プロ野球は、セントラル・リーグ6球団、パシフィック・リーグ6球団の計12球団。

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