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相思相愛の“おばあちゃん×大型犬”に癒され励まされる! 大人気コミック『姫ばあちゃんとナイト』続編は、街の人たちの成長物語を描き下ろし

  • 2024.10.4

めまぐるしい毎日に疲れたら、『姫ばあちゃんとナイト ふたりはきょうも』(KADOKAWA)の一読がオススメ。穏やかな日常の時間がゆったりと流れる癒し系コミックです。

本作はピクシブエッセイ「第1回 とある日常マンガ賞」で大賞を受賞したコミックエッセイの第2弾。東京・練馬の大きな一軒家に暮らす姫ばあちゃんとゴールデン・レトリバーのナイトによる日常が描かれています。ほのぼの4コマに加え、街の人々が姫ばあちゃんとナイトに勇気をもらって成長していく描き下ろしが見どころです。

■姫ばあちゃんとナイト、ふたりを取り巻く街の人々の成長

たとえば、ペットショップに勤める頼子(よりこ)のエピソード。店長の産休で店長代理に推薦されたものの、“自分は頼りない頼子だから”と断ってしまう頼子。名前をからかわれた子どもの頃の経験もあり、今までずっと、自分に自信を持てずにいたようです。

頼子が今の仕事に就いたのは、自分を笑顔にしてくれた動物に恩返しするためでした。声が小さくて話すのは得意ではないけれど、動物に関しては勉強熱心。そんな頼子の一面を知っている姫ばあちゃんは、ある一言を彼女に投げかけて頼子をハッとさせるのでした。

現実的にはお年寄りが大型犬を飼うことは至難ですが、街の人々は声を掛けたり、代わりに散歩に行ったり、いつもふたりを見守っています。同時に、姫ばあちゃんもみんなの良さをよく見ていることがわかるエピソード。たった一言でも人は変われる、と勇気をもらえるお話でした。

■先に旅立った家族に、毎日が楽しいと報告する姫ばあちゃん

第1巻にも登場する姫ばあちゃんの亡き夫・幸弘さん。第2巻にも夫婦のエピソードが盛り込まれています。お喋りな姫ばあちゃんの話を無口な幸弘さんがいつも聞いてくれていた…という思い出話にほっこり。

最愛の妻を残して先立ってしまった幸弘さんは、きっと天国で姫ばあちゃんのことをとても心配していることでしょう。そんな中、姫ばあちゃんは、夏に街のみんなと川遊びをして楽しかった思い出を幸弘さんに報告します。「今はとっても楽しいから安心して」と亡き夫に報告する姫ばあちゃんの言葉に、読んでいるこちらまで安心する一コマです。

今、縁側で姫ばあちゃんの隣に座り、幸弘さんの代わりに話を聞いてくれているのはナイトです。「この年で毎日がこんなに楽しくなるなんて」とうれしそうに話す姫ばあちゃんの隣で、その言葉の意味を理解しているような表情を見せるナイト。その様子が愛おしくてたまりません。

本作は、姫ばあちゃんとナイトの物語であり、街の人たちのお話でもあります。亡き夫との思い出を語る姫ばあちゃんと、紆余曲折を経て成長していく街の人たち。タイプが異なる登場キャラクターの誰かに共感して、姫ばあちゃんとナイトの姿に癒されながら、一歩先に進むための勇気をもらえる一冊です。

文=吉田あき

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