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“アレの元気”がない彼氏はEDかも?【薬剤師監修】二人でできる“勃起スコア”チェック&EDの改善方法

  • 2024.10.4

彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、彼氏との性交渉に悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。もしかしたら彼氏はEDかも…⁉

【えりのボスの「あと半歩で幸せ」】

塩梅むずい(漫画:腹肉ツヤ子)
塩梅むずい(漫画:腹肉ツヤ子)

1. ED(勃起不全・勃起障害)とは

今回のご相談は、夏希さん(35歳/仮名)からです。

「最近、彼とはうまくいってるの?」

なんだか浮かない顔をしている夏希さんに、えりのボスが尋ねました。

「それが、ここ1カ月くらい彼とSEXできていないんです。なんか勃たないみたいで

「ええ? どうしたのかしらね?」

えりのボスも心配になってきました。

「とくにどこかが悪いっていう感じじゃないんですけど、何が原因なのかよくわからなくて。私に魅力を感じなくなっちゃったのかなぁ」

夏希さんは、不安で今にも泣き出しそうです。

「それ、もしかしたらEDかもしれないわよ」

さらに泣き出しそうな顔になる夏希さん。

これは放っておけません!

1-1. EDのメカニズム

EDって?(写真:iStock)
EDって?(写真:iStock)

「EDってなんですか?」

「EDっていうのは、勃起不全とか勃起障害のことよ。それを説明するには、まずどうやって勃起するのかっていうメカニズムを知ることが必要ね」

「ええ、実はよく知らないんです。教えてください!」

えりのボスは夏希さんに、EDについて説明を始めました。

「男の人の陰茎の中には、海綿体という血液をたくさん含んだスポンジのようなものがあるの。女性に性的な興奮を覚えると、この海綿体に血液が充満して固くなるのよ。これが勃起ね。

EDっていうのは、なんらかの原因で神経や血液がうまく働かなくなって、この海綿体が固くならない状態なのよ」

夏希さんは真剣に聞いています。

「EDの原因は、大きく分けて4つあるといわれてるの。1つだけじゃなくて、2つ以上の原因が組み合わさっていることもあるのよ。じゃあ、今からそれぞれの原因について説明していくわね」

「はい、お願いします!」

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1-2. EDの原因その①「器質性ED」

高血圧だとEDになりやすい(写真:iStock)
高血圧だとEDになりやすい(写真:iStock)

50代に多いといわれているのが、器質性EDです。神経や血管に問題があり、勃起できないあるいは勃起を維持できないという症状です。

神経に障害が起きると、脳から陰茎へ正しく信号が伝わらなくなり勃起できなくなります。たとえば、脳腫瘍やアルツハイマー病、パーキンソン病などに罹っている人は、EDにもなる可能性が高いということです。

また、高血圧や糖尿病などの血管の病気に罹患している人は、血管への負担が大きくなるため、動脈硬化を発症しやすくなります。動脈硬化で血管が固くなると陰茎の海綿体への血流が妨げられて、EDになりやすいといわれています。

1-3. EDの原因②「混合型ED」

一番多いのが混合型EDで、50~60代の中高年に多いといわれています。50代に多い脳疾患や動脈硬化などによる身体的な原因と、ストレスなどの心理的な原因が混在して、EDを引き起こしているのです。

ストレスにもさまざまなタイプがありますが、仕事や人間関係などの社会的なストレスだけでなく、パートナーとの関係にストレスを感じているものや、過去にSEXで失敗したことによるストレスなども原因となります。

こうした原因は、早ければ40代からみられるようになり、年齢が上がれば上がるほど増えていくことになります。

1-4. EDの原因③「薬剤性ED」

薬剤の影響でEDに(写真:iStock)
薬剤の影響でEDに(写真:iStock)

病気の治療薬のなかには、EDを引き起こす可能性のある薬剤というものがあり、これが原因のEDを薬剤性EDといいます。何の薬剤が原因になるのかは、日本性機能学会が監修している【ED診療ガイドライン】に記載されています。

降圧剤、精神神経薬やホルモン剤など、多くの薬剤がEDを引き起こす可能性があるといわれています。こうした薬剤を漢方薬に変えることによって、薬剤の影響が徐々に減っていき、EDが改善していく場合があります。

薬剤性EDの場合は、薬を減らしたり代替えしたりできるよう、主治医や薬剤師に相談してみましょう。

元々の疾患に影響が出てしまう可能性があるため、勝手に薬を止めないようにしてください。

1-5. EDの原因④「心因性ED」

プレッシャーが原因に(写真:iStock)
プレッシャーが原因に(写真:iStock)

30~40代に多いといわれているのが心因性EDです。仕事や人間関係が原因のストレスだけでなく、パートナーとのSEXでの失敗やプレッシャーによるトラウマが原因です。

心因性の場合には、軽度から重度まで、ストレスの度合いによってできることが変わってきます。こうしたストレスが軽減されればEDも改善してくるため、自分ひとりで悩まずにパートナーと一緒になって工夫をしてみることが大切です。

あまりストレスを感じていない場合でも、深層心理を調べてみると原因が見つかる場合があります。そのような場合には、病院でストレスチェックを受けてみましょう。心療治療が必要になるレベルのストレスが見つかるかもしれません。

2. 彼はED? 二人でできるセルフチェック

少しでも可能性があったら受診を(写真:iStock)
少しでも可能性があったら受診を(写真:iStock)

「なるほど。彼はEDなのかも」

「そうね、病院に行く前に二人でできるセルフチェックがあるからやってみたらどうかしら?」

「セルフチェックって、何をしたらいいんですか?」

真剣な夏希さんの様子を見て、えりのボスは夏希さんにセルフチェックのやり方を教えてあげることにしました。

「セルフチェックには、一般的に国際勃起機能スコア(IIEF)という質問票が使われているのよ。興味があるなら、やってみるといいわ」

「わかりました。彼と一緒にやってみます!」

「少しでも可能性があったら、ちゃんと病院に行くのよ。きちんと治療すれば、治るから。あきらめないで。

次にEDになったかもしれない場合に何をしたらいいのか説明するわね」

「はい、よろしくお願いします!」

3. EDになった場合の対策

セルフチェックをやってみて、EDの可能性が高いとなったら次に何をしたらいいのでしょうか。

自分ひとりで治したという人もいるようですが、まずは、パートナーの状態がEDなのかどうか、何が原因なのかきちんと病院で調べてもらいましょう。

EDの原因がわかったら、治療方法に取り組むことができるようになります。

3-1. 泌尿器科の受診

オンライン診療もおすすめ(写真:iStock)
オンライン診療もおすすめ(写真:iStock)

まずは、きちんと診断してもらうことが大切です。病院では泌尿器科を受診してください。原因がわかれば、治療薬が処方されます。早ければその日のうちに処方してくれる病院もあるので、事前に調べておきましょう。

恥ずかしくてちょっと病院には行きたくないという場合には、オンライン診療がおすすめです。インターネットを介して医師に診てもらいましょう。薬は郵送してもらえるので、誰とも顔を合わせる必要がありません。

3-2. パートナーとの話し合い

デリケートな問題だからこそ(写真:iStock)
デリケートな問題だからこそ(写真:iStock)

もし彼がEDだとわかったら、まずはそのことを受け入れましょう。EDを治すには、パートナーの協力が必要不可欠です。EDを治すには何をしたらいいのか、自分には何ができるのか、しっかりパートナーと話し合うことが大切です。

EDの治療に必要なことは、お互いを責めないこと。そして、薬だけでなく、生活習慣の見直しや運動など、刺激が得られるようにいろいろトライしてみましょう。

勃起はとてもデリケートな問題です。リラックスできる状態を作り出せるよう、パートナーとしっかり話し合い、治療に向けて協力していきましょう。

3-3. 食事の見直し

バランスのいい食生活を(写真:iStock)
バランスのいい食生活を(写真:iStock)

EDの治療には生活習慣の見直しも大切です。生活習慣のなかでも、とくに食生活の改善は効果があるといわれています。

器質性EDが原因である場合、そのもととなる病気の多くは生活習慣病によるものです。乱れた食生活や、偏った食事内容などが原因で血流が悪くなってしまい、うまく勃起できないということもあります。

生活習慣病は、EDだけでなく重大な疾患を招く可能性もあるため、毎日の食事をしっかり見直し、改善していくように気を付けましょう。

3-4. 筋トレ

下半身の筋トレがおすすめ(写真:iStock)
下半身の筋トレがおすすめ(写真:iStock)

EDの原因である生活習慣やストレスは、運動をすることによって改善あるいは治療できることが、多くの研究からわかっています。

生活習慣病の原因ともなる運動不足は、肥満や血流が悪くなる原因になります。日頃の運動不足を解消するためにもウォーキングやスクワットなど、手軽にできる運動から始めてみましょう。

とくに、下半身の筋トレはEDに効果があるといわれています。毎日しっかりと継続してみてください。

4. EDには漢方薬の服用もおすすめ

原因にアプローチできる漢方薬を選ぼう(写真:iStock)
原因にアプローチできる漢方薬を選ぼう(写真:iStock)

EDの対策には、食事の見直しや筋トレなどに加えて、心とからだ全体の機能回復を目指す漢方薬もおすすめです。

「ホルモンバランスを整える」「滞った血流を解消し、生殖機能を回復する」「自律神経を整えてストレスを緩和する」といった原因にアプローチできる漢方薬が使われます。

オンラインで相談も(C)コクハク
オンラインで相談も(C)コクハク

《EDに悩む人におすすめの漢方薬》

漢方薬医がいるクリニックでは、次のような漢方薬が処方されています。市販薬でも入手することができるので、チェックしてみてください。

・八味地黄丸(はちみじおうがん):【八味地黄丸の効果・効能】は、下肢痛、腰痛、しびれ、排尿困難、残尿感、むくみ、高血圧に伴う随伴症状の改善などです。八味地黄丸は、泌尿器や生殖器などの機能をサポートするといわれています。

・柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):【柴胡加竜骨牡蛎湯の効果・効能】は、動悸や不安などの高血圧の随伴症状や神経症、更年期神経症や便秘の改善などがあります。柴胡加竜骨牡蛎湯は、からだのバランスを整えて、ストレスの軽減や改善に効果があるといわれています。

・半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):【半夏厚朴湯の効果・効能】は、不安神経症、神経性胃炎やのどのつかえ感の改善などがあります。半夏厚朴湯は、消化器の不調や緊張を改善し、胃腸の働きを正常化して、神経を落ち着かせるといわれています。

スマホで気軽に専門家に相談できるオンライン個別相談も話題です。スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談が可能。お手頃価格で不調を改善したい人は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

5. EDは原因を知り、正しい治療でしっかり治していきましょう

「どうかしら。EDについて理解はできた? まずは原因を知って、正しい治療でしっかり治していくことが大切よ」

「はい。まずは彼に病院を受診するよう、きちんと話してみます。何か重大な病気だったら困るし…」

夏希さんは、来たときは不安でいっぱいという顔でしたが、話を聞いていくうちにすっきりしたようです。

「そうね。もしまた不安になったらここにいらっしゃい」

えりのボスも満足した顔つきで、夏希さんを見送りました。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(文・コクハク編集部/漫画・腹肉ツヤ子)

◇ ◇ ◇

<この記事の監修者>

あんしん漢方薬剤師 中田 早苗(なかだ・さなえ)

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-youtubeチャンネルでは、お薬最適化薬剤師として「無駄な服薬はお財布と体の敵!」をモットーに薬の最適な選び方を解説する動画を公開中。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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