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【博多区】THEATER 010でダミアン・ジャレと名和晃平コラボ新作

  • 2024.10.4

名和晃平×ダミアン・ジャレのコラボレーション最新作が9/27(金) - 10/6(日)福岡で世界に先駆けて初公開です。 《MIRAGE[transitory] 》を中洲近くのTHEATER 010で楽しんできましたのでレポートします。 公演期間限定オリジナルメニューで、「仕掛けが楽しめるカクテル」と新感覚アジアンフレンチを気軽に楽しめるショートコースに加え、今回舞台美術を担当された彫刻家の名和晃平さんや振付のダミアン・ジャレさん、音楽担当のトーマ・バンガルテルさんの取材もできることになって、ドキドキの1日でした。

世界に先駆けて福岡で初公開の《 MIRAGE[transitory]》

本作は、これまでのコラボレーション3部作《VESSEL》《Mist》《Planet [wanderer]》を経ての儚い命の幻想という感じなのでしょうか?ちらりと公開されているyoutubeの動画に、引き込まれるようなダークなイメージがありました。

ダンサーたちの人間としての肉体というものの美しさに感嘆です。ここまで美しく自分の体を制御できることに驚愕さえ感じます。ひとりひとりの動きや、もはや人間に見えないような暗闇の中で蠢く一塊の肉。まばたきするのも忘れそうになりました。 だんだんと汗ばんで、艶やかに光っていくダンサーの肌をすぐ目の前で感じることができる劇場というのもここならではです。

受け取るものはひとりひとり違うものになると思います。いのちの力強さを感じたり、またその儚さを感じたり。しーんと静かな瞑想に入っていくような気持ちになりました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

Photo: Yoshikazu Inoue

70分の公演。背もたれのない椅子での鑑賞はちょっとつらいかなと思ったのですが、あっという間の時間でした。

ドキドキの取材でひとつだけお尋ねしてみました

ダミアン・ジャレさん、名和晃平さん、そして音楽担当のトーマ・バンガルテルさん。ひとつひとつの質問に対して、ものすごく丁寧に答えてくださいました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

Photo: Yoshikazu Inoue

わたしからは「今回の《MIRAGE[transitory]》から東洋的なもの、オリエントの香りが色濃く出ているように感じました。実際にはどのような文化からの影響が大きいのでしょうか?」という質問をしました。

名和晃平さん:特別、東洋を表現しようと思っていた訳ではありません。ただ、ダミアン自身がとても日本に関心が深く、風土はもちろん、『日本書紀』や『古事記』といった神話や歴史、修験道や仏教といった信仰まで幅広くリサーチしています。ヨーロッパのバックグラウンドと日本に対する興味が融合した彼の視点と、京都で制作を続けてきた僕自身の視点、それらが幾重にも重なりあいながら表現に滲み出ているのではないかと思います。 博多という場所、THEATER 010 (シアターゼロテン)でなぜやるのかという意味を考える時に、博多の祭りなど、山笠の造形の凄さ、博多という場所が持つ祭りのエネルギーとかそういうものを参考にしようというのはありました。トーテムという垂直にダンサーが高くなって動くという演出はそのインスピレーションです。山笠はもともとルーブル美術館で発表したスローンという作品の造形にも参考にしていたもののひとつだったので、そこが重なったのかなとは思います。

ダミアン・ジャレさん:日本の視点を好んで取り入れています。2004年の10月に初来日してから20年、東北の震災も含め、何度も日本を訪れ、非常に多くのことを学んできました。 特に、2014年に坂本龍一さんから札幌国際芸術祭に招待いただいた際に日本の古代史や儀式を紹介していただき、そこからより深く興味を持つようになりました。日本は日常の中に自然にさまざまな儀式が組み込まれ、励行されています。そうした感性に感銘を受け、私たちのパフォーマンスも現代のある種の儀式として捉えています。その中には、日本古来の儀式の要素や、文化に内在する活力といったものも取り込まれているはずです。 また、さまざまな実験を重ねながら制作を進める名和さんのスタイルからも、大きく影響を受けました。本作は理論や哲学だけではなく、素材や振り付けの実験の中で発見したことを盛り込みながら実現された作品なのです。そしてそれは何よりも、さまざまなコラボレーターやSandwichのスタッフを含む、チームの支えがあってこそ成し遂げられました。チームのみんなと共にリハーサルを繰り返しながら、稀有で非常にユニークな体験をつくりあげられたと感じています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

名和晃平さんの作品とともに、制作方法などのお話をお聞きしました。これは実際にモデルを何十台ものカメラで撮影し、3Dデータを作成、そこにプログラミング処理を加え、と複雑な工程を経てつくられているのです。また表面の質感も、繊維の長短や色の濃淡などを微細に調整した素材を吹き付けることで表現されているとのこと。彫刻と聞くと、ノミとハンマーでコツコツなんていうのが脳内再生されたわたしは既に化石でした。

特製のカクテルとお料理も楽しみ

今回の《MIRAGE[transitory]》のための期間限定 GohGanショートコース。鑑賞された方限定(¥5,000要予約)です。アジアのベストレストラン50に選ばれたアジアンフレンチを気軽に楽しめる機会を逃す手はないかな。

左側にアミューズの「パニプリ」(インド)はパリパリの感触でヨーグルトソースといただきます。手前は前菜のセビーチェ(ペルー)。魚介とお野菜のマリネです。

出典:リビングふくおか・北九州Web

これは!かの博多銘菓をオマージュした「Gohりもん」フォアグラとタマリンドがサンドされています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

メインの伊萬里牛をいただきます。ココナツがぱらぱらと散ったソースが美味しかった。

出典:リビングふくおか・北九州Web

シメは、GohGanスパイシークラブカレー。カニの身がザクザク入ったピリ辛カレーの贅沢さに溺れます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

そして最後に登場するのが!今回の《MIRAGE[transitory]》をイメージしたデザート、その名も「MIRAGE」です。目を奪われます。チョコレートのシェルの中にとろりとしたクリームが入っています。パクリとひとくちで。一瞬で溶けて無くなります。儚い。

出典:リビングふくおか・北九州Web

2Fのバー「BAR010」で《MIRAGE[transitory]》期間限定で提供される、仕掛けが楽しめるカクテル、「Flow」(¥1,650)。 氷が入ったグラスに乗せられた綿菓子の上から金粉がまじったレモンジンをベースにしたお酒を注ぐと、綿菓子の中に仕込まれた竹墨と共に微妙な色合いと金粉の流れが目を楽しませます。照明の下で蠢く金色の流れをじっと見つめてしまいます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

初日のチケットは既に完売だったそうです。 チャンスあれば見なくては!って気になりますよね。

《MIRAGE[transitory]》(ミラージュ [トランジトリー])
THEATER 010 (福岡市博多区住吉1-4-17 010BUILDING 2F)
振付:ダミアン・ジャレ
美術:名和晃平
音楽:トーマ・バンガルテル
衣装:森永邦彦(ANREALAGE)
照明:吉本有輝子
舞台監督:夏目雅也
音響:中原楽
振付アシスタント:小尻健太
出演:エミリオス・アラポグル、湯浅永麻、ヴィンソン・フレイリー、三東瑠璃、牧野李砂、リ・カフア(Lico)、福士宙夢、加賀谷一肇、モテギミユ
主 催:株式会社 Zero-Ten
企画制作:Sandwich Inc. Super Massive Global 株式会社
協力:ULTRA SANDOWICH PROJECT(京都芸術大学)、株式会社サイバーエージェント、v1rtus Ltd T/A Hemway
instagram:https://www.instagram.com/theater_010/
HP:https://010bld.com/theater/

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