Text by 奥崎覚(編集部)
現在はアメリカMLSのインテル・マイアミでプレーするアルゼンチン代表リオネル・メッシ。
サッカー界の頂点に長く君臨してきた彼も37歳となり、いまだピッチ上で魔法を見せ続けているもののキャリアの晩年を迎えていることは間違いない。
その一方で、サッカーの本場欧州では新世代の「最強レフティ」候補が各地で眩いばかりの輝きを見せている。
そこで今回は、22歳以下の左利きで突出したプレーを披露している4名の選手を紹介する(アーリング・ハーランドは24歳)。
コール・パーマー
2002年5月6日生まれ(22歳)
イングランド代表MF/チェルシー所属
1人目は、昨季マンチェスター・シティから移籍したチェルシーで22ゴール11アシストという爆発的な活躍を見せたコール・パーマーだ。
イングランド代表として今夏のEURO2024に出場すると、シティ時代の同僚フィル・フォーデンの控えに甘んじながらも好プレーを連発。決勝のスペイン戦では途中出場から見事な同点弾を決めている。
※YouTube上で視聴できるプレミアリーグ公式のパーマーのプレー集。
パーマーは189cmの長身に類まれな技術と正確無比な左足のキックを備え、個で試合を決定づけるだけでなくチームの潤滑油になることもできる驚異的なタレント。
9月28日に行われたブライトン戦では、三笘薫の目の前でプレミア史上初の「前半だけで4得点」を達成。偉大な決定力を改めて見せつけた。
マイケル・オリーセ
2001年12月12日生まれ(22歳)
フランス代表MF/バイエルン・ミュンヘン所属
今年7月のパリ五輪直前、U-23日本代表が開催国フランスと対戦した試合において、ゴールを決めたこの選手のプレーに目を奪われた人も多いのではないだろうか。
ナイジェリア人の父とアルジェリア系フランス人の母のもと、ロンドンに生まれたマイケル・オリーセ。その多様なルーツをなぞるかのように、アカデミー時代もアーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティとビッグクラブを渡り歩いた。
スカラーシップを得たレディングで2019年にプロデビューを飾ると、2021年に移籍したクリスタル・パレスでブレイク。昨季はイングラン代表MFエベレチ・エゼとの“ダブルエース”体制が話題を呼び、プレミアでシーズン10ゴールを達成している。
パーマー同様、184cmの長身テクニシャンだが、長い手足を繊細に使いながら相手のプレッシャーを剥がしていくさまは圧巻。スピードと柔らかさを兼ね備え、ボールに対するインパクトにも優れる。
この夏、100億円超とも言われる移籍金で加入したバイエルンでも主力となりつつある22歳。ヴァンサン・コンパニ監督のもと、今度はドイツ代表MFジャマル・ムシアラとの“ダブルエース”構築が期待される。
アルダ・ギュレル
2005年2月25日生まれ(19歳)
トルコ代表MF/レアル・マドリー所属
アルダ・ギュレルは今夏のEURO2024で世界に名を売ったレフティの一人。レアル・マドリーでは今季からフェデ・バルベルデのつけていた15番を背負っている。
これまでなんだかんだと久保建英にはレアル・マドリー復帰の噂が付きまとっていたが、2023年夏のギュレル獲得(+ブラヒム・ディアス復帰)でその道はほぼ絶たれたと言える。
「トルコのメッシ」や「NEWエジル」とも評される19歳は、ハイレベルな技術に加え視野が広く、遠くを見ながら近く、逆に近くを見ながら遠くの状況を的確に把握。ゲームを動かすプレーを常に狙っている。
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— UEFA EURO 2024 🇫🇷 (@EURO2024FRA) July 19, 2024
EUROではジョージア戦で決勝点となる鮮烈なミドル弾を決めただけでなく2アシストも記録したギュレル。
キリアン・エムバペやエンドリッキが加入し、攻撃陣のポジション争いは世界一厳しいと言われる今季のマドリーでもここまで公式戦11試合中9試合に出場している。
ラミン・ヤマル
2007年7月13日生まれ(17歳)
スペイン代表FW/バルセロナ所属
最後はもちろんこの選手。
EURO2024でスペインを優勝に導き、自身も1ゴール4アシストで最優秀若手選手賞を受賞。準決勝のフランス戦では値千金の同点ゴールを決め、EURO史上最年少得点記録を更新したラミン・ヤマルだ。
Goal of the semi-finals ✅
Lamine Yamal's incredible strike wins it! 😮 💨👏#EUROGOTT | @AlipayPlus pic.twitter.com/BMzFOgLEkG
— UEFA EURO 2024 (@EURO2024) July 14, 2024
2023年4月にバルサ史上最年少デビューを飾った少年は、半年後にラ・リーガ史上最年少ゴールを記録。瞬く間にスターダムへとのし上がっていった。
どうしてもリオネル・メッシと比べられてしまうヤマルだが、メッシに比べるとリーチの長さも生かした横幅を使うプレーが得意。ドリブルにしてもキックにしても相手の想定を上回る“角度”が特徴だ。
EURO期間中に誕生日を迎えたが、それでもまだ17歳。クラブや代表でもなかなか外せない選手となってしまっただけに、怪我など思わぬ障害が彼の前に立ちはだからないことを祈りたい。