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「空高く飛ぶ鳥のように自由であること」──ステラ マッカートニーが貫く、地球と動物への愛【2025年春夏 パリコレクション】

  • 2024.10.2

曇り空ではあるものの、やっと雨が止んだパリの朝。屋外で開かれたステラ マッカートニーSTELLA McCARTNEY)の2025年春夏ショーの後、デザイナーはバックステージで発表したばかりのコレクションについてインタビューを受けていた。

今シーズンは、ビッグショルダーのスーツにゆったりとしたトレンチ、そしてイブニングドレスに繊細なランジェリーと、デイ&ナイトに着られるルックから構成されている。足もとには、80年代のシャルル・ジョルダンのシューズを想起させるヒールサンダルや、私たちの内なる闘志を刺激するようなボクシングブーツがスタイリングされていた。

また、ヴィーガン素材を使用した新作バッグ「ステラ ライダー」は、小ぶりなものから週末の小旅行にも使えそうな大きなものまで、幅広いサイズが揃う。ショーが展開されるなかフロントロウに目をやると、デザイナーの友人であるナタリア・ヴォディアノヴァのほか、珍しく最近シャネルCHANEL)を去ったヴィルジニー・ヴィアールが息子のロビンソン・フィヨとともに座っていた。その光景は、マッカートニーらしい女性同士の連帯や絆を表しているようだった。

「空高く飛ぶ鳥のように自由であること」

バックステージでのインタビューに話に戻そう。マッカートニーのお気に入りのルックは、リサイクルペットボトルで作られたブルーのふんわりとした雲のようなミニドレスだという。なぜ「Mother」という言葉をタンクトップに選んだのかという質問には、「私たちはみんな母親だし、母なる地球に住んでいるから」だと。しかし、その下に罵り言葉である「f*cker」が小さくプリントされていることは、あまり大きな声では言えないそうだ。

続いて話が好きな色に移ると、彼女は青い空、そしてコレクションの着想源である鳥について語り始めた。鳥のモチーフはプリントトップやブラトップ、ネックレスやバッグのチャームとして使われ、サウンドトラックにはプリンスの 「When Doves Cry」が起用されていた。また、オープニングでは作家で野鳥観察家のジョナサン・フランゼンの著書「THE END OF THE END OF THE WORLD(地球の果ての果て)」にインスパイアされたマニフェストを俳優のヘレン・ミレンが読み上げていた。マッカートニーはひと呼吸すると、「私たちが今シーズン掲げたのは、鳥を殺さないでというメッセージです」と続ける。

ファッションのために10億5千万羽の鳥が殺されています。けれども、羽は鳥のものです。そして私たちは、羽のある鳥からインスピレーションを得ています。今シーズンは、空高く飛ぶ鳥のように自由であること、そしてマスキュリニティやフェミニニティといった異なる視点から物事を見つめることがテーマでした」

マッカートニーが絶えず発信し続ける、地球と動物への愛のメッセージ

Street Style - Paris Fashion Week - Womenswear Spring/Summer 2025 - Day Eight

20年以上にわたってビジネスを続けてきたマッカートニーだが、彼女は気候危機を助長している業界を批判することを厭わない。

ちなみに今回、すべての座席には「About F*cking Time」(彼女は動物保護団体のPETAとこのフレーズを使った新しいキャンペーンをローンチしている)と書かれたキャップ、そして環境問題にまつわる事実が盛り込まれたオリジナルの新聞「Stella Times」が置かれていた。彼女はイギリス人特有のユーモアを交えながら、こういった受け入れ難い真実について人々に考えさせることができるデザイナーだ。そしてそのことは、彼女自身もよく理解している。今日披露されたコレクションは本当に素晴らしかった。憂慮すべき未来に警鐘を鳴らし続けるマッカートニーには、尊敬の念を抱くほかない。

※ステラ マッカートニー 2025年春夏コレクションをすべて見る。

Text: Mark Holgate Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.COM

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