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朝時間を身支度と通勤時間でつぶすのは三流…一流が朝イチの冴えた頭で取り組んでいる"仕事の種類"

  • 2024.10.2

仕事の時間効率をあげるにはどうすればよいか。編集者の藤吉豊さん、小川真理子さんは「時間術の著者の多くが、『朝の過ごし方次第で、1日の時間の使い方が変わる』『朝イチの脳は処理能力に優れている』などと、朝の大切さを述べている」という――。

※本稿は、藤吉豊・小川真理子『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)の一部を再編集したものです。

大事なことほど「朝」にやる

時間術の名著100冊に書かれてあった共通のノウハウを洗い出したところ、100冊中39冊に、「朝の時間の使い方」について書かれてありました。時間術の著者の多くが、

「朝の時間の使い方を工夫したほうがいい」
「朝の過ごし方次第で、1日の時間の使い方が変わる」
「朝イチの脳は処理能力に優れている」

と、朝の大切さを述べています。

◆朝の時間が大切な理由

● 起床後数時間は頭がフレッシュな状態なので、集中しやすい。
● 1日のスタートを気持ちよく過ごすと、日中もポジティブでいられる。
● 朝は時間が限られているので、ダラダラすることがない。
● 誰にも邪魔されないひとりの時間が過ごせる。
● 朝日を浴びると、「セロトニン」が分泌される。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神を安定させて幸福感を得やすくする作用がある。
● 早朝は通勤電車も混んでいないため、席に座って本や資料を読むこともできる。
● 直感力や発想力が高まり、アイデアが浮かびやすい。

「十分な睡眠をとった朝、疲労は回復し、ストレスは減少している。当然、考え方が柔軟になっている。

さらには、寝る前までああでもない、こうでもないと考えていたいろいろなことが、ひとたび忘れ去られて、邪念がなくなり、直観的に大切なことだけが浮かんでくるように思う」(宮西ナオ子『朝2時間早く起きれば人生が変わる!』/三笠書房)

おはようの挨拶の一杯のコーヒー
※写真はイメージです
朝は人生のゴールデンタイム

時間術の著者の多くが、「朝目覚めてからの2、3時間(著者によっては3、4時間)は脳が活発に働く」と述べていて、この時間帯を「ゴールデンタイム」と呼んでいます。

「1日の中で集中力が高まる時間帯は朝です。特に、目覚めてからの3時間は『脳のゴールデンタイム』と呼ばれ、集中力が最高レベルに達します。朝の1時間は、夜の1時間の4倍の価値があると言います」(吉武麻子『目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術』/かんき出版)
「人間の意志力や思考力は、起床してから時間が過ぎるにつれて低下していきます。
実際に、人間の脳にとって1日でもっとも生産性の高い『ゴールデンタイム』は、起床後3~4時間と言われています」(尾石晴【ワーママはる】『やめる時間術』/実業之日本社)

睡眠中に頭の中は整理される

起床後に集中力が高くなる理由を精神科医の樺沢紫苑さんは、次のように説明しています。

「まず、睡眠中に私たちの頭の中は整理整頓されます。夢によって、『前日の出来事』の記憶が整理整頓され、朝起きた直後の脳は、『片づけられて何も載っていないまっさらな机』のような状態になります。(略)

広々と作業スペースを使えて、仕事の効率も抜群にはかどります」(『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す神・時間術』/大和書房)

人間には、「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれる体内時計があって、「地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能」(厚生労働省「e-ヘルスネット」)を持っています。脳の働きも同様で、夜は自然と集中力が低下します。太陽の動きに合わせて生活することで、限られた時間をより有意義に活用しやすくなるのです。

夜ベッドで寝ている男
※写真はイメージです
朝にテレビやスマホではもったいない

朝は、1日でもっとも集中力が高くなります。この時間帯に、

「テレビやスマホを見ながらダラダラ過ごす」
「朝の時間の大部分を身支度や通勤時間に取られる」

のはもったいない、と多くの著者が指摘しています。

朝の時間帯は、

「自分にとって大切なこと」
「目標に直結していること」
「集中力を必要とする負荷のかかる仕事」

に使うと、時間効率を高めることができます。

時間の使い方が上手な人は、朝のゴールデンタイムをどのように過ごしているのでしょうか。

100冊の著者が実践している「朝時間の使い方」をまとめてみました。

◆ゴールデンタイムをムダにしない朝時間の使い方
●「緊急ではないが、重要な仕事」に取り組む

「緊急ではないが、重要な仕事」には期限がないため、先延ばしにしがちです。1日のスタートに「緊急ではないが、重要な仕事」に取り組むと、会社や個人の成長をうながすことができます。

●会社の始業前に資格試験の勉強をする

「仮に毎日2時間の早朝勉強でも、半年続けたら360時間。これは『宅建士合格』に必要な一般的な勉強時間といわれる長さです。(略)

私にいわせれば『勉強のゴールデンタイムは早朝』です」(臼井由妃『55歳からやりたいことを全部やる! 時間術』/日経BP日本経済新聞出版)

ただし、難易度が高すぎると手が止まってしまうことがあります。資格試験の勉強をするのであれば、まずは簡単な復習やテキストの見直しなどから始めましょう。

残業するより翌朝の方がよい
●企画の立案をする

朝は発想力がアップするので、クリエイティブな作業に適しています。

●ルーティンワークをまとめてこなす

日本ファイナンシャルアカデミーの代表を務める泉正人さんは、ルーティンワークをまとめて処理すると、次の3つのメリットが得られると述べています。

「1 メールや電話など、邪魔が入らないので集中しやすい
2 細かい作業をひとまとめにすることで集中力が切れない
3 その結果、タスクが朝に片づくので、その後の思考系の作業に集中できる」(『最新「仕組み」仕事術』/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

●前日積み残した大事な仕事を就業時間前に終わらせる

残業中は脳の生産性が落ちるため、早く帰って早く就寝し、翌朝に回します。残業をするより、朝の時間に作業をしたほうが、短時間で終わらせることができます。

ノートパソコンに入力する手のクローズアップ
※写真はイメージです
朝の運動でさらに脳を活性化
●情報収集をする

元LINE代表取締役社長の森川亮さんは、情報収集に時間が取られている人に向けて、「日頃の情報収集は朝10分」とアドバイスしています。

「私は情報収集の時間は朝に確保しています。

チェックするのは10件くらいのニュースサイトと紙の新聞。量は多いかもしれませんが、基本的には見出し読みなので、その場でじっくり読む記事は多くありません」(『すべての仕事は10分で終わる』/SBクリエイティブ)

情報収集をするときは、漫然とニュースサイトなどを見るのではなく、

「必要な情報(学びのある情報)以外は読まない」
「自分の専門領域以外の情報は読まない」

ようにすると時間をムダにしません。

●ウォーキングやストレッチをする

「仕事や勉強をする前に軽い運動をすると、さらに脳が活発に動くようになる」という意見もありました。

コンサルタントの安田正さんは、脳の働きをピークまで高めるために、「ウォーキング」をすすめています。

「朝起きてすぐにエンジン全開にできる人はいません。体は起きても、脳はまだ眠った状態です。(略)そこで、気持ちよく起きるために、ちょっとした『儀式』を行ないます」(『面白いほど役に立つ図解 超一流の時間力』/日本文芸社)と述べ、おすすめの儀式として、「小一時間のウォーキング」を挙げています。

◆朝のウォーキングの効果
●脳が刺激され、脳全体が覚醒する。
●メラトニン(眠りを誘うホルモン)が抑制され、目が覚める。

早起きのコツ

朝の時間を使いこなすには、「早起きをして、時間を増やす」ことが前提です。

「遅寝をして朝がつらくて仕方がないという人も、朝早く起きられたら毎日がもっと充実するだろうなと思いつつ起きられない人も、とにかく今より二時間早く目覚ましをセットして眠りにつこう」(宮西ナオ子『朝2時間早く起きれば人生が変わる!』/三笠書房)

時間術の名著100冊に掲載されていた「早起きのコツ」の中で、もっとも多く紹介されていたのが、「早く寝ること」です。100冊の著者の多くが、

「早く起きたいのであれば、早く寝ることに注力すべき」
「寝る時間がバラバラだと睡眠不足になり、早起きが続かない」

と考えています。

「早起きは『寝る時間にフォーカス』することがとても大切です。

『早く寝れば早く起きられる!』これが原理原則です。

これを無視して何か魔法があるのではないかと思うから、早起きが複雑で難しくなっていきます」(古川武士『人生の主導権を取り戻す「早起き」の技術』/大和書房)

目を覚ました後にベッドで伸びる女性
※写真はイメージです
逆算して考える

起床時間と適正睡眠時間から、「何時に寝るか」「何時に帰宅するか」「何時に仕事を終えるか」を逆算して考えます。

考え方の例

朝5時30分に起床して、7時30分まで資格試験の勉強をする。その後、出社する。

適正睡眠時間(成人の場合、おおよそ6~8時間/『良い睡眠の概要(案)』厚生労働省)を確保するには、何時に寝ればよいかを考える。

適正睡眠時間が7時間の場合、夜10時30分には寝る。10時30分に寝るためには、遅くまで仕事をしない。就寝時間が遅くなると、早起きできたとしても睡眠不足になり、日中のパフォーマンスが下がる。

「早起きがつらい」のは、今も昔も同じです。第16代ローマ皇帝、マルクス・アウレーリウス(紀元121~180年)は、『自省録』(岩波書店)で、次のように自分を戒めています。

「明けがたに起きにくいときには、つぎの思いを念頭に用意しておくがよい。『人間のつとめを果すために私は起きるのだ。』自分がそのために生まれ、そのためにこの世にきた役目をしに行くのを、まだぶつぶついっているのか」

Point
1 朝は人生のゴールデンタイム
2 重要度の高いことは朝にやる
3 早起きを習慣に

「明日やること」は前日の夜に考える

100冊中12冊に、「今日やることを今日決めない」というアドバイスが記されてありました。

明日やることを今夜のうちに考えておけば、「脳のゴールデンタイム(=朝)を有効に使える」ようになります。

朝、目覚めてからの2、3時間は脳が活発に働くため、この時間に1日の予定を考えるのはもったいない時間の使い方です。

朝のスタートダッシュを決めることができれば、仕事の効率もアップします。朝の時間帯は集中力が高いからです。

脳
※写真はイメージです
1日は「前の晩から」スタートする

吉武麻子さんの『目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術』(かんき出版)には、「前日のうちにスケジュールを立てる場合と、立てなかった場合を比べると、タスクの完了時間に1時間以上の差が生まれることもある、と言われています」と書かれてありました。

「1日は『前の晩から』スタートする」「1日の終わりが翌日の始まり」と主張する著者もいます。弁護士の伊藤真さんと、教育コンサルタントの塚本亮さんです。

「私の一日のスタートは、前の晩からだ。

藤吉豊・小川真理子『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)
藤吉豊・小川真理子『「時間術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)

夜の講義が終わり、会社の自分の仕事部屋に戻ってくるのが、毎日だいたい夜十一時すぎ。ここから、『翌日やらなければならないこと』を考える」(伊藤真『夢をかなえる時間術』/サンマーク出版)

「『すぐやる人』は、1日の終わりが翌日の始まりだと考えているので、帰宅前に資料の整理をしたり、机を整理整頓したりしています。

そして、やることリストを作成し優先順位をつけて、翌日の流れを30分単位で予定を調整し、書き出しておくことで、翌日の朝一番から取りかかれるように頭と心の準備をしておきます」(塚本亮『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』/明日香出版社)

「できる人」の時間の使い方

生産性向上のための仕事と時間の管理法として、箱田忠昭さんの『「できる人」の時間の使い方』(フォレスト出版)で紹介されていたのが、アイビー・リー・メソッドです(アイビー・リーはアメリカの経営コンサルタント)。このメソッドは、「シンプルで効果が高い」と評価され、100年以上もの間、世界中で活用されています。

「①夜寝る前に、次の日にやることをいろいろ思い起こせ
②それに優先順位をつけて紙に書け。六つくらいでいい
③翌日、その紙を背広のポケットに入れて出社せよ
④会社に着いたら、紙に書いたとおり一番から実行していけ」

Point
「明日のタスク」を書き出して、優先順位をつけておく

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