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「飼い犬? はあ?」あまりの侮辱に震えた…自称“口は悪いが気持ちはさっぱり”義母の言葉

  • 2024.10.2
口が悪くて、無神経な言葉をかけてくる義母。そのことを夫に訴えたところで、夫は謝りはするが、母親に注意をするわけではない。何気ない義母の失言に限界を感じ、離婚を決意する女性だっていることを世の男性たちは忘れないほうがよさそうだ。
口が悪くて、無神経な言葉をかけてくる義母。そのことを夫に訴えたところで、夫は謝りはするが、母親に注意をするわけではない。何気ない義母の失言に限界を感じ、離婚を決意する女性だっていることを世の男性たちは忘れないほうがよさそうだ。

同居しているわけではないから、いちいち目くじらは立てないものの、義母からの一言にムッとしたりモヤモヤしたりしている女性は少なくない。夫がビシッと言ってくれればすむ話なのに、肝心の夫は妻と母との間で右往左往するばかりだ。

あまりの侮辱に震えた日

「義母は口が悪いんです。本人も自覚していて、『私は口は悪いけど、気持ちはさっぱりしてるのよ』とよく言っていた。でも、口が悪いを通り越すような言葉は看過できませんでした。人は思ってもいないことは言いませんから」

ユリカさん(40歳)はそう言う。結婚して10年、7歳と4歳の子どもたちは、近所に住む70代の義父母がよくめんどうを見てくれている。もちろん、それには感謝しているし、今まではそれなりに義母の口の悪さも容認してきた。

ところが今年の春、義母が転倒して手首を骨折してしまった。すぐに入院して手術、さいわい1週間もたたずに退院することになった。

「退院時にはもちろん迎えにいくつもりでした。だけど予定より1日早く退院することになったと急に連絡があったんです。その日は私、日帰り出張でどうしても行かれない。夫は大事な商談があって行かれない。義父はあまり足腰が丈夫ではないので任せられない。

あと1日だけ退院を遅らせてもらえないかと頼んだんですが、義母はどうしてもその日に退院すると言い張って」

結局、ひとりでタクシーで帰ってきたのだという。夜、出張帰りのユリカさんが義実家に顔を出すと、夫や子どもたちもきていた。なぜか近所の人までいたのだが、その場で義母は大きな声で言った。

「あら、ようやく来たのね。迎えに来るって言ってたのに来てくれなかったのよ、この人。がっかりしたわ。裏切られた。飼い犬に手を噛まれたような感じ」

はあ? 飼い犬? 誰が?

はあ? ユリカさんは思わずそう言ってしまったそうだ。自分は義母の飼い犬だったのか。そんな存在だと思っていたのか。

「そんなこと言ったら犬が怒るわね、と義母はお酒の勢いもあって絶好調でぶっ飛ばしていました。夫が『おかあさん、もうやめろよ』とお酒を取り上げたんですが、『いいじゃない、病院じゃ飲めなかったんだから。もう飲んでいいってお墨付きもらってるのよ』と。あまりのことに近所の人たちはそそくさと引き上げていきました」

いくらなんでも「飼い犬」はないだろう。ショックより先に唖然としてしまったユリカさんだが、そのうちふつふつと怒りが沸き起こってきて、さっさと子どもたちを連れて帰ってきたという。

夫は帰宅後、平謝りだったが、その場で義母の発言を指摘してくれなかったことに対してユリカさんは「あなたに庇ってほしかった」と詰め寄った。夫はうんうんと頷きながらも、その後も対応してくれなかったという。

死産だった私に義母が追い打ち

もうひとり、義母の言葉に消えない傷をつけられたと言うのはマイコさん(38歳)。義母とは離れて暮らしているが、年に数回は会う機会がある。

5年前、マイコさんの第一子が男の子だとわかったとき、義父母は大喜びだった。夫には姉がいるのだが、女の子ふたりだったから、「初めての内孫が男の子」なのは、ふたりにとって大きなことだったらしい。マイコさんとしては男だからと喜ぶ義父母に複雑な気持ちだったが、そんな自分の気持ちは押し殺した。

「ところが死産だったんです。妊娠中は順調だったのに……。今でも思い出すとつらい」

亡くなった子のことは1日も忘れたことはない。

「入院中、ふたりきりになったとき、義母が言ったんですよ。『子どもは親を選んで産まれてくるっていうから、あなたのところには来たくなかったのよ。だからこれでよかったんじゃない?』って。何を言ってるんだろうと思いました。

自分だって親なのに、子を亡くした私の気持ちがわからないのか、わかっていて鞭打つようなことを言っているのか。殺意すらわきました」

悪意か失言か? 義母の言葉が忘れられない

泣きながら夫にそれを訴えたが、夫は「きみの勘違いだろ。気持ちが普通じゃなかったから、そんなふうに受け止めてしまったんだよ。かあさんは励ましたって言ってたよ」と言った。義母自身もショックだったから、励ますつもりで変なことを言ってしまったのかとも考えたが、義母はあのとき冷静に見えた。

離婚も考えたが、夫は離婚だけはしたくないと泣いた。その後、再び妊娠して2年前に女の子が生まれた。義父母には来てもらわなかった。あのときのことを思い出したくなかったからだ。

「義母も来るつもりはなかったみたい。子どもが女の子だと伝えたとたん、あらそうとテンションが下がってましたから」

彼女は今も、あのときの義母の言葉は忘れていない。だが恨むのはやめたという。

「そういう人なんだと割り切って、なるべくつきあわないようにする。そうやって自分を防御していこうと決めました。いざとなると夫も頼りにはならないから。ああいうことを言う人の息子が夫なのは気になるけど、夫自身からひどいことを言われたことはないんです。もしひどいことを言われたら、そのときは離婚だって辞さないつもりです」

人の心をえぐるように傷つける言葉を吐く人は、どういう心理なのだろう。言葉は怖い。人の一生を左右することさえあるかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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