絶対見るべき「秋ドラマ」4選！ 『ラストマイル』制作陣が送る日曜劇場＆衝撃の“托卵ドラマ”は必見

10月に入り、テレビ各局では「秋ドラマ」の放送がスタートします。各作品が初回放送のあらすじやPR動画を公開し、心待ちにしているファンも多いのではないでしょうか？

そこで、毎クール全てのドラマをチェックする元テレビ局スタッフの筆者が、オススメの秋ドラマを紹介。数多くの話題作の中から、厳選した4つの注目ドラマのあらすじと見どころを紹介します。

『ラストマイル』制作陣が作る『海に眠るダイヤモンド』に注目

まず1作目に紹介するのは、秋ドラマで1番の注目作である『海に眠るダイヤモンド』（TBS系）です。

毎クール話題作を放送し続ける日曜劇場の作品で、同枠で初主演の神木隆之介さんが主人公を演じます。10月20日の初回放送を皮切りに、毎週日曜の夜9時から放送予定です。

ドラマは、1955年から石炭産業で躍進した長崎県・端島と現代の東京が舞台。70年にわたる長い年月をこえる愛と友情、そして家族の絆を取り上げる壮大なヒューマンラブエンターテインメントとなります。

TBSの説明では、“何もないけれど夢があり活力に満ちあふれた時代”となる戦後復興期から高度経済成長期と、“一見して何でもあるけれど若者が夢を持てない時代”である現代を同時に描くことで、時代を超えた愛や希望を見られる作品になるとのことです。

そんな、『海に眠るダイヤモンド』ですが、制作スタッフにまず注目が集まっています。これまで、同局で放送したドラマ『アンナチュラル』『MIU404』を手掛けた脚本・野木亜紀子さん、塚原あゆ子監督、新井順子プロデューサーが制作。この布陣で制作している映画『ラストマイル』も現在大ヒット中です。

制作陣としては“間違いない”作品を手掛けてきた3人が関わることで、『海に眠るダイヤモンド』も大ヒットの期待がかかります。また、『ラストマイル』を楽しく見られた人は必見のドラマになるでしょう。

主演・神木隆之介の“一人二役”にも期待大！

制作陣が注目される『海に眠るダイヤモンド』ですが、日曜劇場作品らしく豪華な旬の俳優が勢ぞろいです。神木さん以外の出演者としては、斎藤工さん、杉咲花さん、池田エライザさん、土屋太鳳さん、清水尋也さんが出演。さらに、さだまさしさん、國村隼さん、沢村一樹さん、宮本信子さんなどベテラン俳優も参加予定です。

何はなくとも注目は主演の神木さんで、今作では初挑戦となる一人二役を担当。1950年代の端島で生活する明るく真っすぐな性格の鉄平と、現代の東京で夢も希望もやる気もない無気力なホストの玲央を演じます。

神木さんといえば、NHKの連続テレビ小説『らんまん』、世界的にヒットした映画『ゴジラ-1.0』で主演を務め、どんな役でも演じられる実力を証明しました。今作では性格の違う2人を演じますが、どうやって表現するのか見どころです。

また、ヒット中の『極悪女王』（Netflix）で、クセの強いキャラクターを演じた斎藤工さんにも注目。『海に眠るダイヤモンド』で演じる進平は、炭鉱員として働く鉄平の兄で頼りがいのある設定ながら、妻が亡くなったことを認められず帰りを待ち続ける男性。はかなさや弱さを表現することに定評のある斎藤さんの演技は必見です。

また、杉咲さんは主演作の『アンメット ある脳外科医の日記』（関西テレビ・フジテレビ系）、映画『朽ちないサクラ』と立て続けに演技力を見せつけた後なだけに、主演ではないものの光る演技に期待がかかります。

豪華な俳優陣と、ヒット作を生み続けるクリエイターが組み、作り上げられる『海に眠るダイヤモンド』。ドラマの詳細はまだ不明なものの、間違いなしの作品と言えるでしょう。

衝撃の問題作!? となる托卵ドラマ『わたしの宝物』

次に紹介するのは、2024年10月17日から放送がスタートする、『わたしの宝物』（フジテレビ系）です。

毎週木曜の夜10時から放送するドラマで、主演は松本若菜さんが担当します。このドラマの最大の魅力は、なんといっても“托（たく）卵“という禁断のテーマを取り扱うところ。あまり聞きなじみがない人も多いと思いますが、“托卵“とは、不倫などで夫以外と子どもを作りながら、自分たちの子と偽って産んで育てる行為を指します。

さて松本さんが演じる主人公・神崎美羽ですが、大企業でバリバリ働いていたキャリアウーマンながら、子どもを望んで仕事をやめた過去を持つ専業主婦。しかし、夫・宏樹との愛は冷め切り、妊活どころかモラハラまがいの厳しい言葉を受けるように……。そんな現状に悩んでいる時に、かつて思い続けていた幼なじみ・冬月稜と再会し彼の子どもを宿してしまいます。

いくら夫婦関係が冷めていても、美羽がやっている行為は不倫。子どもまで作り夫と育てようとするわけで、“悪女”と言えるでしょう。夏ドラマの『西園寺さんは家事をしない』（TBS系）では、ポジティブで明るい主人公を演じた松本さん。悪女となる美羽を松本さんがどう描き、演じるのか注目です。

この問題作を制作するのは、同局で放送した『昼顔～平日午後3時の恋人たち～』、『あなたがしてくれなくても』にて、不倫や略奪愛など女性のリアルな愛憎を描いてきた三竿玲子プロデューサー。両作品とも問題作として賛否両論を巻き起こしただけに、『わたしの宝物』も話題作になること間違いなしです。

Snow Man深澤辰哉の妖艶な演技に注目！

『わたしの宝物』の主なキャストとしては、夫・宏樹は田中圭さん、幼なじみの冬月はSnow Man・深澤辰哉さんが担当。田中さんは演技派として知られていますが、特に注目すべきは深澤さんです。

トップアイドルながら、托卵を扱うドロドロしたドラマに出演し、しかも子どもの父親という難しい役どころに挑戦。アイドルが演じる役としてはハードに感じますが、かなりの冒険心を感じます。

そんな深澤さんですが、公開されているイメージカットでは妖艶な雰囲気を披露。田中さんも色気のある俳優ですが、負けず劣らず深澤さんが存在感を見せています。俳優としては、まだ目立った活躍がないだけに、この作品が深澤さんのブレーク作になる可能性が大です。

逆転の発想が面白すぎる！ 菜々緒主演の『無能の鷹』

3本目に紹介するのは、菜々緒さんが主演を務める『無能の鷹』（テレビ朝日系）です。

2024年10月11日からスタートするドラマで、毎週金曜の夜11時15分から放送する金曜ナイトドラマ。最近では、『家政夫のミタゾノ』『おっさんずラブ-リターンズ-』（ともにテレビ朝日系）など、一風変わったドラマを放送している枠で、今回の『無能の鷹』も特殊な作品です。

はんざき朝未さんによる大人気漫画『無能の鷹』（講談社）が原作で、有能オーラが半端ない主人公・鷹野ツメ子が大活躍。鷹野は、仕事ができるビジュアルと雰囲気を醸し出しながら、コピーもできず、パソコンも満足に起動できない“圧倒的無能なヒロイン”です。難しいことを考えると頭が痛くなり、何が分からないのかも分からないという衝撃の無能ぶり。もちろん仕事も任されず社内ニート状態ながら、謎の自信に満ちあふれた無能ライフを満喫します。

これまで、圧倒的スタイルの良さとビジュアルで、悪女役やデキる女役などを演じてきた菜々緒さん。今作の鷹野役も、どこからどう見ても仕事がデキる有能オーラをビンビンと見せてくれます。なのに無能というギャップは、演技力もある菜々緒さんだからこそ表現できるところ。『無能の鷹』は、菜々緒さんをキャスティングできた時点でほぼ成功を確実なものにしました。

さらに、これまでのドラマならデキる女性が改革を起こすのが定番ですが、有能そうな女性が実はダメダメという逆転の発想が新感覚。漫画原作とはいえ、この作品をドラマ化したスタッフは間違いなく「有能」でしょう。

そして、鷹野と同期入社の鶸（ひわ）田道人（塩野瑛久）は、本当は仕事ができるのに見るからに無能そうなサラリーマン。この鶸田は準主役でドラマの鍵を握るキャラクターとなり、全く性格の違う2人がなぜか最強タッグを組んで奇跡を起こす様子が描かれます。今までになかったお仕事ドラマとなり、普段会社でモヤモヤを抱える人は必見の作品です。

『オクラ～迷宮入り事件捜査～』はシリーズ化も期待!?

最後に紹介するのは『オクラ～迷宮入り事件捜査～』（フジテレビ系）です。

2024年10月8日にスタートするドラマで、毎週火曜の夜9時から放送。反町隆史さんと杉野遥亮さんがW主演を務める刑事ドラマです。

反町さん演じる飛鷹千寿は、人情に厚く捜査は足で稼ぐ昭和型の熱血刑事。かたや、杉野さん演じる不破利己は、クールでタイパ重視の省エネな令和型の刑事となります。対照的なバディが活躍するドラマとなり、反町さんも出演していた『相棒』（テレビ朝日系）を思わせる設定。今回、秋ドラマで『相棒 season23』が放送されるだけに、いろいろな意味で注目されそうです。

そんな『オクラ～迷宮入り事件捜査～』は、デコボコバディが長期にわたって未解決となっている“オクラ（お蔵入り）”状態の事件に挑みます。新感覚のドラマとなり、『相棒』のようなシリーズ化も期待される作品です。

さて、ここまで4本の秋ドラマを独断と偏見で紹介しました。他にも、橋本環奈さん主演のNHK連続テレビ小説『おむすび』や、高校生不倫を取り上げる『3年C組は不倫してます。』（日本テレビ系）、『孤独のグルメ』の特別編となる『それぞれの孤独のグルメ』（テレビ東京系）も注目です。秋の夜長、ぜひともテレビやTVerでドラマを楽しんでください。

この記事の筆者：ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。

文：ゆるま 小林