1. トップ
  2. 1人で「4カ国語麻雀」を打つタモリ、冴えないサラリーマン役の所ジョージ… なかなか見られない“ちょいレア”映画のコアな楽しみ方

1人で「4カ国語麻雀」を打つタモリ、冴えないサラリーマン役の所ジョージ… なかなか見られない“ちょいレア”映画のコアな楽しみ方

  • 2024.10.1
「喜劇役者たち 九八とゲイブル」 (C)1978松竹株式会社
「喜劇役者たち 九八とゲイブル」 (C)1978松竹株式会社

【写真】「リング」「着信アリ」の高橋洋が描く、日本中のカルトファンを震え上がらせたド級カルトSF「血を吸う宇宙」

CS放送「衛星劇場」が、10月から「令和によみがえる。懐かしのちょいレア劇場」特集を実施。愛川欽也とタモリが出演した「喜劇役者たち 九八とゲイブル」、所ジョージの「ペエスケ ガタピシ物語」など、懐かしのタイトルが放送される。“ちょいレア”と謳われる映画の楽しみ方を深掘りしていく。

レジェンドたちの若かりし姿、意外な演技も見どころ

衛星劇場にて、10月2日(水)から「令和によみがえる。懐かしのちょいレア劇場」特集がスタート。これまであまり放送・配信される機会の少なかった“ちょいレア”な映画6作品が放送される。

なかでも注目したいのは、1978年公開の「喜劇役者たち 九八とゲイブル」。愛川欽也とタモリという今では考えられないコンビが主演となった同作品は、井上ひさしの同名小説を映画化した作品だ。

喜劇役者の港金一(愛川)は、婚約者のためにも一旗揚げようとドサ廻りを続けていた。そんなある日、苦楽芸振<クラーク・ゲイブル>と名乗る奇妙な男(タモリ)に出会う。英語とハナモゲラ語を操る芸振に惹かれた金一は自らを「芸利九八<ゲイリー・クーパー>」と名乗ってコンビを組むことに。

2人は「九八(クーパー)と芸振(ゲイブル)」というコンビ名で、喜劇役者として次々と新作珍芸を生み出して人々の人気を呼ぶ。しかし多芸多才な芸振には大きな秘密があって…。

最初に目を惹くのはタモリのトレードマークたるサングラスをかけていない時代のビジュアルだが、物語が進んでいくにつれて一層驚かされるのは彼の芸達者ぶりだ。たとえば1人で雀卓を囲み、“それっぽい”4カ国語で4人を演じた「4カ国語麻雀」は圧巻。さらに細かすぎるモノマネの数々を披露するなど、“いまのタモリ”しか知らない人には驚きの姿が見られる。

ブラックジョークの効いた映画自体のストーリーもスパイシーな同作は、10月3日(木)朝8:30他に放送。

大人気タイトルから一歩踏み込んだ、“映画沼”の1丁目

ほかにも“ちょいレア”なタイトルでいえば、所ジョージが主演を務める「ペエスケ ガタピシ物語」(1990年)も外せない。取り柄のない雑種犬「ガタピシ」と、落ちこぼれサラリーマン・ペエスケ(所)の生活を描いたユーモラスなドラマだ。

「子どもとペットはダメ」というアパートに妻と子、愛犬ガタピシとともに住む平野平助…通称ペエスケ一家。会社に命じられて海沿いにある田舎の街へ“地上げ”のために転勤となったペエスケは、美しい海と自然豊かな街に工場を建てることに反対して社長に盾ついてしまう。

会社が派遣してきたヤクザにやられても、心変わりしないペエスケ。そんな彼の転機となったのは、「クジラショー」を営む人々との出会いだった。

「蒲田行進曲」で知られるつかこうへいによる脚本に、久石譲が音楽を担当する同作。所ジョージと秋野暢子をはじめとして、宍戸錠、竹中直人、斎藤晴彦、海老名美どり、岡田眞澄、谷啓といった豪華な面々が顔をそろえている。

原作は園山俊二の四コマ漫画「ペエスケ」で、所ならではの“さえないサラリーマン”の表現はさすがのひと言。令和のいま、もう一度見たい作品だ。本作は、10月9日(水)朝8:30他に放送される。

特集ではそのほかにも「リング」(1998年)の高橋洋が脚本を務めるカルト作「発狂する唇」(2000年)、その1年後に再び高橋洋、佐々木浩久監督によって製作されたカルトSF「血を吸う宇宙」(2001年)、かとうかずこが主演した「なんとなく、クリスタル」、長渕剛の長女・長渕文音のデビュー作「三本木農業高校、馬術部 ~盲目の馬と少女の実話~」を10月に放送。当時ならではの表現やキャスティングは、「いまでは考えられない」という感想以上に考えさせられるものがある。

これらの映画の面白さは、当時の世相に思いを馳せてしまうような懐かしい風景、アイテム、言葉選びといった細かな点にある。懐かしいというだけでなく、現代の映画に繋がるルーツを見るような発見が多く得られるのだ。

今やレジェンドとして知られる人々のフレッシュな姿、時代背景を色濃く映す表現とストーリーライン、令和の今も通じる映画としての“コア”。最新の大傑作や巷で話題の名作映画ももちろん良いものだが、知る人ぞ知るちょいレア映画にしか出せない“味”がある。“映画沼”の1丁目に踏み入れてしまう隠れた名作に触れられるこの機会、見逃す手はないだろう。

元記事で読む
の記事をもっとみる