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食品包装素材の化学物質、3600種類が体内に残留?研究で明らかに

  • 2024.10.2

忙しいとき、「容器包装された食品」はとても便利なもの。購入する機会も多くなりがちだが、そうした食品には多くの場合、「食品包装材」と呼ばれる素材に含まれた化学物質が混入していることがわかっている。

そして、「食品接触化学物質(FCCs)」として知られるそれらの物質について行われた新たな研究によると、ヒトの体内に残るFCCsは、およそ3600種類にのぼるという。

私たちとって、それが良いことではないのは明らか。ただ、それはどの程度まで、警戒すべき問題なのだろうか──?

話を聞いた専門家:ミシガン州立大学生命科学部のジェイミー・アラン准教授(薬理・毒性学)

研究で明らかになったことは?

食品包装材に含まれる化学物質として知られる「FCCs」は、1万8000種類以上にのぼっている。『Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiology』(暴露科学・環境疫学ジャーナル)に新たに発表された研究結果が示すのは、そのうち体内に取り込まれていることを示す証拠が見つかった物質が、3600種類を超えているということ。

研究チームはまず、(化学物質がどのくらい体内に残留しているか調べる)バイオモニタリング調査の結果が蓄積された5種類のデータベース、そして健康や栄養状態に関する情報を集めた3種類のデータベースと、1万4000種類以上のFCCsを照合。

その後、食品包装材に使用されることが多いFCCsががヒトの体内に取り込まれていることを示す証拠について、分析調査を実施した。その結果、約25%が血液や尿、母乳、組織サンプルなどに蓄積されているとみられることを確認したという。

それらの物質には、バイオモニタリングで特定された194種類のFCCsが含まれ、そのうち80種類は、有害性が高いと懸念されている物質だった。

残留しているのは?

最も多くの素材に含まれていたのは、「ビスフェノールA(BPA、プラスチックを硬化するために使用される)」、「ペルフルオロアルキルとポリフルオロアルキル(PFAS:有機フッ素化合物、自然界ではほとんど分解されない)」、「フタレート(フタル酸エステル、樹脂の硬度の調整のために使用される)」だった。

これらの化学物質は「有害」?

Women's Health

BPAは「内分泌かく乱(ホルモンの正常なはたらきを乱す)」物質として知られており、子どもの行動障害や糖尿病、心疾患、がんなど、多くの疾患との関連性が指摘されている。

「PFAS」は、ホルモンの働きを阻害するとされ、「フタレート」は肥満からがんまで、健康上のさまざまな問題と関連性があるとみられている。

ミシガン州立大学のジェイミー・アラン准教授(薬理・毒性学)はこの研究結果について、次のように述べている。

「全体として、これらの物質への曝露が健康問題を引き起こす可能性があるということは、かなり広く知られています」

「また、すでに多くの人が、子どものころからこうした化学物質の多くに曝露していることも、知られています。

「ですが、これらの物質がどのようにして健康問題を引き起こすのか、どの程度の曝露量が危険だと考えられるのかについては、まだあまり多くのことはわかっていません」

ただ、いずれにしても、新たに発表された研究結果が、「懸念すべきものであることは間違いない」という。

私たちにできることは?

Women's Health

指摘しておくべき重要な点は、化学物質はあらゆるところに存在し、接触を避けるのは難しいということ。だが、食品包装材に含まれる化学物質については、包装された食品の摂取量を制限することによって、一部を避けることができる。アラン准教授は、そうすることが最善の方法だとしている。

つまり、可能であれば、地元の生鮮食料品店やファーマーズマーケットなどで、包装していない状態の食品を購入することだという。

さらに、容器はプラスチックよりも、「ガラスの容器の方が、安全性はいくらか高い」とのこと。そのほか、再加熱するときにはプラスチック製の容器を使用しないことなどをすすめている。

「曝露量を最低限に抑えるための対策を講じることが重要です」と話す准教授は最後に、「私たちの体は、予想される外界からの刺激に対処するだけの力を十分に持っています」と述べている。

ただ、いずれにしてもこの問題については、「より多くのデータが必要」だという。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Women’s Health US

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