「おむすび」ウラの見所～そう来たか！橋本環奈の台詞「“朝ドラ”ヒロインか！」に込められたメッセージは…

【朝ドラのツボ！】

平成16年、福岡県糸島で農業を営む父・聖人（北村有起哉）、母・愛子（麻生久美子）、祖父・永吉（松平健）、祖母・佳代（宮崎美子）と暮らす米田結（橋本環奈）は、高校に入学した。

幼なじみの陽太（菅生新樹）やクラスメートの恵美（中村守里）と部活について話し、陽太は野球部、恵美は書道部に入るというが、結は特に入りたい部を思いつかない。

そんな結は放課後、海を見によく行く漁港で、不測の事態に遭遇する。

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※※以下、ネタバレあります※※

新しい朝ドラが始まりました。ヒロインはみんな大好き橋本環奈です。そうは言ってもハシカンも25歳。制服にポニーテールの女子高生姿がコスプレみたいになっていたらどーしましょ、と内心ドキドキしていましたが、違和感がなく、安心しました。

ハシカンがまだ地元・博多でアイドルグループRev. from DVL（レブ・フロム・ディーブイエル）にいた頃、「天使過ぎる」とか「千年にひとりの逸材」などと騒がれていた写真もポニーテールではないけれど、こんなふうに髪をキュっと結んでいたような…。

あれから10年、変わらぬ天使ぶりに、さすが千年にひとりと言われるだけのことはあるな、と。

タイトルの「おむすび」は、空前のおにぎりブームにあやかった!? のではなくヒロインの名前、米田結（よねだ・ゆい）からついたあだ名でした。ドラマの中で、結の幼なじみの古賀陽太が「米、結ぶやろ？やけん“おむすび”」と、クラスメートの恵美に説明していましたね。

新しい朝ドラといえば、お決まりのようにヒロインの幼少期から描かれるものですが、前作の「虎に翼」に続き、今回も子ども時代はすっ飛ばし、結の高校生活初日から始まりました。

自分の部屋でヘアスタイルや制服の着こなしにあれこれ迷う結。ようやく、食卓についたものの、時間が無く、父のお弁当用のおむすびが置いてあるのを見つけて、「あっ、おむすび！」とひとつ口に放り込み、「うまっ」と。

その表情は本当においしそうで、おむすびのCMかと思いました。ただでさえ米不足が叫ばれているのに、毎日、こんな顔でおむすびを食べられた日には新米の価格もさらに高騰してしまうのでは、と心配になりました。

ハシカンの分身のような明るく元気な結ですが、“アユの妹”と呼ばれるのがコンプレックスなようで、下校途中、港でひとりたそがれておりましたら、幼い兄弟の騒ぐ声が…。

弟が海に落とした帽子を、棒を使って取り戻そうとするもののうまくいかないようで。見かねた結が帽子を拾おうと、海に飛び込みます。

その際、心の声で「なんで飛び込んだっちゃろ。うちは“朝ドラ”ヒロインか？人助けって。これ絶対、米田家の呪いやん」と。

「あまちゃん」のアキ（能年玲奈、現在はのん）も、「ごちそうさん」のめ以子（杏）も通って来た朝ドラヒロインのお約束“水落ち”を、初回から惜しげもなく見せてきた「おむすび」。しかも、ヒロイン自ら「うちは朝ドラヒロインか！」とメタツッコミするという斬新さ。

これはもうどんどんツッコんでいいよ、という作者からのメッセージと受け取りました。

「純と愛」や「まれ」など現代物の朝ドラはコケる、などというよからぬジンクスがありますが、「おむすび」がその呪いを解いてくれるのかどうか。見届けましょう。

（桧山珠美／TVコラムニスト）